2008年12月30日火曜日

【三線ism】 三味線楽器を科学する その1 「ゴッタンはなぜ鳴らないか」



 さてみなさんこんにちは

 先日から、宮崎の民俗楽器であるゴッタンを弾いているのですが、そのゴッタンと三味線をめぐって興味深いことがわかってきました。

 そもそもの考察の原点は

「なぜ、板張り三味線(ゴッタン)の音が小さいのか」

という点なのですが、大半の方は「そりゃ皮張りに比べたら、板張りは響かないから鳴らないだろう」とおっしゃると思います。

 結論から言えば、まったくもってそのとおりなのですが、科学的に考えてどうして板ではダメなのか?というあたりが追求したいポイントです(^^

 皮と板を比較すると、その働き方がかなり違うことがわかってきます。

 三味線・三線などの皮張り楽器は、弦の振動を拾って大きくする共鳴板の働きを表皮が担っています。同じようにゴッタンでも、弦の振動を表板が拾って大きくしているので、構造的にはまったく同じです。


 ところが、表は同じでも、裏は事情が異なります。


 三味線・三線の裏皮は表皮の振動に対して、同じ方向に共振して動きます。これは、和太鼓やドラムセットのドラムなんかも同じ構造で、胴に対して表裏2枚の皮が張ってある打楽器はおなじ理屈です。

 ところが、ゴッタンの裏板は堅いので、多少は表に連動して動こうとするでしょうが、その大半のエネルギーは失われてもとの形のまま、そのままの形であろうとします。

 この構造は、三味線・三線と大きく違います。ゴッタンでは共鳴板の働きをするのは表板だけで、裏板はあまり共鳴しません。

 このように裏の板が動かないと、胴の内部では大変な問題が起こります。それは、表板の振動で、胴内部の空気が動く(振動する)のですが、その圧力がどこへも逃げないので、裏板の部分で圧力が跳ね返ってくることになります。

 つまり、表板の振動に対して位相を反転させた波形の振動が後ろから戻ってくることになり、これがゴッタンの音を小さくしている原因になるわけです。

 

 これを三味線・三線で応用すると「裏皮を身体につけてしまうと音が鳴らない」ということに言い換えることができると思います。

 三線弾きの方はご存知でしょうが、三線を立って演奏するときには、ギターをストラップで肩掛けして抱えるときとは違い、楽器を身体から離して腕と胸と楽器で3角形をつくるように抱えます。

 こうすることで、裏皮が完全に身体から離れるのですが、ギターなどでは、裏板を身体につけてしまってもかまわないので、大きな違いが生まれるのです。


 もし裏皮を身体につけてしまうと、どうなるでしょうか?先に述べた理屈でいうと、裏皮が表に連動して振動できなくなるので、胴の内部の圧力が高まって、表に跳ね返ってしまいますね。つまり、音が小さくなったり響きが悪くなったりするわけです。


2008年12月27日土曜日

【三線ism】 「ごったん」をまだまだ追求してみました(^^ 






 さてみなさんこんにちは

 引き続いてゴッタンとの楽しいひと時レポートです(^^

 初期状態では、三味線として十二分に楽しめる「えびのゴッタン」ですが、当流で使うにはちょっとだけビフォーアフターが必要です。

 というわけで、アフターの画像を2つばかり。


 ①上駒の加工

 上駒なんですが、えびのゴッタンはデフォルトではかなり棹の両端側に弦が来るように溝が切ってあります。

 ちなみにさわりはなくて、三本ともストレートにミゾが作ってありますので、さわり山もありません。

 このままでも三味線としては弾けるのですが、多少弦が棹から外れそうになるのと、コードには不向きなので、改造しました。

 本来のミゾから1弦と3弦を内側に溝切りしたのですが、この感覚は弾き手の好きずきだと思います。

私の場合は、3本の弦が1.5センチくらいの間に納まるようにしていますが、これはやや狭めかもしれませんね(^^;

 下駒のほうは、加工なしでOKです。


 ②ポジション振り

 左大文字流では1オクターブを12分割しますので、マイタックラベル(丸)を使ってポジションを振ります。開放弦が0で①~⑫まではシールでフレットに相当する位置にシールを貼るわけです。

 三味線棹なので、テキストでも触れているとおりポジション間がとても広いです。

 2つめの写真では相対コードのFを押さえていますが、かなりがっつり指を広げているのがわかりますか??

 三味線棹でコード弾きをする場合はカポ推奨なのですが、カポなしでもこういう風に指を広げれば可能です(^^

(もちろん、一部押さえ切れないコードが出てきますので、その場合はコードの簡略化が必要になります)



 さて、コードで弾いてみた感想ですが、かなりいいかんじです!!

 音量が小さいのが本当に残念なのですが、オール木製ならではの余韻のあるやわらかな音で、まろやかです。

 ギターでいうと、私の手作り三味線がフォークギター(アコギ)だとしたら、えびのゴッタンは「クラシックギター」みたいな感じです(^^

 ただし、これは標準でついてくるナイロン弦のせいもかなりあると思います。

 しかし、もうちょっと響いてほしいなあ!早くサウンドホールをあけないとダメかもしれません。

2008年12月24日水曜日

【三線ism】 宮崎の民俗楽器「ゴッタン」を入手いたしました!








 さてみなさんこんにちは

 世間ではクリスマスイブらしいですが、我が家は質素にちょこっとチキンを食べ、ケーキもロールケーキで済まされようとしている今日この頃です(^^
 
 お酒に弱い私はシャンパンではなくいつもシャンメリー・・・・、はさておき。


 以前から気になっていた板三味線の王様ともいうべき南九州地方の三味線楽器である「ゴッタン」を入手することができました。今日届いたので、さしずめクリスマスプレゼントみたいなもんですが、さっそく嫁からは「またいらんもん買って!」と怒られております(☆_☆)

 
 さて、さっそく気になるレビューを!!

 全体像は写真の通りです。これは宮崎県えびの市で製造されている「えびのゴッタン」なるものですが、地方によってはもっと胴が四角いゴッタンもあるそうで、そういうタイプは「箱三味線」というあだ名がついているそうです。

 三味線サイズなので全長は1m近くあります。でもまあ、三味線弾きにとってはおなじみのサイズですので違和感がありません。杉製なのでかなり軽く感じます。

 棹は棒材をざっくりと丸めてあるので、太棹と中棹の中間くらいの手触りになっています。棹の後ろはしっかり削ってあるので、太めながらまあ持ちやすいほうですね。

 天神は、三味線らしく形が加工されていますが、よくよく見るとかなりアバウトで職人さんのオリジナルな解釈がなされておりました(笑)

 三日月が曲線ではなく3面ざっくり面取りしてあったり、糸蔵が通常の三味線の1.5倍くらい大きいなど、ワイルド感にあふれています。

 胴のほうは、板材を張り合わせてあるのですが、やや曲面に加工してあるのでそれらしく見えます。なかなかいい感じです(^^


 問題点は

 ①写真でもわかると思いますが、上駒の部分の糸の切込みが幅広なため、糸が棹のふちの方を通る仕様になっています。本物の三味線は上駒では弦の感覚が狭く、下駒で広く取られるためにどんどん幅が広くなってゆく形ですが、これは弦が最初から最後まで並行です。

 ここは、左大文字流ではコードを押さえにくいので真っ先に修正したいところですね(^^;

 ②完全に閉じた胴なので音が小さいです。楽器としては鳴りがかなり悪いです。音量・鳴りで言えば、私の設計した並木道中央公園版手作り三味線>沖学さんの三線キット>えびのごったん の順になります。

 これもサウンドホールを開ければ解決しそうですね!


 意外によかったのは、また追加レビューしますが、

 ①根緒が意外にちゃんと作られている(素材は安い紐なんだけど、ちゃんと本物どおり組んである)

 ②写真にも載せたけど、後ろに焼印とかあって、渋い(笑)

などなど。

 ネットでは7000円前後で販売されているようです。送料が今回は850円ほどかかりましたので1万円でおつりがくるでしょう(^^


 ただし、音色や演奏感に改良の余地があるので、自分で改造できる方にはオススメですが、木工はムリ!な方はちょっと悩んでください(^^



【三線キットマニアックス】 簡易三線というより簡易「三味線」?! 宮崎の「ゴッタン」










 カンカラや板張りの三線が沖縄三線界の「簡易三線」だとしたら、三味線界にも「簡易三味線」と呼べるような楽器があります。

 それが宮崎や鹿児島などに伝わる板三味線の「ゴッタン」です(^^


 三味線楽器としては素朴な造りなので箱三味線と呼ばれることもあるようです。

 下の写真は、特産品として製作・販売されている宮崎県えびの市の「えびのゴッタン」です。


 ゴッタンはもともと家を新築したときなどに、大工さんがお家の方にプレゼントしたという風習があるそうで、生活に密着した楽器だったようですね。

 近年では「ゴッタン」ならではの演奏曲目も少なくなっているようですが、もっと広まってほしいなあ、と思います。

 もちろん、ゴッタンは三味線サイズなので全長が1m近くあります。三線のように取りまわしが楽ではないかもしれませんが、えびのゴッタンさんでは、ミニサイズのゴッタンも製作なさっているようですよ!






