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2022年6月28日火曜日

【楽しいインク沼004】沼に早くも溺れそう・・・。濃いインクを求めてさまよう。

 

 さてみなさんこんにちは。

 

 毎日こつこつ、インク作りの実験を続けています。

 

 昨日はタンニン酸手作りインクに「酸」を加えると透明になってしまう(沈殿が消える)ところまでやりました。

 しかし、前回までのインクは「薄め」だったので、より濃いインクを求めて、再度実験です。

 ちなみに、昨日までに作ったインクは「植物の活力液」として再利用します。タンニン鉄は、植物を育てるのに、効果があるのです!

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 今日の実験その1。濃いお茶にすると、どうなるのか。

 

 前回は普通に「おいしい緑茶」を入れて、そこにスチールウールを漬け込みましたが、今日は、ドチャクソ濃いお茶にしてみました。

 


 コップに三分の一くらいのお湯をいれ、そこに何度もお茶パックを揺らします。

 

 



 毎度おなじみ、スチールウールをじゃぶじゃぶします。


 今回の濃いお茶は、作っている最中から感触が違います。なんというか「イカスミ」のような黒さと、濃度を持っています。これは面白い。

 


 

  ↑この「ぬたーっ」と重い感じ、濃い感じがわかるでしょうか?

 



 ガラスペンでは細すぎたので、今日はお箸で線を引きました。昨日より、しっかり黒い線が現れます。

 


  しかし、同時にじっくり拡大してみると「沈殿」がしっかり存在することがわかります。

 どこかのサイトで「原始的なタンニン酸インクは”ある意味顔料インクである」みたいな記述があるのを見たことがありますが、たしかにそうとも言えそう。

 沈殿の黒が視認されているのであれば、染料ではなく「顔料寄り」ということになりますね。



 まあ、乾燥するとしっかり定着はします。昨日よりはインクっぽい濃さがあります。


 でも、求めているのはコレじゃないんだよな〜。ちゃんと三価鉄が析出する感じにしたいのよ!!!

 

==========

 

 さて、今日はちょっと趣向を変えて、別の実験に取り組みます。

 

 以前にも「左大文字さんは園芸にハマっています」ということを書きましたが、鉄インクに興味を持ったのは、タンニン鉄を植物に与えているからです。

 

 そこで、市販の鉄剤こと「メネデール」を買ってきました。ついでに、ジャパニーズタンニンの代表として「柿渋」も買ってきました。

 


 ふたつとも、小瓶で1000円前後するので、

 

 「それなら最初からインク買ってこい!」

 

とつっこまれそうですが、市販インクより好奇心のほうが濃いので仕方ありません。

 

  メネデールは無色透明の「二価鉄液」です。この鉄分が、植物の成長を促します。

 

 左側のメネデール、ただの水にしか見えないでしょ?

 これこそが理想的な二価鉄液です。

 


  とりあえず、1対1くらいの分量でぶちこむ。よくわからんけど。あまり反応なし。



 ・・・・。


 ・・・・・・・・。


 混ぜても、あんまり変わらん。なんだか嫌な予感。


 


 文字にしてみたけれど、「柿渋の茶色」なのか、「酸化鉄の茶色」なのか、さっぱりわからん。


 微妙に黒っぽく変化しているような「気持ち」もするけれど・・・。

 

  そもそも、タンニンと「二価鉄液」を混ぜたのだから「黒く変化する」はずだと思ったのだけれど、色にあまり変化がなかったので、

 

「もしかして?メネデールに含まれてる鉄分が思っているより少ない??」

 

という仮説を立ててみた。 そこで、「必殺、つぎたし秘伝のタレ」方式を投入。



 スチールウールをそのままぶち込みます。ただでさえメネデールが入っているのに、鉄マシマシです!!!

 

 すると、なんということでしょう!!!

 



 すっげえ沈殿!!すっげえ析出!すっげえモロモロ!


 これまでに見たことがないくらい凝集しています。


 うーむ、さすが柿渋タンニン。これが三価鉄だけなのか、わけのわからん成分が凝集しているのか、簡単には判断できないので、再びあの実験を!!!


 


 昨日は「塩酸」ことサンポールでしたが、今日は「クエン酸」でも実験してみましょう。

 すこーしずつふりかけます。パラパラ、パラパラと、わずかに・・・。


 すると。。。

 


  綺麗にクリアになりました!あのモロモロは、ほぼ三価鉄っぽいですね。

 

 でも、紙に書いてみると、うまく酸化してくれない・・・。

 

 



 薄い・・・・。うすすぎる・・・。なんでやねん・・・。

 

  二価鉄のまま溶かすことには成功したのだけれど、どうしたら筆記したときにちゃんと酸化してくれるのか・・・。

 

 悩みは続きます。

 

 今日の発見。

 

「メネデール、意外と鉄分少ない説」

 

(↑営業妨害?)

