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2008年12月30日火曜日
【三線ism】 三味線楽器を科学する その1 「ゴッタンはなぜ鳴らないか」
さてみなさんこんにちは
先日から、宮崎の民俗楽器であるゴッタンを弾いているのですが、そのゴッタンと三味線をめぐって興味深いことがわかってきました。
そもそもの考察の原点は
「なぜ、板張り三味線(ゴッタン)の音が小さいのか」
という点なのですが、大半の方は「そりゃ皮張りに比べたら、板張りは響かないから鳴らないだろう」とおっしゃると思います。
結論から言えば、まったくもってそのとおりなのですが、科学的に考えてどうして板ではダメなのか?というあたりが追求したいポイントです(^^
皮と板を比較すると、その働き方がかなり違うことがわかってきます。
三味線・三線などの皮張り楽器は、弦の振動を拾って大きくする共鳴板の働きを表皮が担っています。同じようにゴッタンでも、弦の振動を表板が拾って大きくしているので、構造的にはまったく同じです。
ところが、表は同じでも、裏は事情が異なります。
三味線・三線の裏皮は表皮の振動に対して、同じ方向に共振して動きます。これは、和太鼓やドラムセットのドラムなんかも同じ構造で、胴に対して表裏2枚の皮が張ってある打楽器はおなじ理屈です。
ところが、ゴッタンの裏板は堅いので、多少は表に連動して動こうとするでしょうが、その大半のエネルギーは失われてもとの形のまま、そのままの形であろうとします。
この構造は、三味線・三線と大きく違います。ゴッタンでは共鳴板の働きをするのは表板だけで、裏板はあまり共鳴しません。
このように裏の板が動かないと、胴の内部では大変な問題が起こります。それは、表板の振動で、胴内部の空気が動く(振動する)のですが、その圧力がどこへも逃げないので、裏板の部分で圧力が跳ね返ってくることになります。
つまり、表板の振動に対して位相を反転させた波形の振動が後ろから戻ってくることになり、これがゴッタンの音を小さくしている原因になるわけです。
これを三味線・三線で応用すると「裏皮を身体につけてしまうと音が鳴らない」ということに言い換えることができると思います。
三線弾きの方はご存知でしょうが、三線を立って演奏するときには、ギターをストラップで肩掛けして抱えるときとは違い、楽器を身体から離して腕と胸と楽器で3角形をつくるように抱えます。
こうすることで、裏皮が完全に身体から離れるのですが、ギターなどでは、裏板を身体につけてしまってもかまわないので、大きな違いが生まれるのです。
もし裏皮を身体につけてしまうと、どうなるでしょうか?先に述べた理屈でいうと、裏皮が表に連動して振動できなくなるので、胴の内部の圧力が高まって、表に跳ね返ってしまいますね。つまり、音が小さくなったり響きが悪くなったりするわけです。
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