2008年12月19日金曜日

【三線キットマニアックス】  三線キットに魅せられた人々⑬




 超おひさしぶりです。元気にしていたのですが、仕事などが詰まっていて更新があいていました。

というわけでさっそくレポート開始。

 今回ご紹介する方は


 なちんまり さんのブログ
 http://blog.goo.ne.jp/nachinmari/e/505062423f334ac1502b0eee202791f2


 最近は沖学さんの三線キットを使った「製作イベント」も全国で開催されているようです。

 主宰者さんはそれぞれ、三線教室関連だったり、木工関連やホームセンターだったりするみたいですが。なんにせよ三線キットが広まるのはうれしいですね!

 なちんまりさんの記事でもちょっと触れられていますが、持ってかえって軽く塗装するとぐっとながもちするようになります。やはり生木のままだと手垢がついてきますし、湿気を吸ったり吐いたりして音が安定しません。


 お勧めはクリアラッカーのスプレーですよ!



2008年12月16日火曜日

【三線ism】 GReeeeN 愛唄を弾いてみました。




GReeeeN 愛唄 三味線・三線バージョン


 リクエストがあったので「愛唄」を弾いてみました。

 今回も唄は奥さんです。

 GReeeeNの声って高いですね!・・・私ではなかなかでませんわ~。

 ということで歌はパスでした(^^;

 今回もカポを使って原曲キーにあわせています。ただし、もともとのチューニングを半音上げして、カポ位置を本来より1フレット下げています。

 カポ位置を上げていくと押さえ方がどんどんシビアになるので嫌いです(笑)

 他にもリクエストがあれば研究してみますので、ご要望があればどうぞ!

2008年12月11日木曜日

【三線ism】 原曲キーで演奏したい!



 さてみなさんこんにちは

 youtubeで左大文字流の演奏法を公開しているので、「やってみたい!」という声がよくかかります(^^。

 私は基本的にはテキストで言うところの「相対コード」で演奏しているので、いろんなポップスをやったりするとき「移調」している場合が多いです。

 ところが、実際に三味線や三線でポップスを練習する方の中には、CDとあわせながら弾いてみる方がたくさんいるので、

「youtubeとCD(原曲)の音が合わないよう!」

という悩みが生まれます。

 三味線楽器は、自分の歌いやすいように移調することが多いので、西洋で言う絶対音階みたいなことをあまり気にしません。とはいえ、アーチストさんの原曲と合わせて弾いてみたいのも人情ですね。

 というわけで、今日はその対処法アドバイスを。

①絶対コードで弾く

 テキストは三味線版も三線版もかならず絶対コードを載せています。ですので、市販のコードブックや歌詞とコードの載っているサイトなどを参照すれば、基本的には原曲で演奏できます。

 ところが絶対コードは三味線楽器とは多少相性が悪いところがあり(三味線の構造とは無関係に割り振ったコードだからです)押さえづらかったり、どの音を選択して押さえようかと悩んだりする場面が多々あります。

②相対コード+カポで弾く

 そこで、より三味線と相性がよく、かつ簡単な相対コードを使いながら、移調をカポで調整するというわざがあります。

 これは、指使いが楽でありながら、それでいて原曲にあわせられるというメリットがありますが、デメリットは調整幅が大きいと音が高くなりすぎたり弦がきつく張られすぎたりするという問題もあります。

③相対コード+カポ+調弦

 じゃあ、理想の弾き方はないのかというとないわけではありません。弦のテンションまで調整したい場合は、チューニングをいじってしまえばいいのです。チューニングはゆるく、カポは高い位置でテンションを稼いで、相対コードで弾く、みたいな究極の技ですね(^^

 ここまですると、もはや原曲キーのためではなく、自分がいかに歌いやすく弾きやすくしたいか、という問題な気がしますが(笑)

 ちなみに、カポを使っている様子は

 ↓



手紙 ~拝啓 十五の君へ~ 三線・三味線で

を参照ください。

2008年12月7日日曜日

【三線ism】 ルミナリエに行ってきました






 さてみなさんこんにちは

 今日は、大阪・神戸と買い物に出かけていたので、帰りにルミナリエに行ってきました。

 実は、わたしはルミナリエを見るのは初めてで、なぜかあまり足をむけようという気がこれまで起きなかったのですが、今回は「今年が最後かもしれない」という危機感もあって一度は行っておかないと、と見に行った次第なのです。

 このルミナリエ、美しさは良いのですが、その費用がかなり問題になっています。今年で終わりかも、という話も高額なお金がかかるからで、今年は、ルミナリエ会場のあちこちで募金を呼びかけるスタッフの姿がかなりたくさん見かけられました。

 もともとは震災の鎮魂という目的ではじめられたルミナリエですが、お金の話がからんでくるとシビアですね。難しいところだと思います。

 実は、私は2年ほどまえに兵庫県にある提案をしたことがあります。それはルミナリエの高コスト体質に対して「エコじゃないじゃないか」というつっこみを入れたもので、電気の面でもお金の面でも、ただ垂れ流しでは環境にも悪いだろうしルミナリエの本質からずれているだろうので、もっと改革が必要だという提言をしたのです。

 その提言の具体的な内容は、ルミナリエの開催に至るまでの一年間、兵庫県民みんなの「こころ・思い」の証として、ルミナリエに必要な電力やコストに換算されるエネルギーを貯金して(つまり省エネをすこしずつ県民が貯めていって)その成果を県民から報告してもらうことで、溜まった分のエネルギーをルミナリエに使う、という試みをやってはどうか?というものでした。

 つまり、県民から報告集計されたエネルギー量によって、ルミナリエの規模や開催期間を自在に変えてもいいわけで、ルミナリエのために無駄にエネルギーを使うのではなく、みんなでそれに備えて貯めることが震災の真の意味での鎮魂につながるのでは?という提言です。

 この提言は、兵庫県の副知事から表彰されましたので、県にもある一定の形で届いたと思うのですが、なかなか実行には至らないようです。募金だけは今年から実行されましたが、本当はお金だけではなくいろんなコストやエネルギーもみんなの気持ちで「募金」してほしいなあ、と感慨にふけっておりました。

2008年12月5日金曜日

【三線ism】 互換性というもの



 さてみなさんこんにちは

 先日よりmixiのあるコミュで、邦楽がどうしたらもっと発展するか、みたいな内容のトピックが立っていて盛り上がっています。

 どこの伝統芸能でもそうですが、年を追うごとに基本的には衰退の方向に向かっていて、「なんとかせないかんなあ」という傾向がありつつも「なんともならんなあ」という対策に追われているのも現状です。

 そんななか面白い意見がありました。たとえばピアノの先生なんかで考えるとわかりやすいのですが、どこの音楽教室を出てピアノをマスターしても、またどこの音楽教室や音楽業界でも生きていけるというか雇ってもらえるという現状がピアノの世界にはあります。

 学校の音楽の世界でも「ヤマハの出身」とか「カワイの出身」とか「バイエル出身」とかで、演奏ジャンルや取り組みの内容が分断されてしまうこともありません。

 一方純邦楽のほうは、おなじ三味線奏者でも流派やジャンルが違えば、交流もさることながら互いのジャンルを演奏することすらできない状況になっています。ましてやジャンルをまたいで違うジャンルの先生になんかなれやしません。

 この問題提起は、たいへん重いです。

 伝統芸能というものは、ある種の閉鎖感を伴うものですが、それが衰退の一因であることも、この例から見えてきそうですね。

 少なくとも、これからしばらくは「ピアノの先生」というジャンルが衰退してどうしようもない、ということはなさそうですもの!

 この音楽の・ジャンルの「互換性」みたいなものはとても大切な視点かもしれません。むしろどの業界でも、こうした互換性の高さは重要な要素になっています。

 パソコン部品なんかは、どのメーカーのパーツを組み立てても大半は組みあがるようにできています。家電だってそうです。テレビとビデオのメーカーが別でもちゃんと映ります。蛍光灯が切れても、どこへいっても対応の蛍光管が買えます。車のタイヤだって、ヨコハマだろうがミシュランだろうが一定のルールに従ってですが互換性があります。

 一見伝統にしばられた世界でも、実は互換性が高いことが多いです。建築なんかでは、伝統的な木造建築でも・ハウスメーカーものでも1間(けん)の基準は変わりません。(もちろん1間を1800と見るのかとか1850なのかとか細かいルールは必要ですが)

 だから木造住宅にだってアルミサッシがとりつけられるわけです。木造には木の建具しかハマらないのだ!なんてことはありません。


 互換性のなさは、いつまでたっても不毛な争いを生むだけです。このあいだまでやっていたブルーレイディスクとHDDVDの戦いとか、古くはベータとVHSとか・・・(^^;

 みなさんはどう思いますか?


2008年11月28日金曜日

【三線ism】 2月と3月に初心者向け演奏講座やります~



さてみなさんこんにちは

 日々寒くなる一方ですがみなさまいかがお過ごしでしょうか?

