さてみなさんこんにちは。
まだまだ謎多き「ゴッタン」を探る旅ですが、今回はいったん小休止して、原型に近い「古ゴッタン」を復元しよう、という試みです。
実はこの構想は長年持っていて、いよいよ2024年も明けたばかりなので、今年こそ「古ゴッタン」とはどんなものだったか、再現にチャレンジしたいのです。
うまい具合にスギの一枚板が入手できたので、それを使いながらこの作業に取り組んでいければと思っています。
さて、ゴッタンは「昔は小さかった」という話は文献を読んでいるといくつも出てきます。そして現在でもゴッタンは本州の三味線よりは小ぶりで、本州の三味線の全長が約100センチなのに対して、ゴッタンは90センチ〜92センチ前後のものが多いようです。
ところが文献上の寸法は全長「二尺五寸」であり、これは沖縄の三線と同じ寸法です。厳密に言えば弦楽器は全長ではなく「弦長」のほうが大事なのですが、まあおおむね、全長と弦長は相関関係があるので、弦長そのものにこだわらなくても、復元は可能なのではないか、と思っています。
ちなみに、沖縄三味線のヘッドはとても小さく、糸蔵部分は本州の三味線と比べると「ものすごく小さい」作りになっています。その分全長が短くても弦長はかせげるのですが、それでも三線の全長が76センチ程度であることを考えると、少しばかりヘッドサイズが小さくても、全長100センチの三味線には勝てないことがわかると思います。
ごったんの場合は、沖縄三線よりも大きなヘッドになりがちです。本州のものほどとは言いませんが、それに近いサイズにしなくては強度的に持ちません。沖縄三線はオリジナルは黒檀なので、小さく造作しても強度が出ますが、やわらかいスギ材では、小さく作ると糸巻きも小さくなるため、細くてすぐ折れてしまうことでしょう。
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さて、ネット上に上がっているすべてのゴッタンの写真を見て、なおかつ文献上のすべてのゴッタンの写真を見て検討したのですが、おそらく古い時代のものだろうという写真を2つばかり見つけることができました。
A
https://www.instagram.com/furudougu_and_record/p/Cf5RQvtLEn5/?img_index=1
B
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/304774/
これらの写真も勘案しながら、古ゴッタンの寸法を推し測ってゆきましょう。
まず、棹の幅は、三線でも三味線でもおおむね基本的には共通で、24ミリ前後になっています。
Bの写真を見るとわかりますが、平原利秋さんが持っていた2つのゴッタンのうち、胴サイズは大きく違うものの、棹幅はそれほど違いがないことがわかると思います。
これは3本の弦を通して人間が弾くには、ある程度の棹幅が必要だからですね。
Bの写真を元に推計すると、小さいほうのゴッタンの胴幅は約120ミリになります。かなり小形ですね。
同様に計算すると、大きいほうのゴッタンの一番せまい同幅が150ミリ。そこから両側へ張り出していますから、現行とおなじく180ミリ程度の同幅があることがわかります。
ゴッタンの胴は長方形なので、縦長なのですが、小さいほうのゴッタンで約138ミリ程度となります。これは同じサイズの板を4枚切って、縦側が長くなるように並べた時のサイズと同じなので、板の厚みもおおよそ推計できることになります。
大きい方のゴッタンも、おおよそ180✕200ミリくらいのサイズ感と思います。
(この写真では胴厚みは少しわかりにくいですね)
同様に、Aのほうのサイズも推計してみましょう。
棹幅24ミリとして胴幅は140ミリ弱という感じでしょうか。Bの古ゴッタンよりは、ひとまわり大きそうです。
胴厚みは棹幅の2.5倍くらいに見えるので、60ミリ程度でしょうか。
胴の縦横は140✕160くらいにも見えます。全長は約700ミリ程度になります。
もし仮に棹幅が数ミリずれていたとしても、730ミリくらいにしかならないので、「2尺5寸」よりもやや小さいサイズだろうと推定されますね。
ヘッド部分は100ミリ〜105ミリ程度になりそうです。
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注意が必要なのは、ゴッタンが「子女のための楽器」でもあったことです。男性が用いず、女性向け、あるいは女児向けだったとすれば、残っているゴッタンのうち古いものほど「サイズが小さい」可能性は十分に考えられます。Bのゴッタンなどは、あまりにも小さいので、そうした用途だった可能性も念頭に置く必要があるでしょう。
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そうして考えてゆくと、尺貫法で見た時、現代のゴッタンはおおむね3尺、古ゴッタンは2尺五寸として、
■ 全長 2尺5寸 約750〜760ミリ
■ 棹幅 8分 約24ミリ
■ 同幅 5寸 約150ミリ
■ 同幅 5寸+板厚み 約170ミリ
■ ヘッド長 3寸 約91ミリ
■ 胴厚み 2寸 約60センチ
■ 糸蔵幅 5分 約15ミリ
■ 表板裏板 1分 約3ミリ
くらいを狙いどころにしてゆくことになるかもしれません。
ざっと図に書き起こしてみるとこんな感じ↑
バランス的に見て、荒武タミさんの「太郎」にぐっと近い感じと思われます。
橋口さんの動画を見て推定すると
胴サイズは150✕170程度(推定)なので、かなり近いと思います。
ただし棹長さは、太郎のほうが長そうですね。
さて、今年は、」これを作ってゆきましょうか。
(つづく)
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