2009年5月29日金曜日

【三線ism】 たかがフレット、されどフレット





さてみなさんこんにちは

 新しいおもちゃを買ったときのように、秦琴をいじくりまわしている左大文字です。

 この楽器を手に入れてから、楽器の歴史や流れについてちょっと俯瞰的にみることができるようになった気がします(^^

 三線や三味線との比較では、いろんなことが発見できるのですが、今日はその中から、ひとつ


「フレット」


について、考察してみたいと思います。

 ご存知のとおり、三味線や三線はフレットレスの楽器です。つまり、音階を決めてしまう「柱」がまったくついていないので、弦の任意の位置で押さえることで自由に音の高さを決めることができる楽器だといえます。

 フレットがあるほうがいいのか、ないほうがいいのかは、実は「優劣」の関係ではありません。音がデジタル的に決められてしまう「フレット付き」楽器のほうが、自由度が低い場合もあります。

 伝統的な世界でも、革新的な世界でも、「フレットのあるなし」は優劣とは無関係です。


 それが証拠に、バイオリンやチェロなどは、フレットがありませんが、そのことで交響楽の世界から文句が出たことはありません。ギターはフレット付き楽器ですが、エレキの奏者なんかはチョーキングなど、わざわざフレットの価値を失わせるような演奏法を作り出しています。



 さて、中国や日本の場合を考えてみると、昔からの楽器である琵琶や琴は「フレット付き」楽器です。

 三味線は逆に比較的新しい楽器ですが、フレットはついていません。

 二胡や馬頭琴はフレットなしですが、前にも話した「ドンブラ」などは「フレットつき」楽器です。


 よく「三味線はフレットがないから、古い」とか「フレットがないから難しい」といった意見が聞かれますが、実はそういう問題は的外れだということがわかりますね。

 

 で、今回「秦琴」を触っていると面白いことに気づきました。それは、棹と弦の「角度」の問題です。


 ギタリストの方はよく知っておられますが、ギターの場合フレットと弦の間の隙間はだいたい一定です。弦の先のほうから後ろのほうまで、フレットと弦との間隔はあまり変わりません。


 三味線・三線の場合は、下駒(ウマ)に対して山型になっています。つまり、上駒のあたりでは、弦は棹にかなりひっついていますが、下駒のところでもっとも間隔が広くなるようにできています。


 ところが、秦琴は逆なのです。谷型といっていいかもしれません。

 図で示しましたが、上駒がかなり高い位置にあって、そこから「フレット=柱」も高いものがくっつけてあるのです。上駒と下駒の高さは、(私の持っている)秦琴では平行といってもいいかもしれませんが、柱はなんと!どんどん高さが下がってゆくのです!

 つまり、ハイポジションになればなるほど、フレットと弦の間隔は広くなってゆくというしくみ。これは大変不思議です。

 ただ、この谷型だとフレットと弦が触れる感覚は、三味線の場合と似てきます。ハイポジションほど弾きにくいような感じ・・・、という意味では「山型」と「谷型」は共通点があるのです(^^

 というわけで、みなさんも自分が知っている楽器の特性をしらべてみてくださいね!


☆☆☆

 参考 ちなみに他の楽器では?


 ●二胡 ・・・棹があってないようなものですが、構造的には山型です。ただし、指がダイレクトに弦をおさえるので、原理そのものが違うともいえます。「ダイレクト型」でしょうか(^^;

 ●バイオリン ・・・これも構造的には山型なのですが、指板と弦の間隔が開いていかないように、わざと指板を斜めにつけてあります。結果的に平行になるので、「バイオリン型」といってもいい独自の形状になりますね。

 ●琴 ・・・山型の典型です。柱の位置が、楽器の中央に近い位置にくるので、弾かない側の弦を操作する(押したり緩めたり)という裏技も生まれています。

 ●トンコリ ・・・山型ですが、並行型にちかい構造です。というより、上駒と下駒の間を押さえるということをしません。開放弦だけで演奏します。

 ●ピアノ ・・・並行型ですが、開放弦だけをハンマーが叩きます。なんとピアノとトンコリは同じ原理です。最古に近い楽器と最新に近い楽器が原理的に「似てる」ということそのものが面白いですね!


☆☆☆

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