 さて、今日も公園さんのほうへお邪魔して、このあいだの講座の反省やら次の打ち合わせやらなど重ねてきました。

 現在、ずっと開催している手作り三味線講座ですが、使っている公園の木工室が冬場は寒いんじゃないか?ということで、製作講座はお休みすることに(^^

 といっても3月後半ぐらいからは復活できそうですのでご安心ください。

 で、冬の期間ですが、2月1日(日)と3月8日(日)にいまのところ「もっと演奏をゆっくり楽しもう!」みたいな講座を開催予定です。

 いままで手作り三味線を作ってくださった方へのフォローもかねていますが、「作るのとか無理!だけど三味線や三線には興味があります」という方などはぜひご参加くださいませ。

 タイトルや詳細は企画中ですが「手作り三味線講座 演奏編弾き方講座」みたいな感じでしょうか(笑)

 10時~14時くらい予定。お昼ごはん付きで参加費1000円くらい。楽器持込でもかまわないし、公園でレンタル用を準備することになっていますので手ぶらで来てもらってもいいです(^^

 練習する曲目ですが、2月1日の初回は「さくらさくら」の本手と替え手の2パターン合奏、「てぃんさぐぬ花」の主旋律とコードの合奏なんかを考えています。単音弾きとコードを織り交ぜながらセッションぽく仕上げるのが目標です。

 3月の回は、状況をみて曲目を替える可能性もあります。2回続けてきてくださる方のことも考えながら・・・。

 もし、「こんな曲をやってほしいのですが」という希望があれば、コメントでもメールでも当方までお知らせくださればできるだけ考慮したいと思います(^^

 というわけで、ざっと告知でした。正式に決まったらまたアナウンスします。


2008年11月25日火曜日

【三線ism】 エリック・クラプトン アンプラグド








 さてみなさんこんにちは

 私の父上に頼まれて、ちょっと昔のPC用ソフトを探して押入れをごそごそしていたら、懐かしいCDが出てきました(^^

 ちょっとおやじがかった人には超有名なCDだと思いますが、エリック・クラプトンの「アンプラグド」です。

 http://ja.wikipedia.org/wiki/MTV%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%89

 このCDは1992年のMTVアンプラグドライブを収録したものなのですが、基本的にその名のとおりエレキを介さない「アコースティックな」音楽を一流のミュージシャンの演奏で楽しむライブでした。

 さてこのCD、私左大文字が購入したのは大学生真っ只中で、ちょうどギターを弾いたり三味線を弾いたりしていた時期とも重なり、多大な影響を受けた一枚であることは、すでにこのブログでも何度か書いてきました。

 ちなみに視聴ができるページは、ココ↓

 http://www.wmg.jp/artist/ec/WPCR000013119.html

 
 それぞれいい曲がたくさん入っているのですが、やっぱり左大文字流的に、いちばん大事な曲は

「ティアーズ・イン・ヘブン」でしょうか(^^

 最初はギターで弾いてみて、それをなんとか三味線に移植しようとしていたのが、昨日のことのように思い出されます(笑)

 また、このCDの「いとしのレイラ」はオリジナルと違ってかなりゆっくり演奏されているので、三味線移植向けかもしれません。また挑戦してみたいですね。



2008年11月23日日曜日

【三線ism】  祝! 左大文字流100名突破?!



 さてみなさんこんにちは

 今日は朝から丹波並木道中央公園さんでの手作り三味線講座でした(^^

 公園の1周年記念イベントも同時開催でしたので、駅伝があったり、餅つきがあったり、豚汁なども販売されていてかなり盛況な一日でした。

 今日の参加者の方々は、製作せずに一緒に見ていらっしゃったギャラリーの方を含めると十数名だったのですが、なんだかんだで、左大文字流にかかわってくださった方が100名を突破しました。

 テキストを読んでくださった方、直接てほどきを受けた方、手作り三味線講座にお越しくださった方などいろんな縁で、みなさまと交流を持てたことに感謝しておりますm(_ _)m

これからも、もっとわかりやすく親しみやすい左大文字流を追求してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。



 さて、今日もいろんなところから参加してくださいました。京都市内や神戸・三田など、地元篠山よりもちょっと遠くからの参加が多く、いろんな形で講座の開催を知ってくださったようです。当ブログやmixi・並木道中央公園さんのHPなど、ネットの力はすごいなあ、と改めて感じる次第です。

 夏の開催では小学生のお子さんが多かったのですが、今回は大学生や社会人の方など大人の方ばかりでしたのでスムーズに進行することができました。

 外でイベントをずっとやっていた関係で、比較的おちつかなかったかもしれませんが、お許しください。

 また、参加してくださった感想など、メールやコメントでお知らせくださると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。
 


2008年11月18日火曜日

【三線ism】 手作り三線・三味線講座案内です





 さてみなさんこんにちは

 ちょっとずつ更新が空いてしまいましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

 あれよあれよという間に、今週末の日曜が手作り三味線講座の実施日になってしまいました。

 11月23日(日)いつものように丹波並木道中央公園にて開催しますので、よろしくお願いします。

  当日は、丹波並木道中央公園さんの1周年イベントも盛りだくさんですよ!


2008年11月5日水曜日

【三線ism】 三線はストラトキャスターになるか?!



 さてみなさんこんにちは

 先日紹介した「ソリッドピックアップ」くんのデモができました(^^

 エレキ三味線+エフェクターなので、やってることは前にも載せた「エレキ三味線デモ」と同じなのですが、消音ウマと一体化しているところが超便利です。


ソリッドピックアップ デモ 三線 左大文字流

 エフェクターはZOOMの503という機種です(アンプシュミレータ、だそうですがマルチとほとんどかわらん)。

 三味線の世界で、こういうことを追及したい人は、多くはないと思いますが、エレキギターのシェアをちょっとでも奪えればよいかな?!と(笑)

 エレキギターを否定しているのではなく、レスポールもストラトもテレキャスも大好きだからできる技です(笑)。エレキ界への三味線弾きの精一杯の敬意の表し方だと思ってくださればうれしいです。
 
 

2008年10月31日金曜日

【三線ism】 三線はレスポールになるか?!











 さてみなさんこんにちは!

 今日は面白いものが完成しました(^^

 以前から左大文字流の理論や考え方についていろいろ書いていますが、その根底に流れている思想として「三味線楽器は、ギターになりうるか?」という大きな命題があります。

 ギターは本来なら一部のヨーロッパの民族楽器であったのが、いつのまにやら世界楽器になっています。三味線や三線だって、世界楽器になりうる可能性だけはあるはずだ!という壮大な夢なのですが。

 さて、ギターが進化の速度を速めたのには「エレキギター」の登場という大きな歴史の転換点がありました。

 三味線にもエレキ三味線は存在しますが、特にアメリカにおけるエレキの進化とは本質的に違う部分が一点あります。

 それは、エレキギターは、アコギからセミソリッド・そして完全ソリッドへと楽器本来の「胴による共鳴」を捨ててしまったことにほかなりません。三味線の世界では、まだ完全ソリッドの三味線や三線は登場していないのが実情です。

 もちろん、現在の音楽的内容を考えると完全ソリッドの三味線楽器が必要な音楽ジャンルは存在しないので、まだまだソリッド三味線の登場には時間がかかると思います。

 そこで、左大文字流では、旧来のアコースティック三味線・三線のよさを生かしながら、新しい音楽性を追求するツールとして「セミソリッド三味線」的なパーツを開発してみました。


 それが、今回紹介する「三線ソリッドピックアップ(仮称)」です!!

 これは、原理は消音ウマ(消音駒・忍び駒)にピエゾピックアップを一体化させたものです。いままでの三線・三味線用ピックアップはあくまでも胴の共鳴と駒の振動を拾っていたため、エレキ三線やエレキ三味線はエレキ音と同時に「本来の共鳴音」も出していました。

 ところが、このソリッドピックアップは、消音ウマですから三線・三味線本来からの音は出ません。胴の音は消音してしまって、出すのはエレキ音だけです。

 これはある意味では三線の本来の音を消し去る行為ですから、「三線にあるまじき行為」でもあります(^^;

 しかし、私の狙いは将来来るべき「完全ソリッド三線」時代の先取りですから、1棹の三線・三味線でアコースティック三線も弾けるし、ソリッド三線も弾けるという利便性を追求してこういうパーツにしたわけです。(いまの三線が無駄にならないしね!)

 さて、この作品には、もうひとつ大きなツボがあります。それはエレキとしてすぐ弾けるように「ジャック内臓」にしたことです(笑)

 これひとつあれば、すぐにエレキ三線に早がわり、というわけです!

 肝心の音のほうは、すでに弾いてみたのですが・・・・・次回のお楽しみに!


