2024年3月13日水曜日

「古い楽器のほうが音がいい」 のはなぜか?

 

 さてみなさんこんにちは。


 去年から今年にかけて「ゴッタン」制作を続けていて、特に今は「古ごったんの復元」「ゴッタンGTRの開発」を並行してやっています。


 先にゴッタンGTRができてしまったので、それは先日公開しました。


 


 このゴッタンGTR、新時代のゴッタン演奏フィーリングを実現させたものすごいやつ!と言いたいのですが、設計と製造はともかく、実際に弾いてみると、どこか寂しいのです。


 ようするに、作ったけれど音に満足が行ってないんですね。左大文字さんとしては、これまで数百以上の木製三味線を作ってきているので、だいたい組み上げて音を鳴らせば「アタリかハズレか」くらいはわかるようになってきています。


 で、もちろん演奏したのですが、「イマイチ」なのです。


 なんでだろー、なんでだろー、なんでだなんでだろ♪


 実はこのゴッタンGTR、歴代木製三味線の中では、最新モデルで、設計もブラッシュアップしているのですが、かなーり前に元ネタになったものがありました。


 それが


https://sanshinism34.blogspot.com/2009/09/ism3.html


https://sanshinism34.blogspot.com/2009/07/ism_13.html


https://sanshinism34.blogspot.com/2009/07/ism_16.html


の作品、当時「ごみせん」と名付けたグループです。


 廃材であるゴミからつくったので「ごみせん」なのですが、まあ「ごくせん」に似せたロゴをつけて遊んでいた試作品でした。


 これが2009年7月製造で、15年経過しています。


 このごみせん1号機と並べながら「ゴッタンGTR」を作っていたのですが、


 ぜんぜん音が違う!旧ごみせんのほうが音がでっかい、響きがよい


ということに気づいて愕然としています。もちろん、旧ごみせんはサウンドホールがついていて、その分深みのある音が出るのは当然なのですが、そもそもの楽器が放つ音量とか、響きとかがぜんぜん違うのです。



 

 材料的にも、おなじ建築系廃材を使っているし、なんなら今回のほうが、基本的に「鳴りがよいだろうと想定される材料」を選んで作っているのですが、それでも旧版のほうが音が良いのです。


「はっ、これがあの古いバイオリンのほうが良い音がする、というやつか!」


と気づいてしまったわけで。


 音が違う原因はわかっています。


 おそらくは木の水分量、乾燥度合というか、良い意味での熟成、枯れ具合だと思います。

 通常の三線や三味線は、棹の密度が高く重いほうがいいのです。そして、皮の張りで音の良し悪しを調整できるので、古材になるほど音が良い、ということは「明らかにはわからない」のだと思います。


 ところがゴッタンの場合は、音響板である皮部分も、胴も棹も木製なので、如実に材の状態が表に出てしまう、音になって出てきてしまうのだと思います。


 昭和年間に作成された古いゴッタンも持っているのですが、(当然杉オンリーでできている。)これはサイズの大きさに比較して


めっちゃ軽い


のが特徴です。ええ、軽いの。大きいのに軽いのです。


 これはたぶん軽い楽器なのではなく、「水分が抜けて軽くなっている」のだと思われます。


 ★一説には、木材中の樹脂成分などが、バクテリアによって壊れて、純粋なセルロース繊維分だけが残っていくので、木が熟成されるのだとか。ほんまかいな。


 通常の三線や三味線は、基本的には「重いほうがよい楽器(密度が高い)」とされているので、ゴッタンは真逆です。


 どちらかというとバイオリンに近い評価


ということになるかもしれません。


(バイオリン界隈では、軽い楽器のほうがよいとされることがあります)


 

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 そうなるとゴッタン業界では、新作よりも「古作」「中古」「眠っていたもの」に付加価値があるような話になってきます。


 新作を作れば賄える、というのではなく、ある程度(10年スパン)の長い時間を見越しながら、楽器を供給してゆく必要がある、となれば、これは大変なことであり、なおかつ面白いことかもしれません。


 うちにも古い作品が残っているので、検証してみる必要がありますね。








2024年3月9日土曜日

【新作】 ゴッタンGTR の開発!

 

 さてみなさんこんにちは。


 今年は真面目にゴッタンに向き合う一年にしようと画策(笑)しているのですが、古ゴッタンの復元作業の合間に


新型ゴッタン


の開発にいそしんでいます。


 まだ、最終的な調整段階で、完成、量産するかは検討中なのですが、実験用試作が完成したのでお披露目です。


 題して、 ゴッタンGTR !!





 いつものように、試作は建築系廃材を利用して作っています。


 現代ゴッタンは全長が3尺なのですが、ちょうどいま復元中の古ゴッタンが全長2尺5寸の可能性が高いので、2尺5寸タイプにしています。


 このサイズは、実はいろいろと都合がよく、2尺5寸サイズで作ると、ちょうど弦長が600ミリくらいになります。


 そうするとGTRの語源にもつながりますが、レスポールなどのギブソンスケールが628ミリ、フェンダー・ムスタングが610ミリなので、かなりギターのフィーリングに近くなるのです。


 つまり、GTRとはGuitarでもあるわけ(笑)


 余談ですが、フェンダーのストラトなどは648ミリあるので、エレキギターの中では長めですね。



 GTRがギターである、もうひとつのポイントもあります。


 本来の三味線やゴッタンに対して、かなり棹を薄く仕上げており、1.5センチしかありません。普通の三味線系だと2.4〜2.5くらいの厚みがある(徐々に太くなってゆきます)ので、それよりはかなり薄いことがわかります。




 この薄さが、演奏時のフィーリングがギターを弾く感覚に近くなる要因です。


 ギターを触ったことがある人は、かなり弾きやすい楽器になっているのが「ゴッタンGTR」なのです。


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 もうひとつ、特殊なシステムを組み込んでいるのですが、それが




 この「穴」です。


 ゴッタンは木の板を胴に張り合わせるので、中が密閉空間になってしまい、空気の逃げ場がありません。

 その圧力が通常であれば、音に作用します。悪い言い方をすれば、音を減衰させる方向に、エアクッションの役目を果たしてしまうのです。

 そこで、その圧を逃がすために、見えないところに穴がついているのです。


 胴内の圧力は、棹のおしりの内部に開いた穴、つまり「管」を通って外に出るようになっています。


 名付けて


 AIRBASS (エアバス)


システム!


 上の写真は加工前なので、これから棹の一部が削られて、その後表板がフタされるのですが、ちゃんと胴内の圧力は逃げるようになります。



 完成版は↑みたいな感じです。



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 こうした新たな機構をいくつか取り入れているので、


 ゴッタン Rerorm / Revolution


なので「GoTTtanR = GTR」なのです。


 というわけで、今はできたばかりなので、これからゴッタンGTRのサウンドを調整していこうと思います。


乞うご期待!!




