2016年11月30日水曜日

和楽器や邦楽を盛り上げるには 〜邦楽を取り巻く、不都合な真実?!〜

(写真は、拙作・紙三線のヘッド)


 さてみなさんこんにちは


 ワタクシ左大文字も、邦楽やら和楽器やらに関わって、早いもので25年近くが経とうとしているのですが、このマイナーな業界は、毎度まいどのことながら、



 衰退



という危機に直面しています(爆)


 まあ、私が三味線を弾き始めた18歳の頃から、すでに、和楽器に興味を持つなんて


「なんて変わった子だろう」


ということで、実家のおばあちゃんやら親戚がこぞって


「うちの蔵で埋没している三味線をあげるわ」


とこぞってプレゼントしてくれたくらい、すでに邦楽に親しむ人は、激減していたのでありますから、近年になるといっそうひどい状態になっていることは察しがつくというもの。


 
 最近でこそ、ちょっとだけ「和楽器バンド」が注目されたりして、和楽器や邦楽に対して、ほんの少しだけ機運が盛り上がったりもするのですが、


 おそらく大勢には影響がない


といっても過言ではないでしょう(笑)




 そうかと言って、じゃあ日本の方々は邦楽やら和楽器に興味がないのかといえば、そんなことはなく、沖縄の三線がブームになったり最盛期には


年間3万棹の三線が売れ


 たりしたわけで、そりゃ毎年3万人が新たに流入するジャンルだというのなら、それは見過ごせないぞ!捨てたもんじゃない!となりそうなものなのですが、実態はそうはいきません。





 で、ここで邦楽を取り巻く不都合な真実をちょっと述べちゃったりすると、この業界が抱えている根源的な問題が、なんとなく見えてくるわけです。


 それは、どういうことか、と言えば、私はどちらかといえば既に邦楽三味線より沖縄三味線のほうが主軸になっているので、そちらで説明すると



<真実1>


 三線が売れるのは夏である。





<真実2>


 涙そうそうがヒットしたら、三線が売れる。


 その後、右肩下がりで衰退。


 海の声がヒットしたら、三線がまた売れ始める。


みたいなことが事実だったりするわけです。



 これは、和楽器や邦楽器や、伝統文化を守っておられる方々にとっては、



 大変に不都合な真実



で、 



『沖縄三線は、夏というイメージや季節商売であり、ヒット曲があるから楽器が売れているだけなんだ』


という



 実は、和とか邦楽とか伝統とか、文化とか、そういうのじゃない



ということが如実になると、関係者一同



ガクッ



とうなだれざるを得ないわけだったりするのです。





 面白いエピソードがあって、うちの会社の40代の社長はお父さんが豪快な人だったので、一時期


「お前も三味線ぐらい習っとけ」


と言われて、かじったことがあるそうなんですが、その理由というのが凄くて



「三味線が弾けたら芸者にモテるから」


ということだったらしいのです。なんという帝王学(笑)



 そりゃ、お父さんの時代には、そこらへんの温泉に行ってもまだ芸者文化が残っていたかもしれませんが、息子の代にはとうに消えてますがな。



 女性の場合もこれを笑っていられなくて、私の知り合いに大学で箏曲を教えておられる方がいるのですが、彼女曰く、



「女の子は嫁入り前のたしなみとしてお花とお琴(というわけで三曲なので、三味線も習う)ぐらいは、というのが昔は当たり前だったけど、今は完全に廃れたわ」


ということなのです。



 芸者と嫁入り道具、言ってることはおなじですね。



(紙三線の胴からおしりにかけて)



 というわけで、和楽器・邦楽業界がえらいことになるのも当然なのですが、起死回生の一発は



 私はある!



と思っています。



 ハードについては、特に三味線なんかは面白い簡易三味線が出てきたり、沖縄のASOVIVAさんなんかが革新的なモデルもどんどん出しているし、ここ近年で



「やっと面白くなってきたな〜」



と思ってるんですが、 お琴はなかなかいいのが出ませんが、プラ尺八とか、めっちゃ面白いんです。



 足りないのは、さっきの「涙そうそう」と「海の声」じゃないですが、もうズバリ答えは出ているんです。



 ソフト、ソフトがあれば、あとはいける!!!