2008年10月25日土曜日

【三線ism】 遺伝子組み換えカイコのニュース 三味線弦と絹糸



さてみなさんこんにちは

 ヤフーにこんなニュースが載っていました。

 「<カイコ>遺伝子組み換え、蛍光色の絹糸に成功 農業生物研」
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081024-00000101-mai-soci
 
 我々三味線弾きにとってはなくてはならない絹糸ですが、カイコの遺伝子を組みかえることで、たとえば蛍光色に発光する絹糸をつくりだすことができたそうです。

 こんな絹糸を使えばライブで光る三味線弦とかも製造可能だと思いますが・・・。

 さて、見かけの派手さが必要かどうかはさておき。そもそも三味線の弦が黄色に塗ってあるのは、強度アップのために昔たまごの黄身を塗っていた名残だとか・・・(^^;

 遺伝子組み換えが良いか悪いかの賛否は別にしても、強度がもっと高い「切れない絹糸」なんかが出てくると服飾業界でも三味線弦でも、かなり嬉しい製品になることはまちがいないでしょうね。


 ・・・ちなみに、そんな私は最近奄美弦を愛用しています。ナイロン弦なのですが、細いわりに強度もあって、繊細かつ大胆な音色を出してくれます。

 楽器との相性なのかもしれませんが、手作り三味線は絹糸を張るより奄美弦を張るほうがいい音がします。


2008年10月24日金曜日

【三線ism】  youtubeがJASRACに対応!



さてみなさんこんにちは

 今日のyahoo!ニュースにyoutubeがJASRACと音楽著作権の包括利用許諾契約を締結したとのニュースが載っていました。

 youtubeを利用している身としては、たいへんありがたいことですm(_ _)m

 youtubeとJASRACが契約
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081023-00000031-inet-inet

 なにができて何がダメなのかはこちら
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081023-00000002-jct-sci


JASRACの功罪については、いろんな意見があるところですが、いますぐどうこう改善されるわけもないと思うのでボチボチつきあっていくしかないのかなあ、と思います。

 ホントは左大文字流コード対応のソングブック・コード本みたいなのも編集したいのですが、JASRACさんを避けては通れないので、これもゆるゆるやろうと思っています。





2008年10月21日火曜日

【三線ism】 アンジェラ・アキさんの唄を弾いてみました(^^;



 さてみなさんこんにちは

 この間も少し触れたのですが、アンジェラ・アキさんの「手紙 ~十五の君へ~」を弾いてみました。歌ってるのはまた奥さんです。

 一発録音だったので、歌詞が抜けてるとか途中で笑ってるとか、三味線がどんどん早くなるとか面白いところがいっぱいあるのですが、今回はめずらしく

「原曲キーとおなじキーで弾く」

という技を使ってます(^^

 というわけで、演奏よりそこに注目!

 いつものように相対コードで弾いていますが、カポを3フレット(というよりポジションか笑)につけてます。CFC調弦でここにカポするとちょうど原曲どおりの音になります。

 私の声で歌うとだいぶ高いので声がでませんが女性はこっちのほうがいいと思います。


手紙 ~拝啓 十五の君へ~ 三線・三味線で



 カポを使いこなせるようになると。まさにギターのように変幻自在ですね。三味線だと○本調子とか調子を変える際に、無理して弦のテンションを上げてしまったり下げすぎたりしますが、カポがあるとかなり自由度が増します(^^

2008年10月19日日曜日

【三線ism】 どんぶらこの研究 子供向け教育楽器?!






 さてみなさんこんにちは

 先日から子供向け三線・二線の「ごんたん」と「どんぶらこ」について研究している左大文字です。

 考えてみれば日本の音楽教育では、弦楽器というものにあまり触りません。

 小学校では鍵盤ハーモニカ、そしてリコーダーが定番楽器ですが、中高へ進んでもアルトリコーダーが増えるだけで、結局弦楽器には触れないままのようです。

 最近では和楽器も学校で扱いなさいということで箏や三味線に触れる機会はあるようですが、それでももうすこし小さいうちから弦楽器に触れてもいいのではないかしら、と思うわけで。

 さて、子供たちが触るに理想的な弦楽器とはどんなものでしょうか。

 鍵盤ハーモニカは、鍵盤楽器入門にはたいへん適していると思います。リコーダーも簡単に音が出ますから吹奏楽器の入門編としてはバッチリです。ところが、鍵盤ハーモニカは大人になってから楽団やバンドで演奏する楽器としては超マイナーです。リコーダーですら吹奏楽部で吹いている人はほとんどありません。

 つまり日本の音楽教育は、楽器のメジャー性マイナー性についてはぜんぜん無頓着であることがわかります。将来的に広まっている楽器を勉強する必要はないという考えなのでしょうかね。

 だとすれば、どんぶらこなんていい教材だと思うのですが(笑)

 弦楽器で、最低限のハーモニーが出せるように複弦にしていますし、けっこう乱暴に取り扱っても大丈夫です。他にはあまり使われない楽器かもしれませんが、三味線楽器にすぐに移行できるようになっています。

 どんぶらこで学習できることはたくさんあります。

①調弦
 子供向け楽器の大半はチューニング不要ですが、チューニングという概念はきちんと学んでおかねばならない概念です。だからどんぶらこでは最低1弦をなんらかの基準音にあわせて調弦し、2弦目を1弦目を利用してチューニングすることができます。
 移調の概念とか、カポなどを使えば鍵盤楽器よりはるかにわかりやすいのではないでしょうか?


②ポジション
 音は無限大ですが、人は音階を有限のものとして扱うことがわかります。フレット楽器で得られない音のひろがりの面白さが三味線楽器では学習できます。


③ストロークやアルペジオ
 どんぶらこは複弦楽器なので、単音だけでなくストロークやアルペジオが最低限度学習できます。


 ・・・というわけで子供さんの弦楽器入門用にポジションをふってみたのが下の写真です。
 西洋音楽との親和性を高めるために、まずはドレミファソラシドから入ります。のちに、半音のポジションを学習してもよいかも(^^

 調弦は三味線楽器の下2本と同じですから、コード弾きもそのまま移植できるようになっていますよ。

2008年10月16日木曜日

トンコリンの演奏法 コードで弾いてみる



 今回はトンコリン演奏法の第二弾です。

 以前は三線・三味線的な弾き方についてちょっと書きましたが、youtubeでデモしているような「コード演奏」はどうやっているのか、ということについてです。

 世の中にはコードで演奏する弦楽器がたくさんあって、身近なところではギター(6弦)とかウクレレ(4弦)がありますね。最近では、BIGINの発案した「一五一会」(4弦)シリーズなんかもコード楽器として定着しつつあります。

 トンコリンも4弦仕様や6弦仕様にすれば、ギターやウクレレのコードが使えるのですが、三味線とのコラボなので3弦仕様です。

 3弦の楽器でコードが弾ける楽器は、メジャーな世界ではあまり存在しません。日本発の楽器で、一部の方に人気があるのが「ミンミン」です。これは3弦のギターみたいなやつ。おなじようなシステムで、アメリカ発なのが「ストラムスティック」です。こっちも3弦なのですが、フレットの打ち方が変わっていて、半音が出せなくなっていたりします。
 偶然なのかわかりませんが、ミンミンもストラムスティックも形はそっくりです(^^涙型というかひょうたん型というか、ハクション大魔王のつぼみたいな形で棹を伸ばしたような感じです(笑)

 ミンミンもストラムスティックも、パワーコードみたいなチューニングを使うのですが、トンコリンあくまでもトンコリ+三味線なので、三味線のオーソドックスなチューニングである「本調子」にあわせています。

 したがって開放弦は低いC・F・高いCに調弦します。スタートはCでなくても本調子であればなんでもかまいません。

 肝心のコードの押さえ方は、三味線や三線用のコード体系である「左大文字流コード」を流用しています。



 左大文字流の考え方では、楽器というのはパソコンみたいな「うつわ」「ハードウエア」ですので、そこで実際にどんなジャンルの音楽を奏でるか、というのは「なかみ」「ソフトウエア」に当たります。

 また、ドレミファソラシドみたいな音階とか音律といった概念は、どんなソフトを奏でるかのベースとなる「OS(オペレーティングシステム)」に相当するわけです。

 和な音階で三味線を弾けば、民謡や邦楽になるでしょうし、ドレミの音階を使えば、どんな楽器でも洋楽が奏でられます。

 というわけで、左大文字流のコード体系を使えば、どんな楽器でも3本弦の楽器なら和音が楽しめるはずだ、というわけです。

 上のリンク先には、三味線楽器でコードを弾く場合の理論も載っていますので、ご参考に。

【三線ism】 手紙 ~拝啓 十五の君へ~



さてみなさんこんにちは

 最近、ラジオでこの曲を聴いてにやりとしてしまいました(^^

 アンジェラ・アキさんの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」ですが、中学生用の合唱曲として作られただけあってめちゃくちゃわかりやすいコード進行ですね。

 左大文字流の三線・三味線コード弾きで弾く場合は、基本の5つのコードで大半が弾けます。

 ただ、サビの一部であまりつかわないコードが1つだけ出てくるのと、一部転調するところがちょっとややこしいかもしれません。

 挑戦してみたい人は

 http://music.j-total.net/data/001a/070_ANGELA-AKI/006.html

 にコード譜がありますので、練習してみてください。

 相対コード型で弾く場合はCスタートです。(相対コードのほうがやりやすいです)

 歌詞1番くらいならさらっと弾けると思います(^^
 


2008年10月11日土曜日

トンコリは「琴」なのか、それとも「リュート」か?



