新楽器PocketRockを投入してから、しばらく立ちますが、なかなか時間がとれず増産できておりません。
その代わりに、先日はちょっとしたイベントにPocketRockを持ってゆき、人前でジャカジャカ弾くまねごとをする、という活動をしてきました。
PocketRockについて紹介も何もしないで、ただ持ってうろうろしていたに等しい状況だったのですが、実は
「人ごみの中、騒がしい状況でどれくらい鳴るか」
ということを実験してたのです(笑)
結果は、かなり満足のゆくものでした。
面白かったのは、胴の容積が大きいプレミアムモデルよりも、オリジナルモデルのほうが「音の通りがいい」ということでした。
オリジナルモデルは高音部に特徴があるので、そうなったのでしょう。
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さて、それはさておき、実はポケットロックという楽器の誕生には、物語があります。
これまで手作り三味線などをたくさん作ってきた私にとって、簡易的な楽器を製作することはそれほど目新しいことではないのですが、ポケットロックは
↑これをなんとかできないかなあ、というところからスタートしたのです。
これは、わたしの勤めている本業のほうで出てくる「廃材」なのですが、別に私は材木屋さんではありません。これらの木材は、たんなる緩衝材・クッション材のような使われ方をしていて、別の商品や製品を梱包からほどいたあとは、全く必要でなくなる木材なのです。
なので、ふつうはこれはゴミとして排出されたり、その後は粉砕されたり焼却されたりするわけです。
楽器作りというのは、本来「しっかりした、身のつまった木材」が必要なので、こういった端材みたいなものは、使う部分がありません。
また、うちの会社で出る木材の大半は「杉とか松」なので、楽器づくりには不向きな柔らかい木材が多いのです。
そこをなんとかしてみたいなあ、というのがPocketRock作りの始まりだったのでした。
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PocketRockは、弦楽器として基本的、最小限の形と機能を持っています。逆に言えば、
「楽器としてきちんと成立するための、基本に忠実なデザイン・設計」
だということです。
なので、PocketRockは端材のような「太さが取れない木材」でも、「柔らかい木材」でも十分作れて
音が鳴るように設計しました。
PocketRockは「裏メニュー」としてエコモデルを作ることができます。
詳しくは
http://blogs.yahoo.co.jp/sanshin_ism34/67647333.html
このエコモデル、実は端材があればあえて端材で作るという衝撃のモデルです(笑)
弦楽器に詳しい人がみれば、びっくりするような構造をしていることがあります。(個体差あり)
どういうことか。
なんと、棹が曲がっていても、楽器として組み立ててしまうのです!!!!
楽器づくりのセオリーでは、棹が曲がっているのは大問題です。棹が曲がらないように、最新の注意を払って製作するのが楽器づくりの肝なのですが、
あえて曲がった棹でも組み立てる
とはどういうことなのでしょうか?!
この謎を知りたい人は、現物をぜひ見てください(笑)
必要最小限の楽器であるPocketRockならではの設計が、こんなところで生きてくるのです。
曲がった棹でも、その中に生きている直線部分を生かして組み立てます。また、それで演奏に支障がでることがない、というのがすごいところです(笑)
たとえば、この棹になる材は、うっすらと右にカーブしています。でも大丈夫!立派なPocketRockエコモデルが作れます。
棹が全体に右に曲がっていても、弦が通るまっすぐな直線が想像上で見えてくるはずです。
そう!そこ、その位置、そのラインを生かして製作するので、ちゃんと楽器に仕上がってくるわけ。
簡易楽器のひとつですが、けしておもちゃではありません。
妥協のない設計と製作で、きっと面白い楽器だとわかっていただけると信じております。
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