2007年7月21日土曜日

【三線ism】  ポップスとしての三味線音楽 ~うめ吉さんに学ぶ~



 さてみなさんこんにちは

 つい最近になって、メディアでもずいぶんと取り上げられるようになった三味線弾きの方に

「うめ吉」

さん、という方がおられます。

 うめ吉さんのHP
 http://www.satoh-k.co.jp/ume/

 この方はふつうのOLから国立劇場の研修生を経て、いろんな古典ジャンルの三味線や周辺のお勉強をされた上で

「俗曲」(端唄とか小唄など)

を軸にして活動されている方です。

(関係ないけど、大学卒業して『国立劇場職員』の採用試験を受けた思い出があります。もちろん落ちましたけど、数名の枠に300にんくらい受けてたのではないだろうか・・・)

 俗曲というのは、江戸後期から明治・大正へと続く、むかしむかしの「はやり歌」つまり、ポップス歌謡曲ということになります。このジャンルは、いわば「古典」でもなく「現代音楽」でもない、失われた・宙に浮いた時代の楽曲ですから、ここに焦点を当てる、というのは面白い試みかもしれません。

 テレビでも、よく拝見するようになりましたが、勉強になりますね。わたしが、きちんとしたある程度知識をもっているのは

①自分でやってた「地唄」
②大学で研究してた歌舞伎・文楽に関わる「長唄や浄瑠璃」

くらいですから、せいぜい元禄文化前後までです。おなじ浄瑠璃でも、新内とか常磐津になると、ほとんど聴いたこともありませんし、ましてやうめ吉さんのジャンルの「江戸はやり歌」などは、いつも「へー・ほー・ふうん」の連続です。

 話は一見飛びますが、沖縄民謡でも同じようなことがいえますね。沖縄民謡の世界は

わたしのある程度おおざっぱな理解ですが、

①古典
②いわゆる伝統的な沖縄民謡
③後世になって創作された沖縄民謡(「安里屋ユンタ」など)
④沖縄流行歌(「十九の春」あたりのジャンルかな?)
⑤沖縄ポップス(第一世代)(「ハイサイおじさん」あたり以降?」)
⑥外来沖縄歌(ライク-ダーやTHE BOOMの「島歌」前後から)
⑦沖縄ポップス(第二世代)(ビギンなど以降)

といった風に分類できると思います。そして、これらを一括して普通私たちは「沖縄民謡の世界観」で語ったり歌ったりしているわけですから、興味深いです。

 つまり、本来の民謡と、歌謡曲とポップスが入り混じりながら、「沖縄民謡」を形作っているこの世界観は、おそらく江戸後期から明治初期の「長唄~端唄・小唄」の一連のつながりに似ているような気がするわけです。
 わたしたちが「沖縄民謡」と大きなくくりで楽しんでいるように、江戸のひとたちは、多数のジャンルの音楽を同時にリンクさせながら理解し、楽しんでいたのだろうと。

 そのあたりのまろやかなつながりを学ぶのに、「うめ吉」さんのようなアーチストはとてもすばらしい活動をなさっていると思いますね。


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