2022年6月26日日曜日

【楽しいインク沼002】 鉄インクベースの調合はじめました。古典インク×100均インク

 

 さてみなさんこんにちは。

 

 前回までの実験で鉄インクの基本系「タンニン鉄インク」(古典インク)のベースができました。

 

 けれど、インクの濃さがまだまだ薄いので、視認性が悪いことは否めません。まだまだ研究の余地ありですが、まずはてっとり早く、

 

「インクの調合」


へと入りたいと思います。


 実は、タンニン鉄インクの製造は、めちゃんこ奥深く、ここから先は「分子量」とか「モル」とか、そういう世界に突入します。

  実際には古典インクはタンニンの友達である「没食子酸」で作られます。なんかよくわからないけれど、没食子を使ったほうが、良いインクになるのでしょう。

 なので、厳密には前回作ったものは「タンニン酸インク」に類するものだそうです。

 

==========

 

 で、インク沼の前に科学沼に入り込まないといけないので、そこはショートカットして、もうちょっと楽しい実験に取り掛かりましょう。

 

 それは「100均インクの調合」です。

 


  ダイソーにいくと、プリンタ用の詰め替えインクが1本100円で売っていますので、これを自作インクの調合に利用します。

 

 もちろん、ぶっちゃけこのインクをそのまま万年筆にぶちこんでも書けます。当たり前だけど。

 しかし、それでは面白くないので、錬金術師のごとく、理想のインクを目指して調合してゆきましょう!

 


   前回作ったタンニン鉄インクに、100均シアンインクを1滴ずつ垂らしてゆきます。調合開始です。


 もともと古典インクは「ブルーブラック」と呼ばれるものが多く、最初は青っぽく、筆記すると徐々に黒に変わる、というインクです。

 これは別に青と黒の色味を持っているわけではなく、最初は視認性を良くするために「青」の染料で見ながら書いて、のちに酸化鉄が出てきて黒っぽさが増す、というしかけ。

 

 では、こちらでも「青い染料のインクを混ぜておいて」「筆記後は徐々に黒くなる」というインクを作ることができそうです。

 

 


 うすーい!けれど、いちおうブルーブラックもどきを調合。


 

 

 

 

 ついでに、


  マゼンタインクを滴下して、ピンクブラックなインクも作ってみました。

 

 



 液体としてはけっこう濃いのですが、実際に筆記するとまだまだ薄いので、これからの研究のし甲斐がありそうです!

 


  調合しまくって作った、「本日のインク」は、シアン・マゼンタ・古典インクベースの混合物です。

 

 まあ、それっぽくなってきたのでは?

 

 ただし、

 


  手が↑こんなふうになるので、お気をつけて!



【楽しいインク沼001】 中世の鉄インクを作ろう(古典インク・自作インク)

 

 さてみなさんこんにちは。

 

 左大文字は三味線も好きですが、大学は文学部に行ったくらい「文学少年」でした。というわけで文学少年らしく「万年筆」なども大好き。

 そういえばブログなどではあまり書いていませんでしたが、昨今は「趣味の文具」として万年筆も人気のようで、いろいろなインクを味わう「インク沼」といった言葉。

 

 そこで、なんでも作ってしまう左大文字としては、

 

「インクを作ってしまおう!」

 

という実験を始めてみます。

 

 インクにはいろいろな種類がありますが、大きく分けて2つの種類があります。

  まずは顔料インクで、「墨」などもこの種類。細かい粒子が、水のなかで分散しているものを塗りつけるタイプです。

 中国などでの墨の歴史は古く、紀元前から存在していたとか。あるいは岩などを砕いて顔料を取り出し、それを塗りつけるのも顔料インクの一種ですね。

 

 それに対して「水に溶けている」ものを染料インクと言います。こちらは水の中の粒子というよりは、水分そのものに色がついていて、それが対象物に染み込む感じですね。

 このタイプのインクは、特に中世では「羊皮紙に羽ペンで書き込み、定着させる」という感じで使われていました。

 

 この中世のインクは、現代では古典インクとも言われます。原理はシンプルで、「鉄イオン」が溶けている水溶液を作り、そのイオンが紙に筆記されることで酸化して、文字が定着する、というものです。

 ただ、その成分の調整はなかなかにシビアで、奥深いようです。

 

========

 

 実は左大文字さん。この春からちょっとだけ園芸に目覚めており、植物を育てるのに「タンニン鉄」という液体を使って発芽を促進しています。

 タンニン鉄というのは、お茶や柿渋といったタンニンに鉄を反応させたもので、鉄イオンが水溶液中に溶けているものです。古釘などをお茶に浸して作ります。

 

 ん??