 毎度おなじみ流浪のトンコリニストです。

 トンコリそのものについて調べていると、どうやらいわゆる筝(そう)の先祖である和琴との共通点が見えてくるそうです。

 琴というのは、外国のツィターやハープなんかもそうなのですが、基本的にチューニングされた開放弦だけを演奏する楽器ですね。

 いわゆる筝は、琴柱という擬似ナット(上コマ)を各音階に合わせてセッティングするので、おおざっぱに言えば開放弦楽器だとも見ることができますね。

 琴柱はフレットの代用品なのか、それともナットの代用品なのか、おもしろい論点かもしれません。

 ところが、トンコリと関係の深い和琴も5弦・6弦の楽器なのですが琴柱を使います。むしろあの三味線みたいな糸巻きと糸蔵はない楽器で、調弦はもっぱら琴柱で行うわけです。

 じゃあ、トンコリは結局「琴属」なのでしょうか?それとも糸巻きを持つ「リュート属」なのでしょうか?

 私は、トンコリンを考え付いたときに単純にトンコリの胴(琴属)と三味線の棹(リュート属)をくっつけりゃいいや!と思っていたのですが、もしかするとはるか昔のアイヌの人々もおなじようなことを考えたのかもしれません。

 トンコリが楽器としてどんなルーツをもつのかわかりませんが、単純に糸を張っただけの楽器(琴属)が和琴系で既に存在していて、あるいはモンゴルやシベリヤを経て馬頭琴のような糸巻きと糸蔵のヘッドが樺太方面へ入ってきたとしたら、そこで融合が起こっても不思議ではないわけです。

 となると、私がトンコリンでやろうとしていることは、はるか昔のアイヌの人々が既に試みていたことになりますね。

 つまり、南方から入ってきた琴システムと、北方から入ってきた糸巻き糸蔵システムを古代アイヌ民族が「くっつけた」という仮説が成り立つわけです(^^

 あら、まさしくこの発想はトンコリン!!

 ・・・昔の人は偉大だなあと思いつつ、今日も温故知新に励みます!

【三線ism】 津軽三味線で・・・



 さてみなさんこんにちは

 三味線にもいろんな種類があるのですが、私は津軽三味線を弾いたことがありません。基本的に、長唄の細棹と地唄の中棹、三線ぐらいにしか触っていないので、東さわりのついた津軽系の三味線も、もちろん文楽などで使われる太棹も弾いたことがないのです(^^;

 津軽三味線は吉田兄弟などで一時ブームが来て、それで演奏しておられる人口も多いと思うのですが、なぜか私の周りでは津軽三味線に触れる機会がなかったのは、やっぱり私が関西の人間だからでしょうか?(笑)

 津軽三味線は関東以北が多く、地唄・三曲系は関西が多いような気がしています。

 さて、その津軽三味線ですが、ベースとなるチューニングが二上がりのことが多いようです。もちろんどの流派でも本調子・二上がり・三下がりは共通して使用するチューニングなのですが(沖縄三線でもおなじです)中でも津軽三味線は二上がりを多用するようです。

 で、その二上がりのままコード化できないかどうかちょっと実験しているのですが、結果から先に言えば、あまりうまくいっていません(T_T)

 もともと最初に三味線のコードを開発したとき、私は大学生でしたが最初にコードで弾いたのが、

 氷室京介のKISS ME
http://ja.wikipedia.org/wiki/KISS_ME_(%E6%B0%B7%E5%AE%A4%E4%BA%AC%E4%BB%8B)

でした(笑)

 その頃、かなりヒットしていたポップスでロックだったので、きっとそのときの私は「とりあえずこれを弾いてみよう」とチャレンジしたのだと思います。

 で、そのとき最初にコードを組もうとして使ったのが二上がり調弦だったわけです。なぜいきなり二上がりだったのかは覚えていませんが、きっと長い棹の長唄三味線でなるべく押さえやすくするには二上がりがちょうどよかったからだと思います。

 ところが、いくつかのコードはいいのですが、どうしても棹が長いのと二上がりでの音の配置がうまくいかず、押さえられないポジションがたくさん出てきてしまったのです。

 そこで、「じゃあ、本調子ならどうだろう」と組なおしたところ、いまでいう相対コードの「F」がセーハしなくちゃならないみたいに、「そこそこめんどくさい押さえ方なんだけど、全体的にはまともに押さえられる」ことがわかってきたので、本調子に変えたような記憶があります。


 というわけで二上がりでの三味線コードはまだ研究途上です(^^;


2008年10月7日火曜日

【三線ism】 新作ができました(笑) 「どんぶらこ」と「ごんたん」






 さてみなさんこんにちは

 先日、カザフスタンの楽器「ドンブラ」について書きましたが、どうしても2弦の楽器を作ってみたかったので試作してみました。

 ついでにいつものとおり同じサイズの三味線も作ったのですが、このふたつは兄弟作品ということでデザインをそろえてみました(^^

 コンセプトは「こどもが弾きたくなるような楽器」ということで、思い切ったアレンジデザインを採用。

 2弦のほうが、ドンブラをもじった「どんぶらこ」3弦のほうが宮崎の木製三味線「ゴッタン」をもじった「ごんたん」です。ゴンタなこどものイメージで(笑)

 サイズはシャミレレなので、音もシャミレレに近いです。ただ、ちょっとだけ胴の容積が増えている関係でニュアンスが微妙に変わっています。

 気づく方は少ないかもしれませんが、胴の形がかなりいびつです。左右対称にならないように作っています。各辺の長さが全部違うので、ばらばらな形の四角形だと思ってください。

 なぜこんな形にしたかというと、子供に興味を持ってもらいたかったので、こどもが描く顔の絵や、四角をイメージして、とにかく自由自在な形にしたわけです。
 演奏のしやすさにはあまり関係がないようですが・・・。

 小さな子供でも三味線楽器に興味をもってくれれば、その後の成長での邦楽への関心度合いが変わってくるかもしれませんね。いかがでしょうか?



2008年9月27日土曜日

トンコリン 4号機完成!


サンプル用のトンコリン四号機ができました(^^

 写真の左のほうです。参号機に比べてちょっと長いのがわかるかと思います。

 4号機は弦長を580ミリに設定したので、その分胴が長くなっています。また、棹に使っている材を、前回までの25ミリから30ミリに拡大しています。どちらが弾きやすいかは好みによるところなのですが、25ミリのほうがコード演奏時にセーハはしやすいです。

 塗装は、クリアラッカーの2層仕上げにしてみました。薄くスプレーを振っているので、ぎらぎらべたべた感がなく、ほんとうに防水・防汚対策程度です(^^;

 弾いてみた感じは、棹に使った材が今回はSPF材なので「めっちゃ軽い!」感じです。いままでより大きいのに軽いということは、ヒノキはそこそこ重量感があるということでしょうか??

2008年9月25日木曜日

トンコリンの演奏法 沖縄三線のように弾いてみる



さて、トンコリという楽器は、もともと開放弦(5弦のものが多い)だけしか演奏できないので、メロディというよりもリズムに近いような弾き方をするようです。

 トンコリの実物を見たり、生演奏を聞いたりしたことはあるのですが、実際に練習したわけではないので、私はそれほどトンコリ通なわけではないのですが(^^;

 一方のトンコリンは、開放弦だけでなく音階もちゃんと演奏できます。

 というのも、上半分の構造は三線や三味線そのものなので、ハイポジションを使わないのであれば、三線や三味線として演奏することも十分可能なのです。

 図面を挙げておきましたが、トンコリンは弦長に対して、だいたい半分が棹半分が胴になっています。ということは、開放弦から弦長の中央までが1オクターブですからギターで言う12フレットまでが演奏できる計算です。(厳密ではないですが、最低12フレットくらいまでは確保して作っています)

 三味線も三線もチューニングはおなじなので、だいたいCFCに調弦することが多いようです。もちろんトンコリンもCFCで調弦するのですが、弦長が短い場合は1音とか半音とか上げてチューニングしてもOKです。

 私の場合は、Dベースにすることが多いですが、これは1~3号機が弦長520ミリというショートスケールなのでそうしているだけで、4号機は弦長580~600ミリくらいで設計しているのでCベースになる予定です(^^

【三線キットマニアックス】 ホームセンター メイクマンさんの三線キット作り方




久しく更新がとまっておりごめんなさいm(_ _)m

 ちょっと別のものを作らなくてはいけない日々が続き、究極の三線キットづくりもちょっとだけタイム!です。ちゃんと再開しますのでお待ちください。

 今日は、沖縄のホームセンター メイクマンさんのページにカンカラ三線のつくり方が載っていたので紹介しておきます。

 <ホームセンター メイクマンさんのカンカラ三線の作り方>

 http://www.makeman.co.jp/

 ページ右下ぐらいにリンクがあります。

 糸巻きの加工の方法からはじまり、カンカラ三線づくりの基本的な手順が全部載っていますので参考になると思います。

 三線キットはどこのメーカのでも、基本的な構造はおなじですので、いろいろ比べながら、自分がどういう三線を作りたいかじっくり考えることができますね!

