さてみなさんこんにちは。
ゴッタンの寸法について、悩みながら検証している最中ですが、
■ 沖縄三線の写しであれば最短で短い(2尺5寸)であることは頷けるが
■ それは沖縄三線が明清楽の影響を受けて短くなっているからで、
■ 薩摩の音楽が「指固定の演奏法」と関係ないのであれば、短い必要がない
■ なおかつ、渡来品の三弦の本来の長さは3尺であろうということから考慮すると
■ 短くないゴッタンがあってもよい
というあたりをずっと考察しています。
ベトナム方面や中国南方から来る三弦琴は、おおむね3尺で、短いものはないわけですから、楽器の形態としては3尺のものがゴッタンに取り入れられてもよいわけです。
ところが、多くの文献では「古いゴッタンはさらに短い」と書き添えてあることが多く、それは平原利秋さん所有の楽器でも、たしかにその傾向がありそうです。
https://www.nishinippon.co.jp/image/10410/
ただ、この考え方を挙げた時に「短いゴッタンは女子供のための、おもちゃ的なものである」という意見もあり、それを検証していました。
すると、面白い話が見つかったのです。
「郷土教育の概覧」 昭和9年
徳島県女子師範学校・徳島県立徳島高等女学校郷土研究部 編
に添付のような記事があり、徳島県で「玩具として木製の三味線を作っていた業者があった」ことがわかります。
この「木製玩具三味線」は徳島県に限らず、全国的なものだったようで、
「東京玩具商報」東京玩具人形問屋協同組合 昭和27年
にも
玩具会社の広告として「当店独特の木製・三味線・太鼓各種取り揃えております」とあり、木で作った玩具三味線というジャンルがあったことがわかります。
さらに面白いのは、
「玩具及人形類公定価格要覧」 東京玩具卸商同業組合 編 昭和15
には、この玩具三味線のサイズがはっきり示されていることでした。
ここでは琴や三味線の玩具について示されますが、
木や紙などを使って作った「子供用玩具三味線」が
■ 1尺8寸
■ 2尺
■ 2尺3寸
などのサイズであることがわかります。
(その多くが「布張りの胴当て」や「撥」を付属していることから、本州三味線を模したものともわかります)
これらのデータからは「たしかに、玩具三味線というジャンルがあったこと」は伺えますね。
そしてミニチュアではなく、長さが2尺前後ちゃんとあるので「子供が弾けるサイズ」だったこともわかります。
たしかに、2尺5寸程度のゴッタンが「子供向けのおもちゃではないか?」と思われてしまうのも、おかしくはありません。
最終的には、これらの楽器の形態が「どういう形状をしていたか」で話はズバッときまります。
おそらくこれらの玩具三味線は「本州三味線の写し」でしょうから、海老尾やら乳袋やら、鳩胸猿尾やら、三味線の形状を模しているはずです。
しかし、ゴッタンの本来の姿はそうした形状にはなっていないので、「まったく別の派生である」ということは形態からは述べることができると思います。
(つづく)
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