さてみなさんこんにちは。
沖縄三線の棹がなぜ短いのか
という謎から発展したこのシリーズ。
結論から言えば「明清楽」で使われる中国三弦には「カポ」が使われていて、弾き方が指固定であった!ということなのですが、情報化された世界においては、動画でその様子を探ることができます。
考え方としては
■ 北方の三弦は、幅広いポジションで弾く 指固定でなく本州三味線式
■ 南方の三弦は、指固定で弾く。沖縄三線式
ということになります。この地域性と明清楽での弾き方の関連はまだよくわかりません。
中国民族器乐 【三弦】 赵承伟演奏
Sanxian - Everlasting Joy 万年欢
Chinese Folk Song on Sanxian 中国民间音乐 三弦
(北方系と推定。いずれも、ローポジションからハイポジションまで移動しながら弾いている。三弦の中でも大三弦が用いられているように思われる。トレモロ多め)
天官賜福_三弦 文龍師
(大三弦での指固定奏法)
白族民间乐曲 三弦《大理坝子好风景》 中国音乐地图 听见云南
(雲南省白族 北方系の弾き方をしているように感じる。指は移動し、かつトレモロが多い)
云南大三弦
(かなり興味深い映像。大三弦ながら いわゆるジャンカジャンカ系 の演奏しかしていない。六調系の原型かもしれない)
大理白族大本曲三絃演奏
(雲南白族の三弦 指移動 カポなし ジャンカ系)
(雲南白族 龍頭三弦 頭から飛び出した飾りが月琴の響き線の源流かもと言われているが。指移動がある。ジャンカ系が混じる この龍頭三弦は明らかに小さく、沖縄三弦にも近い寸法)
三弦試琴 林宗範
【林宗範牽亡歌示範】東營 │東營兵、東營將、東營兵馬九千九萬兵
(台湾 林宗範氏の演奏 指固定で三弦を弾いている。下のほうの楽器は現代ものと思われ、日本の三味線のコピーであろう)
台灣三弦琴
(こちらも台湾 カポがついていることがわかる。棹は長いが、指固定で弾いており、かつ上駒から離れて弾いているので、実際の音程は沖縄三線に近い位置になっている)
台灣三弦琴與二胡
(この映像良き。中〜小三弦くらいの寸法のものに、カポがついて、指固定で弾いている。台湾は「小琉球」なので、この弾き方が沖縄と近似であっても全く不思議ではない)
手工三弦的音色~張老師
(タイトルが「手作り三弦」なので、実態はよくわからないが、板張りで指固定)
LAÚD DAN TAM A8
(ベトナム ダン・タムなのにカポなしで、かつ指移動で弾いている。なんでやねん笑)
Đàn tam
(ダン・タム カポ有り、指は半固定というかローポジションだが、ちょっとだけ移動がある。ハイポジは無し。トレモロあり)
LIÊN KHÚC ĐÀN TAM
(ベトナム ダン・タム トレモロあり。 カポ有り 指固定。親指の立て方が沖縄三線ぽい。ほんのわずかに指移動が見られるが、基本は固定だろう)
HỀ MỒI. LUYỆN TẬP ĐÀN TAM
(ダン・タムの奏法がわかりやすい映像。カポ有りで、実際の弦長はまさに沖縄三線くらいとわかる。指使いも三線速弾きにかなり似ている。トレモロがあるのが中国風っぽい笑)
Đàn Tam
(カポあり。指はけっこう移動する。トレモロもある。ダン・タムの奏法として指移動系と指固定系があるのかもしれない)
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<考察>
文化や音楽は交流し、混じりあうので「絶対にこうだ」ということはなかなか言い切れないが、動画をある程度まとまりで見てゆくと大まかな傾向はわかってくる。
■ 北方系大三弦は、指の移動があり、トレモロが多く、楽器の棹長を十分生かして演奏している。
■ 雲南省白族の三弦は「ジャンカジャンカ」系の演奏がある。舞踏の伴奏として弾くので、旋律よりリズムが重視されたからだろう。これらの音楽が南九州の六調系「ジャンカジャンカ」のルーツと推定できるかもしれない。
■ ベトナムのダン・タムは中国の様式も混ざっているが「指固定」「カポあり」という傾向が見て取れる。音楽的にはトレモロが多かったり、中国の影響も多分にある。
■ 台湾の三弦は「指固定」「カポあり」で、沖縄三線と非常に近い。沖縄で三線が短くなる前の姿を多分に残していると思われる。さすがは大琉球(沖縄)&小琉球(台湾)。
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