トンコリン 4号機製作



 多民族楽器トンコリン3号が、そこそこ満足のいく出来だったので、昨日から4号機の製作に入りました。そんな立て続けにたくさん作ってもしゃーないのですが(^^;ちょっと思うところあって、プレゼン用の試作にしたいのです。

 3号機までと4号機の違いは、全長です。4号機は全長がちょっと長くなっています。

 というのも、3号機までは全長を沖縄三線とおなじ76センチに設定していたのですが、これだといろんな関係で弦長が52センチくらいになってしまうのです。

 弦長52センチというとかなり楽器としては弦が短いので、ウクレレとはいいませんが、ミニギターくらいの短さになってしまいます。

 沖縄三線は弦長が60センチくらいなので、こんどはそれに合わせてみようという試みです。

 というわけでこんどのトンコリンはちょっと胴が長くなります(^^沖縄三線からトンコリンに持ち替えても、演奏感は同じような感じになると思います。

2008年9月24日水曜日

【三線ism】 手づくり三線講座報告









 さてみなさんこんにちは

 昨日は、定例の手作り三味線講座でした。今回は超少人数だったので、ほとんどお昼すぎには全工程を終了(笑)ほぼマンツーマンで作ってもらいました。

 我流だけどギターをやってます、という方はシャミレレを製作なさったのですが、すぐにコツを飲み込んですらすら弾きこなされていました(^^

 弦楽器の経験があるとさすがに上達が早いと思います。(きっとシャミレレやコード弾きがギターに近い弾き方をするからだと思います。撥を使って三味線として弾くのはまたこれが大変なんですが)


 写真を撮れなかったので、アップしたのは公園から借りてきた「シャミレレ」です。これは試作品だったやつなのですが、とってもいい出来です。(実際は、裏板の仕様とか糸蔵のつくりが微妙に違います)

 昨日はシャミレレと三線サイズを弾き比べる時間もあったのですが、シャミレレは高音域がきれいに出ます。三線サイズはやっぱり低音寄りです。


 次回の手作り三味線講座は、ちょっと先ですが11月23日です!この日は公園のイベントもたくさんあるので、ぜひお立ち寄りください。


 ☆手作り三味線(シャミレレ)講座☆

 丹波並木道中央公園 兵庫県篠山市西古佐90 079-594-0990

 9:30~16:00ごろまで(人数によって早く完成することもあります)

 制作費 4500円 (楽器本体と教則本がつきます)

 手作り三味線の製作と演奏法のレクチャーがセットです。

 先着15名ですので、お申し込みは公園管理事務所までお願いします。




2008年9月18日木曜日

【三線ism】 小は大を兼ねない? 華額(はながく)つづき



さてみなさんこんにちは

 ここのところ工房でも三味線づくりは休憩して、生け花教室で使われる予定の華額づくりにいそしんでいます。

 うちの身内からも「作ってほしい」という声がかかっていて、そこそこの数を作らなくてはなりません。(家の外壁にかけて、道行く人からも見えるようにしたいそうです。アルミサッシに掛けられるように壁掛け型に作る必要があります)

 屋外型は、塗料を変えたり、排水機能をつけたりと工夫しているのですが、場所によっては風で飛ばないようにとかいろいろ機構をプラスします。


 さて、今日は華額設計の難しさについて。

 華額は大・中・小の3タイプあるのですが、その他に「一輪挿し仕様」というオプションを設計しています。これは、小さいタイプの華額なのですが、小さいからといってけして「お手軽」ではありません。

 というのも、小さい箱の中に花を生けるというのは、なかなか難しい作業で、たとえばドライフラワーを箱のなかにアレンジするとかならまだ「つっこんでいけばいい」のですが、花をちゃんと生けながら小さい空間に入れるというのは難易度が高いのです(^^;

 入る器が数少なかったりするので、フラワースポンジをうまく敷き詰めるなどの「ちょっとした工夫」が必要になります。

 こういう微妙なポイントは、設計段階ではわからないもので、実際に友人に「生けて」もらいながらいろんな発見が生まれる次第で・・・。

 というわけで、写真は小さい額ならではのオシャレな生け方の例です(^^

「なるほど!そういう方法もあるのか~!」

と目からうろこな感じです。


2008年9月16日火曜日

【三線ism】 カタログNO.4 華額(はながく)







  ~ 華額(はながく) ~



 生花・プリザーブドフラワー・ドライフラワーなどに対応した立体額です。

 器・剣山・スポンジなどを使って、生け花をそのままいけることが可能です。

 華道理論に基づいて比率や大きさを設計していますので、額装するだけで容易に美しく表現することが可能です。


 大・中・小の3つのサイズを用意しています。(写真には一番小さいサイズも写っていますが、このタイプは生けこみに高度な技術を要するので初心者にはお勧めしていません)


 室内用・屋外用の2タイプが製作可能です。(塗料の対候性などが異なり、屋外用は排水機能がついています。

 枠・額本体の色はお好みのものが可能です(要相談)


 大きさ 「大」(約)520×370×150(ミリ)  参考価格5000円(特注)

     「中」(約)468×333×120(ミリ)  参考価格4000円(特注)

     「小」(約)416×296×120(ミリ)  参考価格3000円(特注)


 華道監修 未生流甲山会  設計 左大文字工房


 ☆特に大はイメージよりも大きい製品です。高さ50センチもあります。しかし、花が実際に入ると、ちょうどよい印象になるから不思議です。写真の白いモデルが「小」です。ご参考まで(^^


 ■ 華額(はながく)製品についてのお問い合わせは

sanshin_ism34@yahoo.co.jp

   左大文字までお願いします。



 ■ 華額(はながく)を使ったいけばなやフラワーデザイン・レッスンなどについてのお問い合わせは

   未生流甲山会  http://www.kouzankai.com/

   までお願いします。




【三線ism】 花とアートと 「華額(はながく)」の世界








さてみなさんこんにちは

 昨日も少しだけレポートした新しいアートな企画について、ご紹介したいと思います。

 写真を見ていただければ一目瞭然なのですが、まるで一枚の絵のようなこの花の写真、実は

 額の中に生花が生けてあるのです!!


 特に最初のひまわりは、まるでゴッホが描いた「ひまわり」の絵がそのまま実写になったようで、面白いと思いませんか?


 この「生け花」をそのままアートにしよう!という試み、私と友人の華道家との共同で考案したプロジェクトなんです(^^


 名前は「華額(はながく)」といいます。


 額そのものは木工製品なので、これを使った新しい生け花やフラワーアレンジメントの世界をいろいろ二人で発表してゆければいいなあ、と思っています。みなさんからもご意見などいただければ、生かしていきたいです。


 立体物を収納できる額そのものは、他にもあると思うのですが、この「華額(はながく)」は立花がもっとも美しく見えるような額内部の空間を緻密に計算してるので、それが他の額とはちがうところです。

 ここまで作るのに、華道的な理論から算出したり、実際にモデルを作って実験したりなど、かなり工夫をこらしていますので、誰でも基本的な理論をちょっと学べば、この「華額(はながく)」で美しく花をアートできるように考えています。


 写真の製品は室内用なのですが、室外用(ガーデニング用)や壁掛け対応も可能です。

 というわけで、まずはざっくりとご紹介でした(^^


2008年9月15日月曜日

トンコリン 演奏デモ 「大空と大地の中で」



 トンコリンの演奏デモです。
 
 北海道にちなんで松山千春を弾いてみました(^^

 トンコリンは音が軽やかなのでウクレレみたいな感じもありますが、弦長が長い関係でもう少し厚みのある音がします。コードで弾くとなんとも言えない素朴感がありますね。

2008年9月12日金曜日

他民族自作楽器 トンコリンが出来ました!




いよいよ3号機のトンコリンが完成しました!

 というわけで、早速弦を組み付けして音を出してみたのですが、

 !!!

 いいじゃないですか!

 これまでとはまったく違って、そこそこの音量とやわらかくも素朴な音色が出ています(^^

 やっぱり胴部分を容積的にかなり広げたのがよかったのだと思います。

 各部の写真もアップしました。

 棹は、単純な三味線構造ですが、胴はトンコリらしさを残しつつアレンジしています。

 全長は76センチ、幅は9センチ、厚みは6センチが基本ですが、手作りですので多少は変動があるかと思います。

 次は、実際の音を紹介しますのでお楽しみに!

【三線ism】 芸能神社(^^でイ・ビョンホン









 さてみなさんこんばんは

 全然三味線には関係ないのですが、京都に車折神社というところがあります。大学時代は、嵐電沿線に住んでいたので、たまに散歩がてらいったのですが、ここには日本中の芸能人がお参りする芸能の神様があるのです(^^

 http://www.kurumazakijinja.or.jp/geinoujinja.html

 音楽も芸事なので、ミュージシャンもたくさんお参りしているのですが、名前入りの玉垣を奉納するので、境内にはやたらめったら芸能人の名前が並んでいます。

 というわけで、写真をおもわず撮ってしまいました。

・・・GReeeenのとなりにイ・ビョンホン(笑)なんともいえない取り合わせ。

 ・・・さりげなく「嵐」(^^

 ・・・チームナックスは大泉洋の所属する北海道の劇団ですね。

 というわけで、三味線が上達しますようにお祈りしてきました!


2008年9月11日木曜日

トンコリン 3号機


 いよいよトンコリンの3号機が完成間近になりました(^^

 形は昨日できていたので、塗装に入っています。何度か塗装を重ねるつもりですが、弾けるまでもうちょい!といったところでしょうか?