2024年3月8日金曜日

【覚書】ブッダマシーンを分解してみた。HY−02(HY−01)

 

 さてみなさんこんにちは。


 今回は、ブッダマシーンをひとつ分解してみます。


 ブッダマシーンの分解例は、それほど多くないので、覚書がてら記録しておきましょう。


 




 箱にはHY-02と書いてあります。あまたあるブッダマシーンの機種の中では

■ いちばん安価で

■ 入っている楽曲も、おそらくいちばん少ないもの

だと思います。


 外側のシェルはいろいろ違うものがあるようですが、中身は同じの可能性が高く「六合一」と書いてあったりします。





 マシーンの外装は↑こんな感じです。スイッチ兼用ボリュームと、つぎの曲に移るボタン(タクトスイッチ)がついており、ACアダプターが挿せる端子もあります。


 分解するのはとても簡単。


 4つのネジを外せば、簡単に分解できます。電池ボックスの中に4つめがあります。



 さて、肝心の基板ですが、





「HY01JQ−V02」「2022.01.12」


という刻印が。チップ側はモールドで隠れていますが、「HY-01」くらいまでは見えています。


 回路をざっと見る限りだと、ものすごくシンプルで、パスコンがひとつ載っているのは、共立電子さんのキットの回路とほぼ同じ感じですね。


【共立電子 ブッダマシーン部品セット】

https://sanshinism34.blogspot.com/2024/03/blog-post.html


 ただ、ブッダマシーンキットと比較して、スイッチ付きボリュームとタクトスイッチの実装のからみで、専用基板になっています。


 2022年製なので、思っていたより最近の製造ですね。おそらくHY01という機種のバージョン2、という意味なのかな、と思います。


 ちなみにこれとほぼ同じような機種をすでに分解しておられる方がいて、


「からあげ」さんのサイト

https://karaage.hatenadiary.jp/entry/2020/07/27/073000


こちらは基板に「2018」「HY 01 02 03」という記号があるので、バージョン違いのおなじ機種だろう、と感じます。


 曲目的には 6曲入り というところで見分けられるかもしれません。


★でも、おなじ6曲入でも、すこーし収録曲が違うようです。



2024年3月7日木曜日

【覚書】 アマゾンなどで売ってるMP3デコーダモジュールと、DFPlayer互換機(MP3-TF-16P)は同じもの?!

  さてみなさんこんにちは


 ブッダマシーン関連で、いろいろ電子部品を漁っていて、アマゾンなどでもバンバン売っている中華製のMP3再生ボードを調べています。


 もちろんMP3デコーダ基板はいろいろ種類が出ているのですが、主要なものは2つ。


 


 ↑ こんな形をした たいていは「無印」で刻印なしの MP3デコーダモジュール




↑ こんな形をしたDFplayer mini というMP3モジュール とその互換機


が、たくさん売られています。


 特にDFPlayer mini というのは、秋月電子ではオリジナルを売っていますが、


https://akizukidenshi.com/catalog/g/g112544/


本来はDFrobotという会社が出している、Arduino用MP3プレーヤーモジュールです。


 この後者のほうは、たくさん互換機やコピー品が出回っていて、

■ DFPlayer mini

■ DFPlayea Mini HW-247A

■ MP3-TF-16P

■ MP3-TF-16P V3.0

などなど、いろいろ基板の表示が違います。


 恐ろしいことにMP3デコーダのIC(チップ)もバラバラで、ロットなのか年代なのかメーカーなのか違いの理由がわかりませんが、種類が多いのが特徴です。


(基板表示とチップに相関性がないので、表示の文字だけみても何が実際に載っているかわからないようです。いろいろマニアな人が検証したりもしているようで)


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 さて、今回上のタイプも下のタイプも買ってみたのですが、よーく基板の構成を見ていると「実質同じもの」みたいな感じですね。


■ 大きいほうのICのがMP3デコーダ

 GD3200/MH2024K-24SS /YX5200-24SS/FN5201-24SS/AB23A79437B

など

(KT403がオリジナルでは?という説も)


■ 小さいほうのICがアンプ たいてい8002が載っている。


MP3デコーダICはけっこうバラバラなのですが、アンプは中華製モノラルパワーアンプ8002が載っていることが多そうです。


 私のところに届いたのは、どちらも「AB23なんたらかんたら」というICと「8002」の構成でした。AB23〜は後半の番号がわずかに違いますが、同系統のICと思います。


 チップ構成は同じで、あとは実際に外に引きずり出している回路が違うだけでしょう。


 大きい青い基板のほうは、

■ マイクロSD

■ ノーマルUSB

■ マイクロUSB

■ スピーカ

■ 3.5mmヘッドフォン

の端子が実装されていて、なおかつ

■ コントロール用タクトスイッチ✕4

が載っています。


 小さい基板(DFPlayer)のほうは

■ マイクロSD

の端子だけで、ほかは自分で勝手に実装しろ、ということです。


 しかし、DFPlayerの参考回路図で描かれているようなスイッチの配置がほぼ現実になっているのが青い基板なので、「実質的にほぼおなじもの」として動作すると思います。


 まあサイズがかなり違うので、「部品が実装されているほうがいいのか」「極小で組み込める方がいいのか」で選ぶことになるでしょうねえ。


 ちなみに本家だとDFPlayer Proという128MB のメモリ内蔵の機種もあり、こういうのが自作ブッダマシーンには向いてるなあ、とも思っています(笑)


 しかし、中華製互換品だと、どれも200円台〜で売られているので、マジで激安です。ブッダマシーンの完成品は、専用チップ化されていますが、マイクロSD内蔵でも十分低価格で作れそうで、恐ろしい限り・・・。



2024年3月5日火曜日

マイ・ブッダマシーンのプレイリストを作ろう!

