2021年12月10日金曜日

本格カリンバを作る 自作・手作りカリンバの作り方 その3 いよいよ組み立て~完成へ

 

 さてみなさんこんにちは

 

 カリンバ作りもいよいよ大詰めです。ボディが完成したら、必要なパーツを2本作っておきます。

 

(ただし、このパーツはなくてもOK。後で説明する部品キットに付属していることがあるからです)

 

 カリンバのキーを支える棒が2本必要ですが、

 

①  幅10㎜、高さ9㎜の棒材 長さ107㎜

②  幅10㎜、高さ9㎜の棒材 長さ115㎜


となります。高さが9㎜と絶妙なので、1センチ×1センチの棒をわずかに削っても大丈夫です。また、幅は12㎜でもOK。

 

 また、棒はなるべく硬い木がいいです。17本のキーの力を全部受けるのと、それをボディに伝達する役割があるので、柔らかい木だと、変形したり、音が減衰したりするからです。

(”杉”などが、やわらかい木です)


 その棒は2本とも上になるところを丸く削っておきましょう。今回はたまたま持っていた「紫檀」系の堅い木材。

 


 (片方がちょっとだけ短い。5㎜くらい)

 



  両方上部を丸く削りますが、長い方は溝をつけておきます。これは彫刻等や細い丸棒やすりなどで、天部中央をへこましておいてください。

 2本とも、高さは9㎜になりますが、溝がついたほうはここに鉄の棒が乗るので、最終高さが10㎜くらいになるように溝を切っておきます。

 

 ですが、この2本の棒については、amazonなどで市販されているパーツセットに入っていることが多いので、作らなくても大丈夫です。

 



  ”カリンバ” ”手作り” ”キット”などで検索すると、上のような部品セットが500円台~1000円くらいで売っています。

 キーは最初から手作りしてもいいですが、ぶっちゃけパーツを買ったほうが早いし、安いし、いい音がするので、利用しちゃいます。

 

amazonでは


◆ キー17本 鉄棒(サドル) 鉄フレーム

◆ キー17本 鉄棒(サドル) 鉄フレーム 木の棒2本

◆ キー17本 鉄棒(サドル) 鉄フレーム 木の棒2本 ネジ

◆ キー17本 鉄棒(サドル) 鉄フレーム 木の棒2本 ネジ 調律ハンマー

 

の4パターンのセットがあり、それぞれ価格が絶妙に違います。フルセットだと1000円に近いですが、最小構成だと500円台くらいからあります。 


 海外のサイトを見ていると、中国現地では、もともと200円くらいのパーツ代だとわかるのですが、送料無料やらの関係で、すこし上乗せされていることが多いです。


 寸法写真です。上から1センチのところに線を引いて印をつけます。ここに短いほうの棒がきます。


 上から6センチのところにも線を引いておきます。この線の下端にあわせて長いほうの棒がきます。

 




 ちょうど、線と線の内側に、それぞれの棒がきます。

 長いほうの棒(溝があるほう)の下端は上から6センチということです。




=====★こだわり部分★=====

 

 この2本の棒の配置は、けっこうこだわって調整、変更してみるべき箇所です。実際に販売されている楽器では、今回のように6センチになっている楽器と5.5センチになっている楽器があります。

 ただ、単純に幅の違いというわけではなく、棒の高さが低めであれば、感覚が狭くてもテンションが出せるし、棒の高さが高めであれば、感覚が広くないとテンションが高くなってしまうという差異があるようです。

 また、下の棒の位置が「サドル」といって、実際に音が伝わる部分になるのですが、以前に表板に隠れるように配置している「受け板」が、ここまで来ているほうがいいのか、ここまで来ていないほうがいいのか、まだ私にもわかりません。

 

(というのも、ボディが箱になっていないソリッドカリンバもあるので、空洞(板の張り)を生かすほうがいいのか、ボディ全体に伝達するほうがいいのか、まだ私には結論が出ていないのです)

 

 実際の楽器では「受け板がサドルの真下まで来ているもの」と「サドルの下まで来ておらず、そこから1センチ程度上で終わっているもの」の2種類がありました。

 今回の私の作例では、「受け板が6センチの位置まで来ていて」かつ「サドルの下に受け板があり」かつ、サドル棒を6センチの位置に配置」しているパターンになっています。

 さあ、音がどうなるでしょうか?!


================


 ここから先は、amazon中国製パーツを利用して組み立てます。

 


  ブリッジ(金属の支え)をネジ止めして、サドル(鉄の棒)を置き、キーを差し込んでゆきます。

  このあたりは動画でも説明しています。

 


 (本格カリンバを作ろう!)