 形ができた時点で、各部をコンコン叩いてみたり、音の出方をチェックしてみているのですが、1号機・2号機に比べるとだいぶん響きがでてきました!これは期待できそうな予感(^^

 胴を構成する板が薄くなっているので容積をかせいでいることや、1号2号に比べてちょっとだけ胴の厚みを増やして(これも容積かせぎ)いるのがよいのかもしれません。



 写真は塗装前の胴部分です。イメージデザインどおりにサウンドホールを切ってみましたが、次に作るときは改良するかもしれません。

 ぐるぐる渦巻きはアイヌ文様の特徴で、こういうデザインを取り入れると「ぐっと」民族楽器っぽくなります(^ー^

2008年9月10日水曜日

【三線キットマニアックス】  三線キットに魅せられた人々⑫ わずかな希み さんの沖学三線



今回紹介するページはとてもわかりやすいですよ!


 「わずかな希み」さんのページ
 http://wazuka.exblog.jp/5644380/

 私とほぼ同じ方法で仕上げておられるのですが、写真がふんだんに掲載されていてわかりやすいです!

 塗料はカシューの透明でつるつるになるまで気合の入った仕上げになっています。

 私との違いは

 ①透明仕上げなので、下地パテを使っていない → その分下地と塗装後にしっかり磨いておられます。

 ②最後まで研磨で光沢をだしている → めっちゃ時間と手間がかかったと思います。ものすごい労働時間になったはず・・・(^^;

 といったところでしょうか?

 ご本人も「塗りむらが・・・」と何度もコメントされているのですが、透明塗料はかなり難しいと思います。ベタ塗りの黒のほうが、最終的には楽かもしれません。

 ちまたで流行のスンチー塗りのように下地を透かせて塗装したい場合は、カシューや工芸うるしの「透明」や「淡黄」のような明度の高い(明るい)色ではなく

 「ため色」

みたいな暗い色で、よく見ると透けてるぐらいにした方がいいかもしれませんね。

 ちなみに、沖学三線キットの材質は、木目が極端に広い南洋材なので、塗料の吸い込みにかなりムラがあります。まったく塗料が吸わないところも出てくるので、手間ばっかりかかります(^^



2008年9月8日月曜日

多民族楽器をめざすトンコリンのページです




謎と魅惑の新楽器「トンコリン」のページにようこそおいでくださいました!


 トンコリンの試行錯誤がだんだん形になってきつつあるので、改めてコンセプトをおさらいしておきます。


<トンコリンとは?>

 もともとの着想は、北海道のアイヌの人々の楽器である「トンコリ」を見て、これは面白そうな弦楽器だなあと思ったことに始まります。ところが、トンコリは原始的な楽器でもあるため、いろいろと演奏上の制約があることがわかりました。

 トンコリは3弦から5弦・6弦の弦楽器なのですが、細長いボディと棹が一体化しているため、あまり音響的に響きがよくない構造をしています。またフレットもなければ、指板に相当するような構造もないので、開放弦だけでリズムを刻む演奏法しかありません。

 そこで、このトンコリをモチーフに、より現代性をもたせた楽器を作ろうと思い立ちました。



<トンコリンの名前の由来>

 現代楽器といえば、ギターやウクレレのような構造をもたせても良かったのですが、民族楽器としての味わいも残したかったので、おなじ民族楽器の三味線や沖縄の三線を取り入れることにしました。

 三弦は中国発祥の楽器で、沖縄で三線となり、本州で三味線に変化した多民族楽器です。これなら北海道から沖縄まで多民族つながりで面白い楽器ができそうです。

 というわけで「トンコリ」+シャミセン・サンシンの「ン」をくっつけて「トンコリン」のできあがり!


<トンコリンの演奏>

 トンコリでは開放弦だけだったのですが、棹をつけることで指板が(実際には指棹?)形成され、弦を任意の位置で押さえることが出来るようになりました。

 下半分はトンコリの構造なので、ハイポジションは弾けませんがローポジションはかなり自由に押さえることができます。

 弦数は5弦でも6弦でもよいのですが、西洋楽器のように正確なフレットがないので弦数を多くすると正確に指で押さえるのがどんどん困難になってしまいます。それも踏まえて三本弦を採用しています。

 もともと三本弦のトンコリも存在するとのことなので、OKかな?とも思いつつ。


 三本弦になったので、開放弦の表現力は落ちてしまいましたが、ポジションを利用してどんな音階でも演奏可能です。

 ①三味線のように邦楽が演奏できる。
 ②三線のように沖縄民謡も演奏できる。
 ③開放弦でリズムを刻むこともできる。

というのが考えられる演奏法ですが、そこは現代楽器を目指すトンコリンですからもう一歩踏み込んでいます。民族楽器をベースにしつつも、現代楽器として成立してほしいという願いをこめ、

 なんとコード演奏が可能です!



 こんなトンコリンの魅力をぼちぼち紹介してゆきますので、以後よろしくお願いします。

【三線キットマニアックス】  三線キットに魅せられた人々⑪




さてさてこちらはおそらく沖学三線であろうと思われるキット製作記です!


 『がっぱいおじさんの独り言』
 http://tosiboyaga.ti-da.net/e1749958.html

 沖縄在住の方のようで「量販店で買った」とのこと。沖縄はいいなあ、そこらへんで三線キットが買えるっぽい!!

 とてもオーソドックスな仕上げですが。

 でも、よく見ると・・・。

 ①猿尾が交換されてる!

 ②胴掛がついてる!

 ③ウマが黒檀??!

 カスタマイズがしっかりされてます(^^


【三線キットマニアックス】  三線キットに魅せられた人々⑩ 高ソメキャンプ場の自作三線キット



 こちらの製作体験談コーナーは久しぶりの更新です!

 今回はとあるキャンプ場での三線づくりイベントのために自作なさっている(キット化して製作かしら??)お話の紹介です。

 沖学さんの三線キットは、本物の三味線とおなじ形をしているので、自作はちょっと難しいですが、ASHIBI三線やカンカラのキットの棹は、とても簡単なデザインを採用しているものが多いので

「これなら自分で作れそう?!」

と思うかもしれませんね。


 ☆高ソメキャンプ場の不定期日記☆
 http://blog.livedoor.jp/takasome/archives/424285.html

 
 キャンプ場でカンカラ三線製作のイベントをなさったようですよ。

 こちらは、スタッフさんが棹を作っている様子です↓
 http://blog.livedoor.jp/takasome/archives/370553.html


 かんじんの高ソメキャンプ場なのですが、なんと「長野県松本市」にあるそうです!三線も全国展開ですね!

 



【三線キットマニアックス】  究極の沖学三線をめざして④-4 やってはいけない!



前回、上塗りの準備で重要なことを書き忘れていました。

 それは、人工うるしのようなペイントうすめ液系の上に、一般的なスプレーである

 「ラッカースプレー」

をふりかけてはいけない!!!

 ということです。

 ラッカーはペイント系の塗装を侵してしまうので、下に塗った塗料がちぢんだりベロベロになってしまいます。なので、最終上塗りの塗装は必ず

「水性スプレー」

を使う必要があるのです。

※水性スプレーにも、有機溶剤が多少含まれていますので、下地が乾いていなかったりスプレーを濃く吹き付けすぎたりすると、ベロベロになってしまう場合があります。その場合は、一度紙やすりでこそぎ落としてから、またパテ→人工うるし下塗りの工程に戻ってください。


2008年9月7日日曜日

【三線ism】 BEGIN 恋しくて




BEGIN 恋しくて 三線バージョン



 さてみなさんこんにちは

 ずっと「やりたいなあ」と思いながらそのままになっていた「恋しくて」を三線コード弾きで演奏してみました。

 BEGINのイカ天デビュー曲でもあるこの曲は、もともとギター曲なのでコード向きです。
 その後、BEGINは三線を取り入れた曲もたくさん発表して、それらは三線でも楽しめるのですが、さすがに「恋しくて」だけは三線の単音では味わいが足りない気がします。

 コードで演奏したい人はたくさんいると思いますが、これはかなり難易度が高いです。左大文字流のコードテキストに載っているコードだけで演奏できることはできるのですが、押さえ方がすごい(笑)部分があるので練習が必要だと思います(^^;

 でもまあ、こうして弾いてみると、三味線楽器は、本当にジャンルを選ばず使えますね!


2008年9月6日土曜日

【三線キットマニアックス】  究極の沖学三線をめざして④-3 上塗りの前に・・・



さて、何度も下塗りを重ねていよいよ上塗りへと作業を進めたいところですが、ここで考え方が二つあるのです。

 それは仕上げの方法なのですが、ひとつは

 ① うるしの質感を重視してうるしで仕上げたい!

という本格的な選択肢です(^^

 しかし、これはめっちゃくちゃめんどくさいので、ここでは「本物そっくりに仕上がるくせに、実はめっちゃ手抜き」な方法を提案します(笑)それが、

 ② 厚くうるしを塗ったように見せかけて、最後はスプレーで仕上げる

というウルトラマジックです(^^

 そこで買っていただきたいのが、水性のスプレーです!!

