さてみなさんこんにちは
ゴッタンの語源についても考察を深めていますが、まだはっきりとしたことはわからなかった経緯があります。
鳥集説によれば、中国の楽器「古弾」ですが、それ以外にも、
■ ごったんのゴトゴトした音を模したもの
■ 「ごったましい」から来ている
などがあるようです。
https://kagoshimaben-kentei.com/jaddo/%E3%81%94%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%BE%E3%81%97/
ごったましい、は「頑丈、強そう、たくましい」ですが、上記記事では「ごっ」の部分を
「ごっ逞(たくま)し」の転訛です。「ごっ」は、強意の接頭語です。
と解説しているように、関西で言うところの「ごっつう逞しい」なのではないかとも考えられます。
たしかに「ゴッタン」なので、「ごっ」たくましい、とは関連がありそうですが、今回の調査では「ゴクタンやゴキタン」という呼び方もあるので、単なる「ごっつい」だけでは説得力が弱そうに感じていました。
ところが、興味深い資料が見つかったのです。
1973年発刊の「国分郷土誌」(国分市)の「国分ことば(ごくっことば)」の欄に、こんなデータが登場します。
『ゴクロシ ごつごつした、頑丈な』
『ゴッタン 板張りの三味線』
となっています。
気がかりなのは「ゴックンメシ」の箇所と「ゴッツク」の箇所です。どちらも音便化していますが、
『ごく・めし』 = おこわ、硬いご飯
『ごく・つく』= 強引な様子
である可能性が高いでしょう。
そうすると、いわゆる「こわい(強い)」のニュアンスで、「ゴクい」という雰囲気の言葉が存在していることがわかります。
実際には「ゴクい」という言葉にはなっておらず、「ゴクろしい」なのですが、ニュアンスとしてはわかりやすいですね。
こうした用語・用例を総合的に考えると、「ゴッタン」の語源が「言語学的」にはある程度見えてきます。
それは
「ゴク・タン」 = ごつごつした桶(おけ)
ということになります。
なるほど、形状的には、これはかなりゴッタンの姿を的確に表したものだと言えるでしょう。
しかし、なぜ三味線や三線を名乗らず、「これは桶だ」と言っているのでしょうか。(のちにはテコサンセンという言葉を使うくらいには、当たり前の存在なのに、です)
これは推測ですが、薩摩藩の禁制となんらかの関係があるかもしれません。
音曲そのものが禁止されていて、ごく特定の琵琶音楽などが武士に許されていたとすれば、庶民が「楽器」を持つことは許されないでしょう。
であれば「あれは桶です」と言い逃れするという可能性が出てきます。
現実問題として、ゴッタンがどれくらい「禁じられていた」かは定かではありません。しかし、そもそもこの楽器は「公的なシステムに乗っていない」ので、つまりは言い方は悪いけれど、
「ヤミのブツ」
なのです(笑)
もっと恐ろしいことを考えれば、あくまでも「取っ手の長い手桶」だからこそ、装飾を廃していなければならないのかもしれません。
天神や猿尾がないのは、「桶」であると貫き通すためだったとしたら・・・。
想像をたくましくしてしまいましたが、これが左大文字的な「ごったん」の語源の仮説、ということになるでしょう。
(つづく)
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