はず。



 三味線を弾きたい!箏を弾いてみたい!尺八を吹きたい!月琴を弾いてみたい!




 そう思えるようなソフト(楽曲)が出てくることが、業界を支えるマストなんですね。



 で、そういうのは誰かが出してくれるのを待っていても絶対に出てきません。



 こっちから討ち死に覚悟でもいいから仕掛けないとだめだと思います。



  まあ、左大文字は、すでに伝統文化から流浪して、こんなことになっているのですが、ソフトウエアとしてのコード弾きには、まだまだ隠れたパワーがあるのではないかな、と思っています。



 邦楽・和楽器関係者のみなさま。ぜひそんなこんなで、今度はソフトの領域を盛り上げていきましょー!!!


















2016年11月21日月曜日

手作り三味線「シャミレレ」講座と、江戸の三味線キットのお話!



 さてみなさんこんにちは!


 11月20日(日)は久しぶりの開催となった兵庫県立丹波並木道中央公園さんでの



 「帰って来た手作り三味線講座」



の実施でした。



 今回は和歌山やら滋賀やら、関西一円から参加者が来てくださった15組満員御礼の会になったのですが、三味線や三線を弾いておられる大人の方が多く、製作も演奏も盛り上がりました。



 
(ヒノキ三味線を木工作業で手作り!)




 この三味線製作講座も、早くも10年目くらいになっているのですが、たくさんの方に喜んでもらっており、私も嬉しい限りです。


(猫のサウンドホールが開いた三味線などなど)



 さてさて、私も知らなかったのですが、なんとほぼ同時期!こちらが20日なら、関東では19日に「手作り三味線講座」をやっておられたところがあると知りました(^^



http://www.dentosangyokan.com/page/2016/11/19/1119%e5%9c%9f%e9%8a%80%e5%ba%a7-hands-expo-%e4%b8%89%e5%91%b3%e7%b7%9a%e3%81%a5%e3%81%8f%e3%82%8a%e3%83%af%e3%83%bc%e3%82%af%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%97%e3%80%80%e6%9d%b1%e4%ba%ac%e4%b8%89/




 それも銀座で!



 こっちは銀座と比べたら篠山の田舎でごめんなさいね(笑)



 東京の三味線講座は、三絃司きくおかさんというところの簡易三味線キットのようです。



 
(塗装をすればこんな感じ!かっこいい! 画像は、三絃司きくおかさんのところの楽器です)

 根緒が本物、っぽいのでいいの使ってるね~。



 実はこのキット、通販もされているようなので、ご興味のある方はぜひどうぞ!




 三絃司きくおかさんの 手作り三味線キット
 http://www.syokuninkai.com/products/detail.php?product_id=463



 4860円なり。



 丹波並木道中央公園さんの手作り三味線キットは4500円なので、まあ似たようなもんです。








↓下の記事はマニア向け。


<技術的・専門的な解説>

 せっかくなので、きくおかさんのところのキット「チントン」と並木道公園のキット「シャミレレ」の構造等について解説しておきます。


■ 全長  「チントン」700ミリ

       「シャミレレ」760~780ミリ

 チントンのほうが小ぶりです。元々邦楽三味線を作っておられるところなので、思い切って小さくなさったのだと思います。左大文字の設計は、760ミリを基本にヘッドの糸蔵を大きくしていますが、弦長が沖縄三線とまったく同じになるように作っているので、三線の代用ができるようにしています。

 チントンも760ミリベース(弦長600ミリジャスト)にすればいいのになあ、とちらりと思ったりして。これはマーケティング的問題(笑)三線弾きを取り込めます。

 まあ、三味線業界的には、できれば純邦楽に寄せていきたいところなのは、地歌出身の左大文字としてもわかる(^^;



■ 皮を何にするか 「チントン」 紙

             「シャミレレ」 薄い板

 
 チントンのほうは紙ベースで「張って」いるとのこと。そのため胴枠は最初から組みあがっています。張るのはとてもややこしい作業なのです。

 シャミレレは板材を表と裏に張りますが、板を張るだけだと音量が小さくなるので、「糸鋸でサウンドホールを開ける」という作業を必須としています。

 手作り楽器講座としては、糸鋸作業がないのは早くて楽でいいなあ!と講師目線では思う(笑)