 お勧めは、アサヒペンの水性多用途スプレーです。

 これのつやあり黒を一本用意してくださいませ。こいつがびっくりするくらいの仕上げを実現させてくれるのです。

 では続きはまた!




トンコリン 完成予想図


 昨日はボディと棹のおおまかな部分が形になったので、あと数日で本体の概略が完成しそうなトンコリン3号です(^^

 というわけで、表板のサウンドホールを考えなきゃならないのですが、1号・2号は単純に孔を開けただけだったので、今回はちゃんとアートなデザインを取り入れようと思います。

 一応糸ノコはマスターしておりますので、きっとうまく孔を開けられると思いますが・・・(苦笑)

 そこでトンコリン3号は、アイヌ文様を取り入れてみました!実際に板に開けてみないとどんな感じかわかりませんが、ざっくりとイメージ画像を作成。これはプロフィール画像にも採用しました(^^

 もともとトンコリンは工夫をしないと極端に鳴りが悪い楽器ですので、サウンドホールも多めにして、音が抜けるように考えていますが、さて実際はどんな音になるのやら・・・。

 私自身も楽しみな作品になりそうです。

2008年9月5日金曜日

トンコリンの素材変更 アガチスヘ


  毎度恒例のトンコリン製作記事です。

 というわけで、写真は今回アガチスの薄い板材です。6ミリくらいの材を中心に、表板・裏板・側板などに使うつもりです(^^

 ふつうのベニヤはちょっと硬すぎて音がいい場合と悪い場合があります。シナベニヤはまろやかなのですが、ふにゃふにゃしすぎる場合があります。というわけでこのアガチス、どんな音がするのか楽しみです。

 昨日は、この板を使ってだいたいのボディを製作しました。次は棹と組み付けたり表板を加工したりするつもりです。

 ボディサイズは前回までのトンコリンを踏襲するつもりなのですが、本物のトンコリはちょっと大きすぎる気がするのでいつも悩みです。

 ギターなどでもそうですが、ボディが小さいと鳴りが悪いし、大きくなりすぎるとコモッた感じになるのでバランスが大切ですね。

 こればっかりは歴史のある他の楽器とは違い、新作楽器は試行錯誤するしかないので、実験あるのみです!

【三線キットマニアックス】 究極の沖学三線をめざして④-2 塗って削ってまた塗って








 パテ塗り&人工うるし塗装&研磨を繰り返すと、だんだん棹の表面の凹凸がなくなっていきます。そのぶん目が詰まってくるのでパッと見はまだらっぽくなるかもしれません(^^;

 このまま表面をなめらかにしてゆくのが大切ですので、ゆっくりと作業してあげてください。

 写真は、大体4・5回くらいパテ、うるし、研磨を繰り返した状態です。

 白っぽいところがパテになります。



2008年9月4日木曜日

【三線ism】 ドゥーパ!に載りますよ



 さてみなさんおはようございます。

 恒例の手作り三味線講座の記事が(今回はちっちゃい記事ですが)学研のDIY専門誌「ドゥーパ!」に掲載されます。もし良かったらご購入&ご一読くださいm(_ _)m

 https://www.diyna.com/bookshop/DOPA/new.html

 9月8日発売の10月号、インフォメーションコーナーに載るようです。主に9月と11月の講座の案内中心になるようですが。

 ドゥーパ!は手作り木工関係では、唯一といっていいほどの一般誌で隔月発売です。木工自作に関することならなんでも載っているので読んでいて面白いです。

 どちらかというと自分でできるぷちリフォームとか、小屋とかウッドデッキを建てようとか、DIYの中でもちょっと大掛かりなものが好きな傾向の雑誌ですが、机・イスなどの定番もちゃんとあります。

 わたくし左大文字は、人類が作ったものは基本的に全部自作できるはずだ!という信念で動いていますので、なんでも作ろうとするためいつも参考にしています(笑)


2008年9月3日水曜日

【三線キットマニアックス】  究極の沖学三線をめざして④ 塗装編









 今回は、いよいよ塗装に入ります。といっても、塗装しながらまたパテ塗りに戻ったりするのですが(^^;

 塗装に使うのは、ワシンさんの「工芸うるし」(人工うるし)がベターではないでしょうか。お近くで手に入らない場合は「カシュー」という人工うるしでもOKです。

 本漆で塗装することも考えられますが、コストが高いのと扱いが難しいことからここでは見合わせておきましょう(笑)

 人工うるしはペイントうすめ液で稀釈しますので、合わせて購入しておきます。

 
 では作業に(^^


 パテが完全に乾いたら、紙やすりをかけておきます。ゴシゴシこする必要はないのですが、パテが意外に頑固に残るのでなめらかになるように仕上げます。

 この段階でもまだ凹みや傷が残っていると思いますが、これからうるし塗料とパテを交互に塗る中でだんだんと表面を均一にしてゆきます。 

 人工うるしが他の塗料と違うのは、肉盛り感が出るということですね。普通の塗料は、木の地肌に張り付いて膜を形成すると、下地のでこぼこも写し取ってしまいますが、うるし系の塗料は、ボテッっと塗り隠してしまうことができます。

 逆に一気に濃いうるしを塗るとボテボテになってしまうので、うすめたものを何度も塗り重ねてゆくほうがよいでしょう。

 また、薄めた人工うるしは垂れやすいので、少量ずつ塗ります。最終的に多少の垂れができても、あとでペーパーがけをどっちみちしなくてはならないので、ここでは気にしなくてOKです。


 さて、一度目の塗装が終わると、乾燥後またペーパーがけをしてください。

 そこから何層にも塗装するのですが、大きなへこみや傷が残っている場合は少しずつ薄めたパテをまた塗ってゆく作業をします。

 棹がほとんど滑らかになっていると思えば、そこからはパテを使わずに薄めた人工うるしだけで塗り重ねてください。

 私の場合は最低でも同じような工程を5回は繰り返しています。気に食わない箇所があれば、修正できるのは今だけなので、納得のいく形にします。

 薄めた人工うるしでも、3回くらい塗り重ねると真っ黒に仕上がってきます。これをもって本物の三線のうるし仕上げに近づけてもいいのですが、どうしてもほこりがついたりハケの塗り目がついたりするので最後の仕上げは別の方法を考えなくてはなりません。それはまた次回!



2008年9月2日火曜日

【三線キットマニアックス】 究極の沖学三線をめざして③-2 唄口の設計







 棹の塗装を進めていくと、どうしても事前に考えておかないといけない部分が出てきます。

 それは唄口が塗装でだんだん埋まってしまうので、そこをどうするか計画する必要があるのです。

 沖学さんの三線キットの唄口部分は、あらかじめ溝が切ってありますが、ここが塗装が厚くなるたびに多少埋まっていきます。

 そこで、丁寧に作る場合は、最終的に唄口のパーツが埋め込めるよう、この溝をノミや彫刻刀で彫っておくことが大切になります。

 簡易的に作る場合は、薄めの材で作った唄口をあとから貼り付ければいいので、溝が埋まることを気にせずに進めてゆくことも出来ます。

 本物志向をめざすとどうしても加工に手間がかかってしまいますが、キットならではのいいところは本物どおりでなくても結構自由に改造ができるところですね。

 ちなみに、沖学さんのキットに付属してくる歌口パーツは、ちょっと厚みが薄めなので、溝にきっちりハマるというよりは、溝に入れてやってボンド等で固定する、という形に近いと思います。

 このあたりは、市販の唄口パーツに取り替えたり、木片から作り直したり、カスタマイズが楽しい部分です。


2008年9月1日月曜日

【三線キットマニアックス】  究極の沖学三線をめざして③ 下塗り







前回までで、棹の補強と整形が終わりましたので、今回は棹の塗装の下塗りを行いたいと思います。

 前回も紹介したセメダインの「木工パテA」を水で溶いて、とろとろの状態にします。

 それを棹の全体に筆などで塗っていきましょう。

 一回目のパテ(薄めたもの)塗りは、木の繊維の小さなすきまを埋めていく工程です。このとき、表面の多少のいがみや、でこぼこもパテで吸収する目的がありますので、これから何度かおなじ作業を繰り返す必要があります。

 パテを薄めるとき、濃度が高すぎると全体にボテッとした仕上がりになります。逆にシャバシャバで薄すぎると、なかなか肉盛り感が出ません。

 ですが、最初は薄めから塗っていったほうが、修正がしやすいのでお勧めです。

 写真はちょっと濃い目で塗ったものです。ボッタりしていますが、乾くと多少ふつうに戻ります。

 このパテ作業、乾燥後に紙やすりでしっかり磨いて表面をなめらかにしてください。ここでもまだ凸凹があるようでしたら、もう一度パテを塗るか、次の作業とパテを交互に繰り返してください。



<次の作業は?!>

 ワシンから発売されている合成うるし「工芸うるし」を薄めて塗る作業が待ってます。ワシン工芸うるしがない場合は、カシューでもOKです(^^

 色はせっかく三線を作るのですから黒で!
 
 ワシンの工芸うるしはこちら↓

 http://www.washin-paint.co.jp/product/details.php?item_id=100036

 薄めるのはペイント薄め液が必要ですので、これも買っておきましょう。