 


 さてみなさんこんにちは。

 


 前回の記事で オリジナルブッダマシーン のボディは完成しましたので、いよいよそこに収録する


 ブッダマシーン・プレイリスト


を組み立ててゆきましょう!ここはブッダマシーンDJになったつもりで、お好みの楽曲をチョイスしてゆきます。


 そこで、DJムコガワ的に流したい、「オススメリスト」をサンプル的に組んでゆきたいと思います。


 音源を入手しやすい「youtube」からダウンロードしてゆきますので、ぜひみなさんもアゲアゲのプレイリストを作ってみてください。


(youtube動画からのMP3データ作成には、

http://offliberty.io/ 

などを利用してもよいでしょう 任意)


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 1. 般若心経ビートボックス 赤坂陽月

 https://www.youtube.com/watch?v=nvIGCMhjkvw


 2.   般若心経 コーラスバージョン 薬師寺寛邦 キッサコ

 https://www.youtube.com/watch?v=gm4hTcRhoqI


 3. 超テクノ法要×向原 浄土真宗 阿弥陀経 サイバー南無南無

 https://www.youtube.com/watch?v=dsKrKAF-Wgo


 4. ラップみたいなお経 無言ちゃんねる

 https://www.youtube.com/watch?v=Q7nrqQ7BQSA


(ラップみたいなお経にトラック付けたらめっちゃいい 七草くりむ 

 https://www.youtube.com/watch?v=Uys1L3s2I0E )


 5. 踊り念仏 坊主バンド

 https://www.youtube.com/watch?v=GYws6JV-F38


 6. THE 南無ズ「そうだ 天竺、行こう。」

 https://www.youtube.com/watch?v=ChrcBsgb5_8


 7. 本願寺ぶるーす つぼイノリオ

 https://www.youtube.com/watch?v=wbqTeBRQWo8


 8.讃仏偈 サイバー南無南無remix

 https://www.youtube.com/watch?v=NLRnkIuTTcE



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 とまあ、ここではサイバーでポップなお経等をチョイスしましたが、


 ベタベタなブッダマシーンサウンド


 が希望の方には、次のようなプレイリストをお届けしましょう!


 https://www.youtube.com/watch?v=w66LOYtoTXQ&list=RDQM-GuPPm_L8cA&start_radio=1


 やはり本場中国系のyoutubeには、どこかで聴いたようなブッダマシーンサウンドが、たくさん眠っているようです。


 みなさんも、お宝サウンドを探してみませんか?



自分だけのオリジナル マイ・ブッダマシーン を作ろう!

 

 さてみなさんこんにちは。


 連載中の「ブッダマシーン」シリーズですが、前回はさすがに「完全なる電子工作」でしたので、今回はもっともっとお手軽に


 自分だけの、マイブッダマシーンづくり


に挑戦してみましょう!


 ブッダマシーンの作り方には、いくつかのパターンが考えられますが、前回のように


■ 中華製ブッダマシーンチップを利用する方法


というのがまず、挙げられます。共立電子さんではキットになっていましたが、


(販売中 M-F016A)

https://eleshop.jp/shop/g/gO2231K/



一時期はAliExpressなどでも、いくつかのICが売られていたそうです。


(販売終了?M-F345C)

https://ja.aliexpress.com/item/32819776813.html


(販売中?M-F344C)

https://ja.aliexpress.com/item/32877216425.html


★旧バージョンの共立電子版キットはM-F344Cだったようです。

https://eleshop.jp/shop/g/gN91312/



チップから組み立ててる人もおられるようで。

https://www.youtube.com/watch?v=06_z5kBq_Gc


 しかしまあ、これらは前回同様の「電子工作」なので、やったことがない人にとってはハードルが高いですね(^^;


 そこで、今回の「おてがる版」としては


■ MP3プレーヤーを代用する方法


をご提案いたします!


 MP3プレーヤーとは、言い方を変えれば、何らかのミュージックプレーヤーを使う方法なので、「使わなくなったスマホ」でもいいし、これまた中華製の安っちいプレーヤーを使っても構いませんが、それでは面白くない!


 もちろんそれでも作れますが、


『スピーカー内蔵で、そのままお経を流せること』

『なるべく安く、なるべくチープで、お金をかけないこと』

『できるだけブッダマシーン専用機として運用できること』


などなど、を心がけたいと思います。


 さて、実はブッダマシーンとしては、「専用機」がほとんどなのですが、韓国の「ポンチャックマシーン」になると、『ラジオ兼SDカード音楽プレーヤー』として存在することが多いのです。


 ポンチャックとは、各国独特の電子音楽なのですが、それを山ほど収録して流し続けるのが「ポンチャックマシーン」で、これはSDカードのMP3が流せる一般のプレーヤーが流用されています。


 ↑こんな感じ。

 つまり、姿かたちはただのラジオですね(笑)


 余談ですが

『ブッダマシーン ・・・アジア』

『ポンチャックマシーン ・・・韓国』

『コーランマシーン ・・・中東』

『チャンティングマシーン ・・・インド』

などのガジェットがこれまでに確認されているそうです。


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 さて、いよいよ作成に入りましょう!

 どの機器を選んで「マシーン」を作るかは自由ですが、一番安そうなのは


 ダイソーのBluetoothスピーカーが500円!!


なので、それを使うのが最も安価でしょう。


 中国から電子チップを輸入しなくても、「録音再生ICモジュール」とか「MP3再生モジュール」とかも部品で売っているのですが、それだけで数百円するので、スピーカーとか、電池ボックスとか、ケースを足してゆくと、すぐ1000円くらいになってしまいます。


 そうすると「天下のダイソー」の品をチョイスするのが、いちばん賢い方法と言えるでしょう。


 ムコガワさんのオススメは、



ダイソー BLUETOOTHスピーカー2 500円



ダイソー BLUETOOTH SPEAKER ポータブルタイプ 500円

の2機種です。


 それ以外にもダイソーだと、700円のスピーカーや、1000円のスピーカーなど、いくつか種類があるのですが、なんといってもブッダマシーンを作りたいので

「いちばん安いやつ」

をチョイスしました。


 機種選定のポイントは

■ マイクロSDカードを入れて、その音楽が再生できること

■ スピーカーが内蔵であること

が必須です。上の2機種は、当然それを満たしています。


(本来は無線で音が出せるものですが、その機能はあえて使っておらず、純粋にMP3プレーヤーとして使用します)



★ ここでは500円は機種代金として予算計上していますが、このほかにマイクロSDカードが必要です。すでに昔のケータイ用、スマホ用として2Gくらいのカードを持っている人は、それを流用してみてください。

★ 新しくマイクロSDカードが必要な場合は、これまたダイソーで32Gのものが500円くらいで売っています。



<オススメポイント>






 円筒形のBLUE TOOTHスピーカー2は、まず本体サイズがとてもコンパクトで、「小さい」という意味でもブッダマシーン向けです。

 色は「ゴールド、シルバー、ブラック」の3色があるのですが、ブッダマシーンにもっともふさわしいのは「荘厳なる金色」一択です(笑)


 また、ブッダマシーンの高級タイプは、キラキラ光るように「光り物LED」などが搭載されているのですが、このスピーカーにも「7色に光るLED」が内蔵されているので、


 まさにブッダマシーンにふさわしい筐体


なのです!





