これまで、2007年から約6年間の間、「手作り三味線・三線講座」なるものを企画・運営してきたことは、メインブログのほうでもお伝えしてきましたが、そこで使っている「楽器」キットのことについては、あまりお話していませんでした。
そのキット作りが意外に難しい作業内容で、現在はキット製作に対応できる人材がいないために、講座のほうも来年はどうしたものか、と思案している最中、というのがリアルなところです。
「手作り三味線講座」で使っているキットは、総ヒノキ製で、棹・糸巻・胴の板・表板・裏板・コマなどのパーツを中心に成り立っています。
棹は、おおむね24ミリから25ミリの角棒で、糸蔵の部分は角のみで貫通穴が開けてあります。
糸巻きそのものも、テーパーに削ってある角棒で、棹側に絶妙な角度で差し込めるように工夫がしてあります。
胴の板にいたっては、初心者がかんたんに接げるように、45度の角度で両端を落としてあり、四方から寄せてくればずれずにきちんと四角が出せるようになっています。
実は、こうした「キット材料」上の工夫は、私が講座をスタートさせた当初の担当者Iさんの計らいで現物に落とし込まれたものでした。
私が提示した基本設計図では、完成後のものが中心だったので、「キットとしてどう作れば、参加者にとって優しいか」という視点は、ほとんどIさんの考えが導入されている、というわけなのです。
Iさんは、このためにキット製作上の治具を作りながら、一定数のキットを狂いなく作る、という作業をとても丁寧に行ってくださいました。
その後、担当者さんはIさんから数名変動するのですが、基本的には当初のスタイルを受け継ぎながらキット化がなされてゆきました。
ところが、今年度また担当者が変わった折に、
「私にはここまでの加工ができかねます」
ということになったので、さあ大変!というわけです。
新しい担当者の方は、木工の経験がないわけではなさそうなのですが、シビアな寸法管理が要求される楽器作りは難しい、ということで早々に「ごめんなさい」を申し渡されてしまったそうです。
となると、一時キット作りは中断になってしまい、当然手作り三味線講座のほうも、一時中断の憂き目に逢ってしまうということに・・・。
その後、足りない材料だけを私が個人で作って補充する、という形で講座の開催を維持しましたが、来年度に関してはちょっと白紙の状態になってしまっています。
また、このこととは別の視点での話になるのですが、実は違う場所や施設でも「手作り三味線講座をやってほしい」「楽器作りイベントができないか」という打診が複数あるものの、どうしても設備等の関係で、他の場所ではできなかったり、キットが揃わなかったりすることがあり、お断りすることもありました。
こうした問題点を経て、私が学んだのは、やっぱり「楽器作りという作業は、容易いことではないのだ」というポイントです。
ならば逆に「簡単に誰にでも作れる楽器」ってどうしたらいいんだ?!ということが、新たなテーマとして浮かび上がってきたのです。
そのためには、複雑な工程や、高い技術がいるポイントを極力減らす必要があります。もちろん、どんなド素人でも作れる楽器であれば、その分音質や使い勝手に影響が出るでしょうから、
「折って切って貼るだけ」
みたいな風にはいかないと思います。
そこで、最低でも中学校の技術家庭科レベルというか、
「のこぎりで切る」
「ドリルで穴をあける」
「ドライバーでネジをしめる」
「ボンドで貼る」
「紙やすりで削る」
くらいの難易度だけで製作ができないか、模索することになったのです。
今後、順番に説明してゆきますが、「Forestar」は、ほぼ上の5つの作業内容で完成するように設計しています。
楽器作りの場面では、小学生~中学生くらいからでも簡単に製作できるように考えていますし、なおかつ、材料の段階あるいは、それをキット化する段階でも、おなじレベルの作業内容で済むように設計しています。
本当の意味で、「誰にでも楽しめる楽器」を目指して、工夫がはじまったというわけです。
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