 さっき同じ話をしなかったっけ?

 

 そう!実は園芸で使うタンニン鉄と、古典インクと呼ばれる中世のインクは、製法的には非常に近いものがあります。

 ただし、目的と結果は違っていて、植物に使う場合は「二価鉄」という鉄イオンが植物の成長を促すのに対して、「三価鉄」になってしまうと不溶性なので吸収できず、役に立ちません。

 ところがインクの場合は、二価鉄の状態だと溶けているものが、紙に乗って三価鉄になると不溶性になり、「水分に負けず、 繊維に定着する」ことで筆記具として最高のパフォーマンスを発揮するようになります。


 つまり、植物は二価鉄状態であることが重要で、インクは三価鉄になることが重要というわけ。

 

 では鉄インクを作ってみましょう。

 

 

 まずは緑茶を入れます。パックのものでも可。お茶類やコーヒー類にはタンニンが含まれていますが、緑茶が(本当は玉露が)いちばんタンニンが多く出てくるそうです。

 沸騰したお湯より、やや温度は低いほうがよく抽出できるとも。



 湯呑にお茶を入れて、スチールウールをぶち込みます。研磨剤がついていない、素のタイプを使いましょう。

 湯呑がタンニン鉄でまっ黒になるので、紙コップなどを使ったほうがいいです。うちの湯呑はたいへんなことになりました。


 

 溶液は、けっこうすぐに真っ黒になります。反応は数十秒で起きるのですが、いつまで浸しておいてよいかわからないので、5分〜10分くらいはそのままにしておきました。

 

 実は古典インク、タンニン鉄インクのベースの部分はこれだけ!基本はシンプルですね。

 

 


 ガラスペンを用意して、書いてみます。



 書いた直後↑

 



 乾燥後 ↑

 

 実際に書いてみると、たしかに書けます。乾燥後にやや黒さが増し、視認度がアップしたのも確認できます。まあ、最低限インクの機能はあることがわかりました。


 けれど、器に入っている液体はそれなりに黒いのですが、ガラスペンに吸わせた時や筆記した時の濃さが「薄い」のは否めません。

 

 スチールウールの漬け込み時間を増やして、反応を促進させればいいのか、それともタンニンの分子などに調整が必要なのか、研究が必要だと思います。

 

========

 

 さて、もともとの成分は「お茶」なので、腐敗が心配です。そこで防腐剤を入れてみました。古典インクや初期のインクでは「石炭酸」(フェノール)が使われていたらしいのですが、 その伝統?をオマージュしてフェノール系の素材を使いましょう。




 洗口液の「リステリン」は、もともと「フェノールで殺菌する」ということを発明したリスター博士の業績に由来する製品ですが、今のリステリンオリジナルにはフェノールは入っていません。

 しかし、上位版のトータルケアシリーズには「イソプロピルメチルフェノール」が入っています。いいじゃん!まさにフェノール入り。

 おまけにこちらはノンアルコールなので、にじみも防止できます。

 

 というわけで、防腐剤として、リステリンをぶち込みました。適量。

 

 ついでに粘度調整もやっちゃいます。

 

 古典インクでは「アラビアガム」という植物抽出物を使っていました。はるか昔のゴムのりで用いられたこともあるようです。要するに粘っているものですね。

 

 今回はアラビアガムではなく、「アラビアのり」を合成品で再現した「アラビックヤマト」の成分、「PVA」をぶちこみました。

 


 

 要するに「水のり」です。 


 こちらは万年筆の内部で固まるとけっこう悪さをするので、1%前後から調整します。ガラスペンを使う場合は、洗い流しやすいので、お好みで。

 


 


  

 いちおうは黒いんですが、まだまだ研究の余地あり!ですね。

 

 

 

2022年6月16日木曜日

撥(バチ)企画 第三弾! 「遊び撥」登場!


  

 

さてみなさんこんにちは

 

 先日よりゆるゆると続いている三味線「撥」の開発企画、いよいよ第三弾!です。


 トップの画像はその撥なのですが、パット見はふつうに見えるじゃろ??

 

 ところが、実は全然違う新タイプのバチなのです!

 

 じゃじゃーん。

 

 



 なんとびっくり!持つ部分、棒の部分がない「ギターピックのようなバチ」です。


 名付けて「遊び撥(あそびばち)」!!