 もう一機種のほうは、オーソドックスな筐体になっています。小型のラジカセのようなUIなので、わかりやすいのがメリット。


 ただ、色合いが真っ黒で、いかにもオーディオ機器っぽく、ブッダマシーン感に欠けるので、これからみなさん製作者が


「どれだけデコれるか!」


がブッダマシーンらしさを醸し出すかどうかの岐路になるかもしれません。ぜひ壮大にデコってくださいね。


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<作り方解説動画>


 基本的にはいかにも「ブッダマシーン」らしい装飾を施すだけの工作です。

 小学生からでもできると思います(^^



 

 ■ 佛 のレリーフ的なものを貼り付け

 ■ 蓮の花のイラストを添えて


 これだけで一気にブッダマシーン感が増します!(笑)


 あとはマイクロSDカードに「ブッダな楽曲」を入れて再生するだけで、


 あなただけのマイ・ブッダマシーン!


が完成します。


(楽曲編については次回詳しく解説します)





2024年3月3日日曜日

FM3 BUDDHA MACHINE 1 (2023) レビュー!

 

 さてみなさんこんにちは


 ここのところしばらく「ブッダマシーン」関係の話を連載していますが、やっと長年買いたかった


「BUDDHA MACHINE」


を入手しました。


 このブッダマシーンは、中国のFM3というユニット、アーチーストがアンビエントの楽曲を「電子念仏機」の中に入れて発表したものです。



 初代は2005年


 https://www.fm3buddhamachine.com/


 1〜5くらいのバージョンがあって、それぞれ機構がほんの少しずつ違います。


 ボリュームがアナログのもの。ピッチコントロールがついているものなどなど。


 今回のはバージョン1の再販ですが、アナログだったボリュームがデジタルに変わっているようです。





 




 これまでのものよりグッとシンプルになっていて、操作体系もかなり簡素です。


 どのように動かすかは、動画でどうぞ!


 




 

 まあ、なんというか、オリジナルの念仏機では「お経音楽」だったものが、アンビエントのループになっていて、そりゃあオシャレです。


 ブッダマシーンという「ことば」も、この機械によって生まれたと言ってもよく、現代アートとしても傑作なのではないでしょうか。


 アート、音楽、テクノロジーの融合としても、たいへんよくできているガジェットと思います。


 もちろん、ローファイサウンドをただ、意味もなくループで「聴く」という機能しかないわけですが、ある種の「読み込み君(ポポーぽポポポ♪)」に引き寄せられる人類普遍の真理、みたいなところがあって、このブッダマシーンはアンビエント系ですが、ミニマルミュージックとか、もっと速いテクノ・ユーロビート系でも、成立するのではないかなあ。


ぜひ、どのタイプでもいいので、おひとつ試してみてください(^^


【覚書】 ブッダマシーン 楽曲集 六合一(六合壹) (6曲)



  チップ/基板 HY01JQ-V02 2022.01.12





 収録曲 (本体に記載のもの)


 1)四字五音

 2)南無観世音菩薩

 3)南無地蔵王菩薩

 4)老法師念佛(快)

 5)老法師念佛(中)

 6)老法師念佛(慢)


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 1) たぶんこの音楽 → 【Amituofo! 阿弥陀佛!(四字五音)】

 https://www.youtube.com/watch?v=bTol6aBdHpA


 再生速度がやや違うけれど、チップのせいなのかはわからない。


 2) 楽曲はこれ → 歌い手は違う 【南無觀世音菩薩聖號 七字二音 臺灣靈巖山寺】

 https://www.youtube.com/watch?v=F5hh420NmAk&list=PLpJd3xvoJYHcyu7sZtZgBE5EoNWgCn_a-&index=2


 3) 2と3は実はおなじメロディのバージョン違いだと思われる。タイトルでは観音菩薩と地蔵菩薩に別れていて、別の曲かな?と思うけれど、歌っているメロディも歌詞も同じに聞こえる・・・。


 4) たぶんこのあたり? → 【淨空法師快速念佛(5小时)】

 https://www.youtube.com/watch?v=nWBb8jTe5pI


 5)これがあやしい → 【净空法师中速念佛(70分钟)】

 https://www.youtube.com/watch?v=gO4bIXg3Zm4


 6) こういうのかな→ 【阿弥陀佛 (四字洪名) - 净空法师 慢速 念佛】

 https://www.youtube.com/watch?v=LYDcOzYmvf4


 4〜6については、YouTubeの動画とマシンの音源はすこし違うのだけれど、チップの再生速度にもズレがあるようなので、なんとも言えない。

 ただ、「快」「中」「慢」(速・中・遅)の速度差は、YouTube動画でもちゃんと3種類あるので、オリジナルブッダマシーンを作るときには、十分音源として採用できる。


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 日本人がパッと聞くと、タイトルもありきたりで、楽曲もいい加減なのかな?と思うかもしれないが、YouTubeにはオリジナル・あるいはその派生や別演奏がたくさん上がっていて、タイトルも意外と整合性がある。(たまに怪しい)

 あちゃらでは「名のしれた楽曲名」なのかもしれない。


 また、ブッダマシーンではおなじみの「おっさんの念仏シリーズ」だが、どうも「浄空法師」の歌唱が有名なのか、YouTubeにはこのお方のサウンドがたくさん上がっている。


 もしかして彼はその界隈では有名人なのか??


 とにかく、ブッダマシーンでは音質が低く、サンプリング周波数の関係で、解像度が荒くたいけれど、YouTubeにはそれなりに高音質版があるので、オリジナルブッダマシーンを作る際には、音源として重宝しそう。


2024年3月2日土曜日

ブッダマシーン自作キットを作ってみた! 

 

 さてみなさんこんにちは。


 最近、ずっと気になっていた「ブッダマシーン」をついに手に入れることができて、ついでに自作もしてしまいました(^^


 共立電子産業さんで売っている2種類のブッダマシーンと、自作キットを購入しました。


 ブッダマシーン6曲入り

 https://eleshop.jp/shop/g/gM1E317/



 ブッダマシーン22曲入り

 https://eleshop.jp/shop/g/gO15314/


 



 そして、電子基板から作る「自作キット」です。

 https://eleshop.jp/shop/g/gO2231K/


 


 ■ 電子基板

 ■ タクトスイッチ

 ■ コンデンサ

 ■ スピーカー

 ■ 電池ボックス(電源SWつき)


 キットの部品はたったこれだけなので、ハンダ付けが好きな方であれば、数十分もかからずに組み立てられると思います。

 別途ケースを作るなりして、自分だけのブッダマシーンを作ることも可能です。


 


 基板はヨコ2センチくらいしかなく、ハンダスペースが小さいので、共立電子さんによれば「難易度高め」とのこと。


 左から8つの端子が見えていると思いますが、


 


 左から3つめは3本の線を、

 右から3つめは2本の線を同時にハンダ付けしないといけないので、そこが一番難しいと思います。


 この箇所は


 


 まずはすべての線に予備ハンダをしておくことが重要ですが、いったんどれかの線をハンダ付けして、その上から次の線で押さえつけるようにして、そこをまたハンダ付けする、という手順を踏めば大丈夫です。


 一気に2本、3本ハンダ付けしようとすると、慌てふためくことになるかもしれません。


 そこさえクリアすれば、あとは簡単です。


 ぜひみなさんも挑戦してみてください!