 そして完成!  おつかれさまでした!!!

 

 

 

 




2021年12月9日木曜日

本格カリンバを作る 自作・手作りカリンバの作り方 その2 ボディを完成させよう!

  

 さてみなさんこんにちは

 

 楽しいカリンバづくりの続きです。

 

 いよいよ本体デザインの要となる「表板」周辺に取り掛かりましょう。

 

 

 トレモロホールを開けて、フレームに接着すると、 ↑ の状態になっているはず。

 


  枠(フレーム)と板がぴったり合うように、やすりがけなどもしておきます。

 

 




 

 さて、ここから、表板を取り付けるにあたって「ネジの受け」となるパーツを取り付けます。

 

 この板は、表からキーをとりつけるための金属バーをネジ止めした時に、楽器の内側から受ける板になります。

 これから17本もの金属キーのテンションが表板にかかってくるので、この「受け材」がないと表板が破壊されてしまうのです。

 

 上部から約5センチ(〜6センチ)をカバーすればいいのですが、現物あわせで10㎜~15㎜厚くらいの板を加工してボンド接着で取り付けてください。

 (ねじが止まればOK)

 

  定規をあてているのは、材がぴったり「面(つら)いち」に揃っているか確認するためです。ここはベッタリ表板に接着するので、表板とズレがないほうがよいのです。

 

(仮にわずかにズレたとしても、ネジが強力に締まってゆくので、実害はないのでご安心を)

 

 

 さて、表板です。3㎜か4㎜の板を糸ノコで穴あけします。丸い穴でよいのであれば、ホールソーなどで穴をあけてもOKです。

 

 穴のサイズと、穴の数は、意外と音の差として現れないので、好きなように開けて大丈夫です。

 

(概ねコイン1~1.5枚くらいの面積がめやす。小さい穴なら複数あけてもよい)

 


 

  裏と同様に、表板も貼り付けます。先ほど作ったネジ受けの板材にもベッタリとボンドを塗って貼り付けてください。

 

 





 ↑ やすりがけなどをして、形を整えたら、ボディはいちおう完成です。


 



  Amazonなどでは、グリップ部分を削ってある商品も多数あります。これも単純に削ればOKです。

   削ったほうが、ホールド感がよくなりますが、音にはあまり影響がありません。

 

 完成後は、しっかり紙やすりをかけておいてください。120番~240番くらいをお好みで。

 

 

  そして、いよいよ塗装です。木工品への塗装はいろんな手段があるのですが、

 

「簡単で綺麗に仕上がる」

 

方法として、私は次のやり方をオススメしています。間違っても「木工用水性ニス」「工作用ニス」などは使わないこと!

 

◆ 水性ニスは2種類あり、安価な「ただの水性ニス」と「水性ウレタンニス」があります。前者は艶は出ますが硬度がなく、塗膜がふにゃふにゃなので×

◆ 油性ニスにはよいものがいろいろあるのですが、取り扱いの簡単さと仕上がりのバランスを考えると「ラッカースプレー・クリア」が一番お手軽。

 

 というわけで、オススメの方法は、


◆ まず、木部着色剤・水性ステインで色をつける

◆ 透明のラッカースプレーを振る


です。

  



  まず、ステインはお好きな色を刷毛で塗ります。水性なので、わずかに水で薄めながら塗ってください。原液はけっこう濃い目なので、水で調整の上塗ります。

 ただし、乾くと塗ったときより色が薄めになるので、それも念頭に置くとよいでしょう。


 (一回塗り状態)

 

 一回目を塗って、乾燥させたら、ラッカースプレーを軽く振ります。

 

 ラッカーはすぐ乾くので、15分ほど置いておけば次の作業に取り掛かれます。

 

 ここからは、どこにも載っていない秘密の方法です!

 

 ステインが1回、ラッカースプレーが1回の状態で、表面が毛羽立ちます。これは木目が水分などを含んで、寝ていた繊維が起き上がるからです。

 

 下地に関しては、すでに紙やすりがかかっていると思うのですが、それでもけっこう表面がざらつきます。

 これを完全に落とします。

 

 500番~1000番くらいの細かい紙やすりで、表面を全部やすりがけします。

 

  拭うように、けっこう丁寧にヤスリをかけておきましょう。この工程が大事です。実はこのあと、水性ステインをもう一度刷毛塗りするのですが、


「油性の塗膜を吹き付けているのに、その上に水性でもう一度塗る」


というのは、本来はありえないことです。水をはじいてしまうからね!