 この名前は、ずっと親しくしていただいた沖縄の「セカヤマ」こと、山崎さんの活動を記念して名付けました。

  実は山崎さんは、三味線界にいつも新風を巻き越してきた偉大なアーチストなのですが、彼が三味線を弾くときには、いつも三味線撥を一風変わった持ち方をしていて、それにインスパイアされて製作したので「あそびばち」なのです。

 

 



  通常の三味線撥よりかはかなり小ぶりですが、ギターピックの技法も、三味線撥の技法もどちらも使えるすぐれもの。

 

 動画も作りましたのでご覧くださいね!

 

 

(撥企画第三弾! 遊び撥)



 こちらは送料別ひとつ500円くらいを想定しています。

 まだ試作品だけなので、量産できるよう調整してゆきます!

 

 

2022年5月29日日曜日

パリピ孔明 「チキチキバンバン」を弾いてみました。 工工四/SCS譜面つき

 

 


 さてみなさんこんにちは!

 

 現代の渋谷のクラブシーンに「諸葛孔明」が転生してきたというアニメ「パリピ孔明」がヒットしているそうですが、その主題歌「チキチキバンバン」を三線コード弾きで弾いてみました。

 

 


(パリピ孔明 チキチキバンバン)



 チキチキバンバン、と言えば古い映画を思い出す人がいるかもしれませんが、この曲のオリジナルは2020年にリリースされたハンガリーの「ジョニー」というアーチストの楽曲。

 

 それを「QUEENDOM」がカバーしたのが、今回の元ネタです。アニメの主題歌として、めっちゃ当たっているとのこと!

 

 というわけで、あの三国志の諸葛亮孔明ですから、演奏した三線には孔明風の冠をかぶせてみました(笑)

 

 


 かっこいい〜。



 さて演奏の練習です。今回は2パターンの弾き方をレクチャーします。

 

========

 

1) YouTubeでの弾き方

 

 CFCでチューニングします。

  

 コードはどのパートも

 「 Bm G D A 」

 の繰り返しです。

 SCS(三線コードシステム)では

 

 Bm 467

 G 477

 D 767

 A 246


になります。


========

 

2) 相対コードに慣れた人向け


 チューニングをCFCからの半音2つ上げで。DGDです。


 Am 245

 F 255

 C 045

 G 024


でも弾けます。


========


 どちらがいいかは、実際に試してお好きなほうでどうぞ!


 せっかくなので工工四でも書いておきましょう。


<CFCチューニング>

 Bm 老尺2八

 G 合上六

 D ロ上尺2八

 A 乙中七#

 

 

<DGDチューニング>

 Am 乙中七

 F 乙尺1七

 C 合中七 

 G 合上六

 

 

========

 

 

 

 


 

 

 

 

2022年5月24日火曜日

NHK朝ドラ「ちむどんどん」主題歌 燦燦 を譜面付き動画で!

 

 さてみなさんこんにちは

 

 前回演奏した「燦燦」(三浦大知)の譜面付きバージョン動画を作成しました。

 


 左大文字流三線コード弾きでは、

■ 半音12音 (SCS 三線コードシステム)

■ 工工四

のどちらのポジションでも弾けるようにコード表を提供していますが、動画でも両方のパターンで弾けるようにしてみました。

 

 ちなみに今回の曲のコードはめちゃんこ難しいのですが、工工四オンリーの人でも時間をかければ押さえられるようになっています。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

 

 チューニングキーはCFCからの半音2つ上げ、Dベースでオリジナル通りです。

  コード表はいつもの通り、「相対コード型」で表記しています。

 

 せっかく沖縄が舞台の朝ドラなので、盛りだくさんでお届けしました!

2022年5月19日木曜日

なるほど納得!いちばんわかりやすい三線・工工四の勘所の話

 

 さてみなさんこんにちは

 

 先日より、当左大文字流三線・三味線コード弾きの新企画「SCS(サンシン・コード・システム)の整備のために、コード表やらポジション表とにらめっこしているのですが、おもしろいことに気づきました。

 

 というのも、私が使っている沖縄三線の勘所(ポジション)表のほかに、いくつか表記の違う

 

 パターン違いの勘所図

 

がネットにいろいろ転がっているようなのです。

 

 ふだん、みなさんが良く使う基本的な勘所の表記は、ほとんど一緒なのですが、特にハイポジションになると表記の乱れがすごいので、ここはいっちょ解説しておこう、ということになりました。

 

 意外と誰も知らない話かもしれませんよ!