2024年1月22日月曜日

【連載】 謎の楽器「ごったん」ミステリーに挑む20 謎はベトナムにあり?! 三線との接点は?

 

 毎度おなじみゴッタンの謎に挑む連載の続きです。


 これまで


 ■ ゴッタンは「ベトナム語 ゴー(板・木材)+ダン(弾)」ではないか?


ということで謎を解く鍵はベトナムにあるのではないか?と考えていましたが、少しそれを裏付けるような話が出てきました。


 飯田さんという方がまとめている内容がとてもわかりやすいのですが、


http://www.yo.rim.or.jp/~kosyuuan/kosyuan/iida/iida18.htm


「琉球音楽史略 山内盛彬」のまとめとして


■ 日本形と琉球の御座楽の三絃は共に中国(支那)系統

■ 琉球の民間形三絃は公式輸入より古く、安南シャム辺りの輸人

■ 蛇皮は福州を経て来るが安南産である

■ 黒檀の用材も安南と同じく棹が短いのは輸入後の改良

■ 三絃は中国では合奏楽器であるが南方と琉球では独奏にも使う。


という点を挙げておられます。


 この安南というのがベトナム北部から中部を示すエリアで、唐の時代の「安南都護府」に由来すると言うのです。


 やはり蛇皮や黒檀を使うあたりが、沖縄三線と中国三弦の源流としてベトナム方面を想定するのは自然な流れのようです。


 山内さんは「棹が短くなったのは輸入後の改良」と考えておられますが、当方でもまったく合意します。


 もう一つ興味深いのは、1720年に琉球へ行った中国人(冊封副子徐葆光)が


「三絃柄北中国短三寸余」(中山伝信録)


と書き残していることで、これをそのまま読めば、中国三弦より沖縄三線の棹は3寸(約9〜10センチ)短い、としていることになります。


この記述について宮城栄昌さんは「琉球使者の江戸上り」において、中国三弦を「三尺位」系統と想定して、それより3寸短いと考えています。


(そうすると2尺7寸程度になるでしょう)


 また田辺尚雄さんによると(「三味線楽起源と伝来」)


「赤犬子が普及に携わった点と、”琉球人は正座する為に腰かけて奏する支郡の三絃の棹を3寸程短くし、自国風に消化した点」


について言及しているようです。いずれにしても三線の棹が短くなったのは、沖縄にやってきたから、ということが興味深いわけですね。


========


 そうすると棹の長さを勘案して、本州の三味線は、沖縄を経由したかもしれないけれど、やってきたのは基本的には「中国三弦」であったと推測してよいと思います。


 短くなった「沖縄三線」が本州へ行ったわけではなく、「3尺くらいの長い蛇皮三弦」が、琉球にも来たし、本州へも行ったと考えるのが自然と思われます。


 つまり、沖縄三線は、「本州三味線の先祖」ではなく、中国三弦という親から同時に分かれた「きょうだい」だということです。



2024年1月14日日曜日

【連載】 謎の楽器「ごったん」ミステリーに挑む19 玩具としての木製三味線 ゴッタンはおもちゃか?

 

 さてみなさんこんにちは。


 ゴッタンの寸法について、悩みながら検証している最中ですが、


 ■ 沖縄三線の写しであれば最短で短い(2尺5寸)であることは頷けるが


 ■ それは沖縄三線が明清楽の影響を受けて短くなっているからで、


 ■ 薩摩の音楽が「指固定の演奏法」と関係ないのであれば、短い必要がない


 ■ なおかつ、渡来品の三弦の本来の長さは3尺であろうということから考慮すると


 ■ 短くないゴッタンがあってもよい


というあたりをずっと考察しています。


 ベトナム方面や中国南方から来る三弦琴は、おおむね3尺で、短いものはないわけですから、楽器の形態としては3尺のものがゴッタンに取り入れられてもよいわけです。


 ところが、多くの文献では「古いゴッタンはさらに短い」と書き添えてあることが多く、それは平原利秋さん所有の楽器でも、たしかにその傾向がありそうです。


 https://www.nishinippon.co.jp/image/10410/


 ただ、この考え方を挙げた時に「短いゴッタンは女子供のための、おもちゃ的なものである」という意見もあり、それを検証していました。


 すると、面白い話が見つかったのです。


「郷土教育の概覧」 昭和9年

徳島県女子師範学校・徳島県立徳島高等女学校郷土研究部 編


に添付のような記事があり、徳島県で「玩具として木製の三味線を作っていた業者があった」ことがわかります。


 この「木製玩具三味線」は徳島県に限らず、全国的なものだったようで、


「東京玩具商報」東京玩具人形問屋協同組合 昭和27年

にも



 玩具会社の広告として「当店独特の木製・三味線・太鼓各種取り揃えております」とあり、木で作った玩具三味線というジャンルがあったことがわかります。


 さらに面白いのは、

「玩具及人形類公定価格要覧」 東京玩具卸商同業組合 編 昭和15

には、この玩具三味線のサイズがはっきり示されていることでした。


 ここでは琴や三味線の玩具について示されますが、



木や紙などを使って作った「子供用玩具三味線」が

■ 1尺8寸

■ 2尺

■ 2尺3寸

などのサイズであることがわかります。


 (その多くが「布張りの胴当て」や「撥」を付属していることから、本州三味線を模したものともわかります)


 これらのデータからは「たしかに、玩具三味線というジャンルがあったこと」は伺えますね。


 そしてミニチュアではなく、長さが2尺前後ちゃんとあるので「子供が弾けるサイズ」だったこともわかります。


 たしかに、2尺5寸程度のゴッタンが「子供向けのおもちゃではないか?」と思われてしまうのも、おかしくはありません。


 最終的には、これらの楽器の形態が「どういう形状をしていたか」で話はズバッときまります。


 おそらくこれらの玩具三味線は「本州三味線の写し」でしょうから、海老尾やら乳袋やら、鳩胸猿尾やら、三味線の形状を模しているはずです。


 しかし、ゴッタンの本来の姿はそうした形状にはなっていないので、「まったく別の派生である」ということは形態からは述べることができると思います。


(つづく)



