新楽器ポケットロックは、シンプル・コンパクトな楽器です。
各部の寸法を絞り込んだ結果、かなーり小さい楽器に仕上がっていますが、さすがに世界最小というわけにはいきませんでした。
世界最小クラスの弦楽器として、通常のものよりもさらに小さいウクレレをつくっておられる方々がいらっしゃるのですが、PocketRockはそこまで小さくしていません。
それにはいろいろと理由があります。
と、その前に、基本的な情報として「ウクレレとのサイズ比較」を行ってみました(^^
ご覧のとおり、PocketRockはウクレレと比較しても全体的にコンパクトな構造になっています。
右のウクレレは標準的なソプラノウクレレ(ふつうのウクレレ)で、おおむねこのタイプの楽器は全長が約55センチあります。
対してPocketRockは全長が56センチなので、1センチだけ長くなっています。
この1センチ、短くすることは技術的には全然可能なのですが、あえて小さくしていません。
その理由は、音質と関係します。
まず、下駒位置を比較して、それから上駒の位置をみてもらえばわかりますが、ふつうのウクレレに対してポケットロックはロングネックになっています。
そう!実はポケットロックのスケールは、このサイズで「テナーウクレレ」と同じなのです。
つまり、ウクレレサイズにテナーウクレレのネックを搭載しているのとおんなじです。
というわけで、ネックスケールを長くしているので、全長を短くしようとするとどこかにひずみが生まれます。もし全長を1センチも短くすると、下駒位置がより胴の縁部分(音が響かない部分)に1センチ近寄っていくことになります。
そうなると音の響きが悪くなるのです。
だからあえてこの1センチを残しています。胴全体のバランスとの兼ね合いもあるというわけ。
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胴幅については、ウクレレと比較して明らかにコンパクトにしました。こちらは設計段階で、可能な限り細くしようと考えていたので、通常私が楽器を作る時の胴幅に対して、3分の1まで細くしています。
これもさすがに半分とかにすると、一発で鳴らない楽器になってしまうので、限界まで絞り込んだというわけ。
サウンドホールについては、よく誤解されるのですが、あれは
「音が出てくる穴」
ではありません。
サウンドホールはスピーカー理論でいうところの、バスレフ孔として機能していますので、バスレフ機能を発揮できる範囲で開けています。
(その証拠に、仮にサウンドホールを同面積で2つ開けて、そのひとつをふさいでもふさがなくても全体の音量にほとんど変化はありません。
もし、サウンドホールが音の出る穴なのだとすれば、音量は半分になるはずですよね。
でも、そうならないのです。また、バイオリンのF孔はあんなに小さいのに、バイオリンからは大きな音が出ます。これも、F孔から音が出ているわけではない証拠です)
というわけで、コンパクトサイズでもしっかり音が出る、新楽器PocketRockの解説でした。
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