2014年5月8日木曜日

<研究>アナと雪の女王 ”Let It Go"はなぜヒットするのか?!

 みなさんおひさしぶりです。

 三線コード弾きのほうは、楽器づくりの依頼が入っているため、やや停止中ですが、今回は今最もホットな話題を。

 ディズニー映画「アナと雪の女王(FROZEN)」の主題歌『Let It Go』がやたらめったらヒットしており、私のyoutubeの動画でも人気があるようです。


 先日、GWの旅行をしていて車でFMラジオをかけていましたが、おおむね2時間に1~2回くらいは、なんやかんやで流れているという「ヘビロテ」ぶりにビックリしました(^^;


 おまけに、店に入っても今度は有線でLet It Goが流れてくるものですから、頭の中は、日本語版英語版織り交ぜて


「れりごー れりごー (ありのー ままのー)♪」


のオンパレードです(笑)


 さて、この曲がヒット曲たる理由を、あまたの「POPS」曲をコード譜にしてきた左大文字が、解析してみよう!というのが今回のネタ。ズバリ、


 なぜ、Let It Goがヒットするのか?!


がテーマです。


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 まず、この曲の場合、歌詞は除外してOKです。というのも、Let It Goのヒットは国内だけでなく、全世界へ広がっていますから、日本語詞が突出して良いというような理由ではないと思います。


 そもそも、余談ですがLet It Goとは「ありのままで」というよりかは

『ほっとこう』

『あきらめろ』

『忘れろ・気にするな』

的なニュアンスの言葉ですから、日本語歌詞のいわゆる「良い子ちゃん」なポジティブ前向き感だけで捉えることができない歌です。

 従って「歌詞がいいから魅かれる」というわけではなく、楽曲そのものの力でヒットが生まれていると、仮定できると考えます。


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 当左大文字流では、これまで数百曲に渡るポップスコードを解析し単純化してきましたが、(そのうち100曲近くを『沖縄三線コード弾き実践レッスン』『三線コード練習帳』やウェブ記事・メールマガジンなどの形でみなさんにお届けしています)その作業の中である程度


ヒット曲の要因・理由


について分析することができるようになりました。


 ★それらの一部は、既に『沖縄三線コード弾き実践レッスン』『三線コード練習帳』の中でも取り上げていますので、ご興味のある方はご一読ください。


 
 それでは解析スタートです。


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<前奏>

<Aメロ>

Am  F  G  C(オープン)

Am  F  G  D

Am  F  G  C(オープン)

Am  G  D

<Bメロ>

G  F  

G  F  D

<サビ>

C  G  Am  F

C  G  Am  F

C  G  Am  F

Em  G

F

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<ヒットの要因1>小室進行


 まず、youtubeでもブログでも、1番の部分のみ取り上げているのですが、前奏から入ってくる最初のAメロが


 Am F G C


になっています。

この部分は、近年日本のポップス界を支配したといってよい「小室進行」になっています。小室哲哉さんが多用したので、コード業界(笑)では有名な進行パターンです。





<ヒットの要因2>カノン進行の変形

 そして、サビは


 C G Am F


 が基本形で、Emも使われています。

 これは、誰もが気付くとおり、ヒット曲進行の「王道」とも言うべき「カノン進行」の一部ですね。

 
 というわけで、コード進行的には、小室進行・カノン進行という王道パターンがメインになっているので、「当たらないわけがない」というのがまずポイント!


★実際には、オリジナルのコードは上記パターンをベースに少しアレンジが入っています。左大文字流では、コードをできるだけ単純化して記載しますので、本来の進行パターンで表記しました。




<ヒットの要因3>マイナーコードからメジャーコードへ

 上記2点とも関連しますが、私の解析ではヒットする曲のスタートコードは


Cスタート

Fスタート

Amスタート


の3つしかありません。(移調した場合・単純化)


 そしてこの曲はAmスタートなのに、サビがCスタートになっています。

(BメロがGスタートでつなぎの役割です)


 このマイナーで始めて、その後メジャーに持っていく構造は、確実に作曲者の意図があります。

 暗いイメージから明るく展開する反転が、楽曲全体のイメージをひっくり返しているので、一層印象に残ることになります。


 これと同様の構造は、私がテキストで取り上げている楽曲の中にはHYの”nao”ぐらいしかありません。


 たくさんありそうで、実は意外にないのがこのパターン進行なのです。



<ヒットの要因4>高低差のあるメロディライン

 歌ってみるとすぐわかりますが、この曲は低音部分と高音部分の差が激しく、低い声から高い声までを一気に歌い上げないと歌えないようになっています。

 近頃のポップスでは、この「高低差(特に、低いほうから高いほうへ上がるメロディ)」は、ヒットの要因として特筆できると思います。


 例でイメージするとわかりやすいですが広瀬香美さんの楽曲「ロマンスの神様」「ゲレンデがとけるほど恋したい」などと同じ効果です。

 一直線に一気に上がる音程が、個性的であるとともに、一種の高揚感と心地よさを生み出していると考えられます。



<ヒットの要因5>スピード

 
 この曲のテンポは♪=137で、お聞きの通りハイスピードです。亀田誠治さんの分析では、120以上はパワーゾーンで、「元気感・ワクワク感」を与えることができるとのこと。

 全世界共通で、人類に「希望と元気」をくれる、という意味でもこのスピードは重要な要素だと思います。


★私はまだ読んでいませんが、ヒットプロデューサーの亀田誠治さんの著書「J-POP評論 ヒットの理由」が面白いとのこと!



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 というわけで、この曲は作曲者の感性と技術(ヒットする理論)が絶妙にマッチしている類希な曲、すばらしい曲だと思います。

 頭で理解できても「なかなか作れそうで作れない」名曲だと思うのですが、いかがでしょうか?!


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