2024年1月13日土曜日

【連載】 謎の楽器「ごったん」ミステリーに挑む18 ゴッタンが入ってきた経緯を探る

 

 さてみなさんこんにちは。


 前回は長年に渡る謎が「スッキリ」解決したような、ものすごい大どんでん返しでしたね。


 ゴッタンの語源は、おそらく「木弾」で「ゴー・タン」というベトナム語に関係がありそうだ、というオチでした。


 しかし、そうなると、再検討しなくてはいけないことが出てきます。それはいわゆる三弦の仲間ではあるものの、蛇皮三弦とは違う流入の仕方をしたのではないか、という点です。


 これまで、沖縄三線の変形だと考えていましたが、それも一度リセットしてよいかもしれません。


 沖縄に蛇皮の三弦が入ってきて、薩摩地方のどこかには「木弾」が入ってきた、とすれば別物の可能性もあるからです。


 同時に、南方の周辺国家についても検討してみました。東南アジアには現在


■ フィリピン

■ インドネシア

■ ベトナム

■ ラオス

■ カンボジア

■ タイ

■ ミャンマー

■ マレーシア


などがありますが、「ゴータン」がやってきたと思われるのはベトナムです。ベトナム以外には「ダン」系の楽器がほとんどなく、名称の関連性も薄いからです。


「ゴー・ダン」がやってきたとすればベトナムであろう、というのが第一選択なのですが、それでも気になる点があります。


 それは現在の言い方だと、ベトナムでは「ダン・ゴー」であること。むしろ「ゴー・ダン」であれば中国式になります。


 そしてその中国では「ダン(弾)」系の名称があまりなく「チン(琴)」系の名称のほうが強いことです。


 ということは、ゴーダンは、中国風でもあり、しかし言葉はベトナム語ということになります。ベトナムから直接やってきたというよりは、海運や通商などの間に、「越南と中国のはざま」を行き来しながら船に乗ってきたものと思われます。


 おもしろいことにベトナム楽器には2つの言い方があり、たとえば


■ ダン・グエット と グエット・カム  (弾月 と 月琴)

■ ダン・バウ と ドク・フイェ  ン・カム (弾瓢 と 独弦琴)


などですが、前者がベトナム風、後者が中国風と考えれば、とても納得がゆきます。 


 おそらく中国風とベトナム風のはざまで揺れ動きながら、これらの楽器が伝播したものと思われますね。


東アジアの国際関係とその近代化 朝鮮と越南  原田環

 https://www.jkcf.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/11/02-0j_j.pdf


の論文によると、清国を中心とする朝貢関係で言えば


「朝鮮・越南・琉球」の3つの国


が特別な地位を持ったことが示されています。もちろん、琉球は薩摩藩にも朝貢したわけですが。


 だとすれば薩摩に「木弾」が入った理由も頷けます。中国風になった越南の品が入る可能性が、最も高いからですね。

 (加えて、経由地としてやっぱり琉球が上がってきそうな気がします)


 これも参考として琉球における楽器の様子を見ると


http://kumiodori.jp/kumiorori/index.html


首里城での慶賀(ケイガ)や御冠船踊(カンセンオドリ)、または江戸上り(エドノボリ)の際に奏(ソウ)された室内楽(シツナイガク)を「御座楽(ザガク)」というが、それは中国の明・清楽系統(ミン・シンガクケイトウ)の音楽を奏するものであった。そのときの楽器には、弦楽器(ゲンガッキ)に瑟(ヒツ)、二線(ニセン)、三線(サンセン)、四線(シセン)、琉三絃(リュウサンゲン)、長線(チョウセン)、琵琶(ビワ)、胡琴(コキン)、揚琴(ヨウキン)、月琴(ゲッキン)、提琴(テイキオン)などがあり、打楽器に二金(ニキン)、三金(サンキン)、銅鑼(ドウラ)、三板(サンパ)、小鉦(ショウショウ)、金鑼(キンラ)、小銅鍵(ショウドウラ)、新心(シンシン)、両班(リョウハン)、韻鑼(インラ)、挿板(ソウハン)、ハウ子(ハウツ)、檀板(ダンバン)、相思板(ソウシハン)、着板(チャクバン)などがあり、吹奏楽器(スイソウガッキ)に篳篥(ヒチリキ)、半笙(ハンショウ)、哨吶(ソナ)、立笙(リッショウ)、横笛(ヨコブエ)、管(カン)、銅角(ドウガク)、喇叭(ラッパ)、洞簫(ドウショウ)、十二律(ジュニリツ)などがあった。また、琉球王国時代に中国から伝来した道中楽(ドウチュウガク)を「路次楽(ロジガク)」と称するが、それに使用する楽器には銅鑼(ドラ)、両班(リャンハン)、哨吶(ソナ)、喇叭(ラッパ)、銅角(ドウカク)、鼓(クウ)、新心(シンシン)などがあった。”


とあり、「二弦・三弦・四弦系楽器」や「琵琶・琴系楽器」は見られるものの「弾系楽器」は見られず、ベトナムから直接は琉球王国へ伝播はしていないと推測できます。


 とすれば、「弾」の流入は、公式なものではなく、漂着者などが持っていた等、イレギュラーなものであったかもしれません。


(御座楽では沖縄三線よりも大三弦・中三弦の使用が目立つ。


https://rujiuza.com/instruments/uzagaku/


もとの記事中に「琉三絃」とあるのが、いわゆる短くなったあとの沖縄三線かもしれない)





https://poste-vn.com/lifetips/vietnam-instrument-350


↑こちらのサイトでは、木製三弦である「ダン・ダイ」の音色が聞けます。棹が長いのはハイポジション中心に弾くからでしょう。


 また、いわゆる三弦である「ダン・タム」について棹が短いことが書かれています。動画で見る限りでは沖縄三線よりは長そうですが、現代ゴッタンくらいの長さなのかもしれません。


https://item.rakuten.co.jp/earthvillage/130019/


 現行品は全長90センチらしいので、まさに現代ゴッタンとおなじ。


 こうして考えると、ゴッタンはやはり「三味線よりは小さい」ということは確実でOKと思います。

 ただし古ゴッタンが2尺5寸などの「もっと短い」棹だった話は、オリジナルの「木弾」がどうであったかも考慮する必要があると感じます。

 沖縄三線との影響関係を探ってゆく必要があるでしょう。


https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13110715153?__ysp=5rKW57iE5LiJ57eaIOOBquOBnOefreOBhA%3D%3D