 

 でも、あえてそれをします!! ←これがミソ。

 

 なので、細かい目の紙やすりで、水を弾く塗膜層をざらざらにしておくのです。

 

 そして、2回目のステイン着色をします。それから、乾燥後2回目のラッカースプレーです。

 

 簡単に済ませたい場合は、この2工程でOK。

 

 



 ↑が2工程を終えた状態です。下はシナベニアなので、あまり色が乗っていませんが、上のラワンベニアのほうはしっかり色が乗っています。

 ちゃんと深みがある塗装に仕上がっていると思います。


もっと美しく仕上げる場合は「3回おなじ工程を繰り返す」のがオススメ。

 

 要するに、ステインを乗せて、そこにラッカーを振り、かつ研磨するという工程を繰り返すことで、

「色のついた樹脂層を塗り重ねていっている」のです。層の中には、どの位置にも着色料と樹脂が満遍なく詰まっているので、表からみると美しく見えるのです。

 また、最終塗膜がラッカーなので、べとつきません。



 2工程で、↑くらいの光り方になります。色もしっかり乗っていますね。



 次回はいよいよ最終仕上げです。



 



2021年12月6日月曜日

本格カリンバを作る 自作・手作りカリンバの作り方 その1 ボディ作り

 


 

 さてみなさんこんにちは

 

 前回までの記事で、「カリンバ」という楽器がどうもコード弾きとかなり相性がいいらしい、という話を書きました。

 

 ただし、C調に限る、というお断りが付属するものの、Cコードベースの進行であれば、コード弾きがかなり面白くなる楽器、それがカリンバというわけです。

 

 

 というわけで、さっそくカリンバを弾きたいわけですが、そこは楽器作りばかりしている左大文字さんのことですから、

 

 カリンバを手作り

 

しちゃいます!

 

 市販のカリンバもそれほど高くなくて、ヒュー・トレイシーのコピーモデルが中国製を中心に2000~3000円台で買えるのですが、当然、それ以下の予算で

 

「作る」

 

こともできます(笑)

 

 

==========

 

 

<カリンバを作ろう!>

 

〇 ボディ作り


  ボディサイズは上が115㎜で、高さが185㎜、下幅が135㎜です。5㎜くらいは差があってもOKですが、上部は115㎜以下にならないほうがいいです。(金属パーツがあとでハマる余裕が必要なので)


 ボディ厚みは30㎜+板2枚厚くらいで考えています。市販のものは総厚み35㎜~45㎜くらいです。

  なので30㎜幅の棒材を切りました。

  板は3㎜もしくは4㎜厚をチョイス。5㎜以上はぶ厚すぎると思います。

 

 安いので「ラワンベニヤ板」を使っていますが、塗装段階でしっかり硬度を出せばシナベニヤでもいいと思います。

 

 本当はアガチスの一枚板がホームセンターでよく流通しているので、それを使いたいのですが、幅が120㎜くらいまでしかありません。150㎜幅を置いている店は少ないです。

 

 その場合は開き直って120㎜×185㎜の完全長方形なデザインを採用すればOK。

 


  ↑ ベースとなる基本材料です。




 寸法通りノコギリで切って、仮置き。

 

 横の部分が斜めになるので、棒材の下部をちょっとだけ斜めに加工してやると、きれいにおさまります。

 



 

 ↑ それぞれ内側にコケるように、テーパーをつけてやります。ヤスリなどでちょっと削ればOK。

 

  ボンドで接着してセロテープなどで仮止めしておきます。この時、きちんと平行を出したい場合は、

 


 

  上と下の材に中心位置をけがいておいて、曲尺で直角が出ているかどうかをチェックしながらテープ止めすれば完璧です。


 ホンモノのカリンバは「マホガニー」などの材が多いのですが、今回はラワンベニヤ。




 意外と裏面の木目のほうが、雰囲気が出ているような気も。このあたりはお好みでどうぞ。


 枠がきちんとくっついたら、板材もボンドで張るのですが、ちょっと事前の加工が必要です。


 裏板の穴を先に開けておきましょう。

 


 


 直径1センチ(10㎜)くらいの穴を2つ裏板にあけておきます。ここを中指でふさいだり、開いたりすると、トレモロ効果(ワウワウ)を生み出すことができます。


 穴が開いたらフレームと接着します。裏板を先につけてもいいですが、表板が完成してから最後に裏板をつける方法もあります。


お好みでどうぞ。

 