 

 


 まずは私が使っている勘所図と、ネットにあった勘所図を比較してみましょう。


 尺1・尺2という書き方は左大文字流。尺と尺一という書き方は元ネタのサイトの方の表記です。一般的にはどちらも「尺」で書くこともあります。

 とりあえず「尺はふたつあるよ〜」と言ったりもします。

 

 その理由については別途解説しています。

 


 (なぜ工工四には2つの尺があるのか)

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 さて、もとの比較に戻りましょう。上の図では「下八」のところが、下の図では「九」になっていたり、上の図では「イ乙」が、下の図では「ロ上」になっていたり、ぱっとみると

 

ハテナがいっぱい!

 

になると思います。 え?人によって勘所の表記が違うの?音が違ったりするの?と思ってしまうかもしれませんが、実は


 この隠されたルールは、意外と簡単

 

だったりします。ご安心くださいね!

 

 では、三線マニアの左大文字が解説してゆきます。

 

 



1) ”ロ”の関係を読み解く。

 ・・・まずは”ロ”のついたところだけ見ましょう。

 左大文字式では、上の図でブルーになったところが「ロ」の登場する箇所です。下の図では、それに加えてピンクとオレンジの箇所にもあります。

 これ、よーく見るとシンプルで、「ロ上」は「上」の一オクターブ低い音、「ロ五」は「五」の一オクターブ低い音なんですね。「ロ尺」は「尺(今回は尺一)」の一オクターブ低い音です。


 だから簡単。「ロ」がついたら、「低い同じ音」と覚えましょう!



2) ”イ”の関係も読み解く。

 ・・・”ロ”が何者かわかれば、”イ”の方も簡単です。図では「乙」と「イ乙」の関係のみ、グリーンで示していますが、これは要するに「一オクターブ高い音」なんですね。

 

 色分けはしていませんが、その他登場する「イ」がついた音も、おなじ関係性になっています。

 

 これも簡単。 「イ」がついたら、「高い同じ音」と覚えます。

 


3) 「イ」「ロ」は漢字ではない。

  ・・・一見すると人偏と口偏に見えてしまいますが、「イロハ」の「イとロ」と覚えたほうが楽です。

 さらに

 

「高い (ハイ) のイ」

「低い (ロー) のロ」

 

と覚えたら、絶対間違えません!

 

 

4) 「ロ五」と「イ乙」は、おなじ音。

  ・・・上記のような説明によって、「ロ五」と「イ乙」は書き方は違うけれど、同じ音とわかります。男弦を見て考えるか、女弦を見て考えるかの違いで、どちらも「レ」に変わりありません。

 

 

 


 

5) ”下”の使い方を読み解こう。

 ・・・今度は「下」の文字の使い方を見てゆきます。一般的に有名なのは「下老」ですね。この下は「音が下、つまりロー」という意味ではありません。実際には「下老」は「老よりも高い音」なので、西洋音階の考え方では5線譜で書くと「上」になってしまいます。

 

 これはシンプルに「ある音の次の音を下と表現している」と理解してください。

 

  ただ、ちょっと難しいのは「半音階」なのか「全音階」なのかという点で、図面の上ではわかりにくくなっていることがあります。


 老と下老の音階の間は「半音」しかありません。西洋音階でも「ミとファ」の間は半音ですから、「老の次の音は下老」ということになるわけです。

 一方「尺」のほうは1なのか2なのかはややこしいものの「シとド」の意味で「尺と下尺」が設定されているように思えます。

 「八と下八」は最近ではあまり表記しないようです。古いスタイルかもしれません。現状では「九」を使うことが多いと思います。

 

  ルールとしては「下がついたら次の音」ということですね。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 「イ」「ロ」「下」の使い方がわかると、工工四の勘所表や勘所図が、サイトの著者によってちょっとずつ違っても困らないと思います。

 

 書き方がバラバラのようで、実は「同じ意味」ということなんです。

 

 ただそれでも「尺」はどっちの尺を意図しているかという問題がちょこっとだけ残るので、それだけは記述した人の考え方を優先してくださいね!

 

 以上、解説でした。

 

 

 

 



2022年5月18日水曜日

天付き丸胴・板張り三味線を製作しました。

 

 さてみなさんこんにちは

 

 依頼があって製作していた「板張り三味線」が完成しました。

 天付き・丸胴仕様です。

 


 

 

 5月はちょっと雨が多かったりして、予定より完成が遅れてしまいましたが、これから梱包など発送の準備に取り掛かります。


 けっこう屋外で作業することが多く、これから梅雨時期なので、モノづくりがやりにくくなりますね〜。