によると古い沖縄三線の胴は、現在の80%くらい小さい、との話もあり、さらに謎が深まります。


 現在の三線胴は180ミリ程度ですから、それに80%を掛けると144ミリということになり、以前に紹介した平原さん所有の「現代ゴッタン」と「古ゴッタン」のサイズ比率とおなじくらい小さいことになります。


=======


 さらに、この記事を書いている途中で発見したのですが、(すでにアップ済み)、沖縄三線の棹が短いのは明清楽との関係が確実にありそうです。


 ■ ベトナム三弦はカポをつけて弾く

 ■ 明清楽三弦もカポをつけて弾く なおかつ指固定で弾く。

 ■ 中国三弦のオリジナルはカポをつけない。


 という関係性があり、沖縄三弦はおそらく時代的には三弦が入ってきて、工工四が整備される頃かそれ以降に、「短く製作された」可能性が高いと思われます。


 そうすると、考え方としては、


■ 古い時代のゴッタンがさらに短い、というのは沖縄三線の影響か(2尺5寸)

■ 三弦琴、三弦子の基本形からすれば90センチ寸法は”正しい”(3尺)


という2つの観点があることになります。


 このあたりを追求してゆけば、ゴッタンがやってきた時代や形状の考え方も整理されてくるかもしれません。


 音楽的には、少なくとも琉球宮廷音楽と薩摩民謡は直接的につながるわけではないので、


■ ゴッタンは指固定ではないだろう(推測)

■ ゴッタンと明清楽の関係は薄いだろう


と仮に考えれば、別に「短くする」必要はないことになります。


 そうすると、ゴッタンには「2尺5寸の三線を模したもの」と「3尺の三弦系のもの」の2パターンが混在していても、不思議ではないということになるでしょう。


 むしろ、指固定ではない演奏法からすれば、短い必要がなく、「ふつうの三弦系同様、3尺に近い」大きさであっても良いことになります。


 このことを確定してゆくには、やはり「ゴッタンの音楽性」に立ち戻る必要があるかもしれません。


(つづく)









2024年1月12日金曜日

【連載】 謎の楽器「ごったん」ミステリーに挑む17 捨てる悪魔あれば、拾う天使あり!ゴッタンの語源に迫る!

 

 さてみなさんこんにちは。


 ゴッタンの語源に再び迫る新シリーズ! 前回登場したのは「ごふたん」という謎の言葉でした。


 南方系の言葉で「ゴータン」だと推定される名詞が、ゴッタンにとてつもなく関係する?という恐ろしい話でしたが、ひらめいてしまったかもしれません!!!


 まさに、悪魔の証明からの復活大逆転劇でございます!


 三弦を始めとする中国系楽器は、中国各地から関連地方に広がり、当然ながら日本にまでやってきています。そこで雲南省や貴州省などの少数民族の楽器までしらみつぶしに探したのですが、鳥集忠男さんの言うところの「グータン」は見つからなかったのでした。


 基本的に、中国の楽器で三弦のものはすべて「三弦」です。(秦琴や、月琴、阮咸などはもちろんありますが、三弦派生の楽器はほとんど三弦に近い名称がついています。


 したがって「グータン」が存在するとしても、なぜ「三弦」から離れているのか、よくわからない、という点が問題でした。


 ところが東郷町の方言辞書では「ゴータンサンセン」なる語を挙げています。これは、あくまでも三弦の一種でありながら、それを形容するなら「ゴータン」であることをイメージさせます。


 ちなみに余談ながら、中国の「三弦」は「サァン シィェン」に近い発音だそうで、その意味では「さんしん」はいいところをついている感じがしますね。



https://ja.bab.la/%E7%99%BA%E9%9F%B3/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E8%AA%9E/%E4%B8%89%E5%BC%A6%E7%90%B4 


↑で現地の発音が聞けますが「サンシンチン」と言っているように聞こえます。(三弦琴)


 さて、本題です。


 私は中国の秦琴も持っているのですが、秦琴、三弦、月琴、阮咸などはそっくりそのままベトナム楽器になって、あるいは2弦に減って伝播していることが知られています。


https://saisaibatake.ame-zaiku.com/gakki/gakki_zukan_vietnam.html


ベトナムの楽器は、↑など多数のサイトで見ることができますが、


ダン・グエット ダン・セン ダン・タム


など、「ダン」がつく楽器が多いことが特徴です。


ちなみに


■ ダン・グエット グエットは月を表すので、月琴

■ ダン・セン センは蓮の花 オリジナルは中国秦琴(梅花秦琴)なので、花の形

■ ダン・タム タムは「三」つまり三線

■ ダン・ダイ ダイは「長い」つまりロングネックの弦楽器

■ ダン・バウ バウは瓢箪(ひょうたん) ひょうたん型の一弦琴


という感じです。


 すでに勘の良い方は気づいたかもしれませんが、ベトナム語と言いながら、中国文化の影響を多大に受けていますから、実は中国語であり、漢字です。


 日本語でもかなり意味が通じます。


■ 弾月 だんぐえっと だんげつ(日本語風読み)

■ 弾蓮 だんせん 

■ 弾三 だんたむ だんさん

■ 弾長

■ 弾匏 (匏はウリなどの仲間)


■ 弾箏 ダン・チェイン というのもあります。日本語風だと だんきん


 さて、これだけ「ダン」が続くと、「ダンが弾である」ことは納得できますし、なんとなく


「ゴッタンのタン」


が関係あるのではないか?と思ってしまいますよね。


 鳥集説でも「古弾(グータン)」でしたから、タンは弾である可能性が高くなってきました。


 では。「ごふたん」とはなにか。


 たんが「弾」だと仮定すれば、ベトナム語における「ゴー」が何かを調べたらよいことになります。


 で、調べたら恐ろしい結果が出たのです!!!


 なんと、ベトナム語で「ゴー」は


https://vjjv.weblio.jp/content/%E3%82%B4%E3%83%BC


「木、木材」


なのです!!!!


 おっそろしいほど、そのものズバリの回答ではないですか。


 こんなにスキッとつながることがあるでしょうか!!