 

(次回へ続く)

 

 



 


 

 

2021年12月3日金曜日

衝撃! 左大文字流 × カリンバ ”カリンバコード”プロジェクト KBC 002

 

 さてみなさんこんにちは

 

 前回は「カリンバ」とはなんぞや?というお話を中心にしましたが、今回からいよいよコードのお話です。

 

 左大文字流 三線・三味線コード弾きのみなさんにはすでにおなじみと思いますが、当方のコード弾きでは、「C」調を基本にしたコード大系を中心に設計しています。

 

 なので、ギターやピアノのように絶対音でチューニングされた楽器とは異なり、相対音でものを考えるということを多少イメージしています。

  それでも、ギターやピアノ同様、基本はCDE(ドレミ)です。けしてABC(ラシド)中心ではありません。

 

 すべてをC調をイメージしながら考えるというのは、ギターでもピアノでも左大文字流でも一応基本ですので、実はこれがとてもカリンバコードと相性がいいのです。

 

 さて、C調の場合、

 

C F G Am Em

 

の5つのコードがあれば、たいていの曲が弾ける!というのはテッパンでしたね。基本中の基本です。

 

それに、たまに

 

Dm

 

も使ったりします。

 

 ですから、「C F G Am Em Dm」が揃うことは、めちゃくちゃ便利なわけです。

 

 さてここからカリンバという楽器の衝撃的な作りを見てゆきましょう!

 

 


 これが、市販カリンバでもっともオーソドックスな17音カリンバC調の並びです。

 

 一番長いリードがCからはじまり、右端のEで終わります。中には21音カリンバといって、音数が増えているものもありますが、並び方は同じです。

 

 Cつまり「ド」のつぎであるDつまり「レ」は、ピアノとは違って左側にあります。すべての音は、左右に割り振られて、互い違いに配置されているのが、ヒュー・トレイシーさんの発明と言っていいでしょう。

 

 トレイシーさん自身は、のちに困って半音が出せるカリンバなどを開発したそうですが、この「両親指で弾くために、左右に割り振る」という考え方は、

 

 結果的に言えば、絶妙な大発明

 

かもしれません! この配置が生み出した結論は、衝撃的です。

 

 

 ~~~~~~~~~~

 

 C調で最初の和音である「ドミソ」を弾くには次の3つのキーを弾きます。

 


 

  和音は、ひとつ飛ばしで組み合わされているため、結果的にキーが左右に分かれたことで、おなじコードを構成する音が、「隣同士」にやってきたのです!

  だから、隣り合う↑の3つのキーをそのまま弾けば、Cコードが完成です。

 Cと書いてあるリードから、上の音階に向かって3つがセットなのです。

 

 

 次はFコードを弾きましょう。

 

 理屈はまったく同じです。Fと書いてあるところから3つの並んだまとまりが、Fコードの構成音になります。

 超わかりやすい!!!

 

 なんとなくわかってきたと思いますが、ヒュー・トレイシーのおかげで、C調で使う主要コードは、

 

「全部3つが隣同士」

 

にちょこんと座ってくれているのです!すごくない??

 

  Gコードも見てみます。


 


 どうですか?簡単でしょ?


 そして残りのマイナーコードも一気に掲載しましょう!






  はい!やっぱりマイナー系もちゃんと3つ並んでいます。もうこれでC調の主要コードは揃っていますので、何も考えず3つ並びだけで弾けば、楽曲が演奏できる(ただし、コード弾き)というわけです。

 

 

 

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 <補足>  実は、それぞれのコードに「ハイコード」が存在します。17音の中に、高いほうのセットと低いほうのセットが2つずつできてしまう場合があるので、高いセットのコードを選ぶことができるのです。


 これは随時チョイスしましょう。


  Cのハイコード

 

 



 Fのハイコード



Gのハイコード



 もちろんマイナー系もハイコードあります。(ハイボールあります、みたいになってるが)

 


 



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 ちなみに余談ですが、クロマチックではなく、半音を飛ばしながら配置していることによって、


「はぐれもの」


の3つのまとまりが出来てしまいます。別に彼らが悪いわけではないのですが、コードのおさまりとしては、変な感じになってしまうセットが2つだけできるので、それもたまには活用してやってください。

 

 Dm on C のコード


Bm-5 のコード





 まあ、こんな風に、とにかく主要コードは3つ並んでいる!のがカリンバの特長なので、これを生かさない手はありません!


 そこで、いよいよ次回からは実例に入ってゆきますね。



(つづく)