 ただ、当方では好きなデザインに切り抜けるという「作業のたのしさ」の部分とあわせ技で実施しているところはあります。




■ 楽器の構造  「チントン」  中子継ぎ&裏板なし

            「シャミレレ」 貫通&裏板あり

 チントンは、本物の三味線とおなじように「棹」と胴の中にある「中子」を継ぐ作業が入ります。これはなかなか渋い設計で、左大文字は”こういうの好き”な部分です。(依頼の楽器を作る場合は、よくこの継ぎ方をやってます)



 どちらの楽器も貫通型であること同じなのですが、「チントン」のほうは裏から棹をはめて接着すればそれで終了、になっているみたいですね。

 左大文字が作っている紙三線と似た構造です。(裏板なし)



 (紙三線はこんなの)



■ 根緒はどうなってるの? 「チントン」 根緒なし 

                  「シャミレレ」 手作り根緒つき


 そのほか、チントンの糸は、間違えにくいように3色で色分けされていたり、よく考えられていると思います。写真だけではわかりませんが、「チントン」のキットは、根緒が省略されているような気がします。

(上の白黒の写真のヤツは根緒がついていますが、根緒だけで4000円くらい平気でするので、キットにはついていないのだと思います)

 うちの根緒はすごいよ~。三味線の演奏者が「目からうろこが落ちた!」とビックリ賞賛なさるほどの変態チックな手作り根緒ですwww





==========


 まあ、みなさんいろいろ工夫しておられるみたいで、楽しいです。あくまでも簡易三味線なので、


「いかに簡素化するか。でも楽器の楽しさを失わないように」


ということで、アイデアが満載になりますね!


 私も昔、三味線屋になりたかった時期があるので、三絃司きくおかさんを陰ながら応援しております!











2016年11月3日木曜日

「ロックは飽きない」いい言葉だ! 〜甲本ヒロトインタビューから〜



 さてみなさんこんにちは。


 ロックと言えば内田裕也か甲本ヒロトかというほどですが(笑)


 甲本ヒロトさんのインタビューが胸に突き刺さりましたのでご紹介。




オリコンのサイトから
「ザ・クロマニヨンズ・インタビュー」
http://www.oricon.co.jp/special/49488/

 

 もう長年ロックしているヒロト・マーシーのお二人ですが、さすがに「シンプルで含蓄のあることば」が出てきます。


 左大文字の胸に刺さったことばを列挙!




”「いいんだよ、ガキが盛り上がれば。子供のオモチャでいい。ロックンロールは、渋くなくていいんだ」”



”『ブレる』ってことがどういうことなのかわかんない。ハンバーグ好きな子が、ずーっとハンバーグ食ってて、「お前、ブレないな!」って褒められてもね(笑)。「だって好きなんだもん!」”


 
 ”ロックンロールは全然飽きないんですよ。飽きたら、やめます。”




 左大文字はロッカーか?と問われれば、ロックにめちゃくちゃ傾倒しているわけではないんだけれど、音楽というくくりで言えば、彼らの言っていることが、きゅんきゅん入ってきます(笑)



 左大文字は、本年42歳。もう、三線や三味線のコード弾きも、世に出して来年でまる10年になるわけですが、


 子供の遊び


みたいなことをずっと続けているし、提供しているわけで(^^;


 ましてや私は、これでご飯を食べているわけではないので、本当に活動は余暇の時間になってしまいます。



でも、楽しい!飽きない。三味線も三線も、楽器作りも全然飽きない!



これは本当に実感できます。



 演奏家でもないのに楽器はいつも触っているし、リビングにも数棹三味線やらポケットロックやらが転がっているし、仕事が終わってからまだ楽器づくりもやってます。


 左大文字にとっては、楽器作りやコード弾きは生活の一部みたいなもので、あるいは私の一部なのかもしれません(笑)



 11月に入りました。11月20日には、またまた


手作り三味線講座(満員御礼)


をやります! これも、「森のギター講座」を含めてすでに数十回も実施してます。


こちらも来年は10年になるわけで。




飽きんな〜



とあらためて実感!



 あ、楽器製作の依頼は、今ならちょっと空いてます。ご希望があればぜひ今のうちに〜。