 つまり、ベトナム風に名前をつけるならば「弾木」(ダン・ゴー)であり、中国風に入れ替えれば


「木琴 (木弾・ゴーダン)」


でもあることでしょう。(けして ”もっきん” ではない)


 これで、鳥集説が発せられるかなり前に、東郷町の方言辞書が「語源は南方系」と書いた意味がわかるというものです。


 ベトナムだけに限るものではありませんが(なぜなら、越南語も中国語の影響下にあるから)南方系中国方言としてゴー・ダン(ごふたん)があり、それが音便化して「ゴッタン」と変化していったと考えれば、自然です。


 当時のベトナムなどに固有名詞としての「ゴー・ダン」が存在していたかはわかりません。しかし、「ゴーな、ダン」(木の弦楽器)という言葉はあったと思います。


 基本は中国語なので、特段不思議なことばではないからです。


(苗族に「古瓢琴」があったり、「弾琴」があったりしたことは、この中国系「琴」の使い方と、ベトナム系「弾」の使い方の接点としておおいに納得できます)


  ちなみにベトナム語では「cay 」という語も木を表すのですが、cayがどちらかというと生木や植物としての木を表すのに対して、go は木材や材木に近いようです。


 そのことも「板三線」の意味に近いと思います。


 というわけで、左大文字的結論は、


「ゴッタンは 木弾(ゴーダン) であった!」


ということになりそうです。


 しかし、ゴクタンなどの語も多数見られるので、ゴーダンの意味がわからない中で「ゴク」系の硬い印象の言葉と融合した可能性もあると思います。


 その意味では、「ごったましい」系の語源も、あながち否定するには早いと思います。


 (つづく)










2024年1月11日木曜日

【連載】 謎の楽器「ごったん」ミステリーに挑む16 ことばの悪魔は復活するのか?ゴッタン新・新説の登場!

 

 さてみなさんこんにちは。


 ゴッタンの語源については、左大文字なりに「解決した」はずでしたが、なんということでしょう。悪魔の証明のように「古弾の存在がない、ことは証明しようがない」ということでしたが、


 なななんと、その悪魔が復活したのでございます!!!


 まさに謎が謎を呼ぶ展開ですが、真実はいつもひとつ!じっちゃんの名にかけて!が合言葉ですから、どんどん深みにハマってゆきましょう。


 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/306305/


 鳥集忠男さんが「ゴッタンは古弾である」説を唱えたのは、1987年のことだと西日本新聞は書いています。

 ついでにウィキペディアでは

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%B3

「花和尚訪中記」での記述についても触れています。この文章が発表されたのが1987年なので、「古弾(グータン)」説はここから始まったと言ってよいでしょう。

(季刊南九州文化第31−33号に収録)


 ところが、いつものように古い文献を調べていると、とんでもない記述が見つかりました。


 それは、「東郷町郷土史」という鹿児島県東郷町で1969年に刊行された資料にかかれているのです。

(いまの薩摩川内市)


 まずは、その生写真をみてみましょう。



■ ごふたん 板三味線 ごふたんさんせん 語源は南方系



 いままでの発音では「ごくたん」「ごきたん」「こつた」などが登場しました。ゴッタンは、促音便形でしたが、「ごふたん」は、ウ音便に近い発音です。


 旧かなづかいなので、発音を現代に直せば「ゴータン」ということになるでしょう。


 恐ろしいのは、添え書きに「語源は南方系」とあることです。


 南方が即、雲南省を示すわけでもないし、「ゴータン」が「グータンという同形状の楽器」を示すとは限りませんが


 何かある、そこになんかある?


のは、じわじわと伝わってくるのではないでしょうか。


 興味深いのは「ごふたんさんせん」とも書かれていることです。これだと、何度も検討してきた中国の少数民族の楽器が「三弦」であることと矛盾はしません。


 サンセン系の楽器があり、その中で「ゴータン」な「サンセン」がある、というニュアンスで理解することができます。


 ただし、これだけでは


■ 分類上「ゴータン」な「サンセン」が存在する

のか

■ 「ゴータン」という形容詞がつけられるような「サンセン」が存在する

のか

それ以外なのか、よくわからないことです。


 しかし、鳥集説に遡ること18年前に「ごふたんは南方系のことば」と書いている辞書があることは注目に値します。


(もちろんそれが楽器を示すかどうかも、現段階ではわからないのですが、なにせ、ある三弦がゴータンなことは伝わります。なにがどうゴータンなのかはわかりませんが)


========


 さて、不思議なことに東郷町の方言辞書では、「ごくろし」系のコトバや「ごく」系の単語は収録されていませんでした。

 また「たん」「たんこ」系の言葉もありません。

 一点気になるのは


■ くいたん 背板・製材の際に出る用材にならぬ部分


という語があったことです。ネットでは


https://kagoshimaben-kentei.com/jaddo/%E3%81%8F%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%93/


「刳(く)り端(たん)」の転訛か?


とあり、端の意味が強めですが、「たんこ」系の言葉と関係があるのか、気になるところですね。


 さて、何はともあれ、「南のほうに、ゴータン」があるらしいことがわかりました。


まるで西の方である天竺を目指す西遊記のようになってきましたが、南の方に一体何があるのか!ゴータンとは何なのか?


 謎はまだまだ続くようです。


(つづく)









2024年1月10日水曜日

【連載】 謎の楽器「ごったん」ミステリーに挑む16 古ゴッタン写真一覧

 

 現代ゴッタンではない「古いゴッタン」の資料写真を引用元を明記の上紹介してゆきます。


 年代順 


■ 佐多岬 野田千尋  南日本出版文化協会 1966



(大泊での写真 女性が演奏している。三味線撥を用いていることがわかる)


■ 民謡のふるさと : 明治の唄を訪ねて 服部竜太郎  朝日新聞社 1967


(これはイラストだが、原写真がある<南日本風土記にオリジナル>ので掲載)


(大隅大泊での写真 演奏者はゴッタン・太鼓とも女性)
(おなじ写真は、「民謡紀行全集 第3」服部竜太郎 1962・「日本の民謡」服部竜太郎 角川新書 1964 にも登場)


■ 霧島山麓(姶良郡北東部)民俗資料調査報告書 鹿児島県明治百年記念館建設調査室 1972


(牧園町の板三味線 全長85.5センチ 胴長18センチという。現代ゴッタンが全長92センチ程度であることを考えると、かなり小さいが、沖縄三線より大きいことがわかる。所有者はやはり女性)



■ 西日本民俗博物誌 下 谷口治達  西日本新聞社 1978


(見えづらいが、このゴッタンの天の部分は、直線型で中国三弦のような形状にも見える)



■ 生きている民俗探訪鹿児島 下野敏見 第一法規出版 1979.1


(荒武タミさんを取材したもの。糸巻きが短い)


■ 南日本風土記 第三版 川越政則 鹿児島民芸館 1983.3


(1つめの写真とおなじゴッタンかどうか不明)


■ 大乗 : ブディストマガジン 42(1)[(488)] 大乗刊行会 1991-01



(ゴッタンを弾く鳥集忠男氏 楽器は荒武さんから譲られたものだろう)


■ Latina = ラティーナ : 世界の音楽情報誌 (468) 1993-02



(1992年 アジア民族芸能祭でゴッタンを弾く鳥集氏 楽器は新しいものか)