 

 

 


 

2022年6月26日日曜日

【楽しいインク沼001】 中世の鉄インクを作ろう(古典インク・自作インク)

 

 さてみなさんこんにちは。

 

 左大文字は三味線も好きですが、大学は文学部に行ったくらい「文学少年」でした。というわけで文学少年らしく「万年筆」なども大好き。

 そういえばブログなどではあまり書いていませんでしたが、昨今は「趣味の文具」として万年筆も人気のようで、いろいろなインクを味わう「インク沼」といった言葉。

 

 そこで、なんでも作ってしまう左大文字としては、

 

「インクを作ってしまおう!」

 

という実験を始めてみます。

 

 インクにはいろいろな種類がありますが、大きく分けて2つの種類があります。

  まずは顔料インクで、「墨」などもこの種類。細かい粒子が、水のなかで分散しているものを塗りつけるタイプです。

 中国などでの墨の歴史は古く、紀元前から存在していたとか。あるいは岩などを砕いて顔料を取り出し、それを塗りつけるのも顔料インクの一種ですね。

 

 それに対して「水に溶けている」ものを染料インクと言います。こちらは水の中の粒子というよりは、水分そのものに色がついていて、それが対象物に染み込む感じですね。

 このタイプのインクは、特に中世では「羊皮紙に羽ペンで書き込み、定着させる」という感じで使われていました。

 

 この中世のインクは、現代では古典インクとも言われます。原理はシンプルで、「鉄イオン」が溶けている水溶液を作り、そのイオンが紙に筆記されることで酸化して、文字が定着する、というものです。

 ただ、その成分の調整はなかなかにシビアで、奥深いようです。

 

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 実は左大文字さん。この春からちょっとだけ園芸に目覚めており、植物を育てるのに「タンニン鉄」という液体を使って発芽を促進しています。

 タンニン鉄というのは、お茶や柿渋といったタンニンに鉄を反応させたもので、鉄イオンが水溶液中に溶けているものです。古釘などをお茶に浸して作ります。

 

 ん??

 さっき同じ話をしなかったっけ?

 

 そう!実は園芸で使うタンニン鉄と、古典インクと呼ばれる中世のインクは、製法的には非常に近いものがあります。

 ただし、目的と結果は違っていて、植物に使う場合は「二価鉄」という鉄イオンが植物の成長を促すのに対して、「三価鉄」になってしまうと不溶性なので吸収できず、役に立ちません。

 ところがインクの場合は、二価鉄の状態だと溶けているものが、紙に乗って三価鉄になると不溶性になり、「水分に負けず、 繊維に定着する」ことで筆記具として最高のパフォーマンスを発揮するようになります。


 つまり、植物は二価鉄状態であることが重要で、インクは三価鉄になることが重要というわけ。

 

 では鉄インクを作ってみましょう。

 

 

 まずは緑茶を入れます。パックのものでも可。お茶類やコーヒー類にはタンニンが含まれていますが、緑茶が(本当は玉露が)いちばんタンニンが多く出てくるそうです。

 沸騰したお湯より、やや温度は低いほうがよく抽出できるとも。



 湯呑にお茶を入れて、スチールウールをぶち込みます。研磨剤がついていない、素のタイプを使いましょう。

 湯呑がタンニン鉄でまっ黒になるので、紙コップなどを使ったほうがいいです。うちの湯呑はたいへんなことになりました。


 

 溶液は、けっこうすぐに真っ黒になります。反応は数十秒で起きるのですが、いつまで浸しておいてよいかわからないので、5分〜10分くらいはそのままにしておきました。

 

 実は古典インク、タンニン鉄インクのベースの部分はこれだけ!基本はシンプルですね。

 

 


 ガラスペンを用意して、書いてみます。



 書いた直後↑

 



 乾燥後 ↑

 

 実際に書いてみると、たしかに書けます。乾燥後にやや黒さが増し、視認度がアップしたのも確認できます。まあ、最低限インクの機能はあることがわかりました。


 けれど、器に入っている液体はそれなりに黒いのですが、ガラスペンに吸わせた時や筆記した時の濃さが「薄い」のは否めません。

 

 スチールウールの漬け込み時間を増やして、反応を促進させればいいのか、それともタンニンの分子などに調整が必要なのか、研究が必要だと思います。

 

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 さて、もともとの成分は「お茶」なので、腐敗が心配です。そこで防腐剤を入れてみました。古典インクや初期のインクでは「石炭酸」(フェノール)が使われていたらしいのですが、 その伝統?をオマージュしてフェノール系の素材を使いましょう。




 洗口液の「リステリン」は、もともと「フェノールで殺菌する」ということを発明したリスター博士の業績に由来する製品ですが、今のリステリンオリジナルにはフェノールは入っていません。

 しかし、上位版のトータルケアシリーズには「イソプロピルメチルフェノール」が入っています。いいじゃん!まさにフェノール入り。

 おまけにこちらはノンアルコールなので、にじみも防止できます。

 

 というわけで、防腐剤として、リステリンをぶち込みました。適量。

 

 ついでに粘度調整もやっちゃいます。

 

 古典インクでは「アラビアガム」という植物抽出物を使っていました。はるか昔のゴムのりで用いられたこともあるようです。要するに粘っているものですね。

 

 今回はアラビアガムではなく、「アラビアのり」を合成品で再現した「アラビックヤマト」の成分、「PVA」をぶちこみました。

 


 

 要するに「水のり」です。 


 こちらは万年筆の内部で固まるとけっこう悪さをするので、1%前後から調整します。ガラスペンを使う場合は、洗い流しやすいので、お好みで。

 


 


  

 いちおうは黒いんですが、まだまだ研究の余地あり!ですね。