前回までで、概ねオープンソース志向弦楽器「Forestar」の形が出来上がったわけですが、演奏してみる前に、少しだけおさらいをしておきたいと思います。
実は、Forestarには先行研究があって、既に「2弦の簡単な楽器」ということで当左大文字流ではこれまでに「どんぶらこ」という楽器を世に送り出しているのです。
手作り楽器「どんぶらこ」製作イベント アーカイブ
2009年版
http://blogs.yahoo.co.jp/sanshin_ism34/55447106.html
2012年版
http://blogs.yahoo.co.jp/sanshin_ism34/65746573.html
2013年版
http://blogs.yahoo.co.jp/sanshin_ism34/66481497.html
新聞記事
http://blogs.yahoo.co.jp/sanshin_ism34/66489200.html
これ以外にも、演奏練習のイベントをやったり、いろいろしています。
なので、「どんぶらこ」は意外にたくさんの数が出荷されている(というか、みなさんに作ってもらっている)のです。
さて、どんぶらこという楽器は、もともと「子供向け」として開発したのですが、この楽器を製作・演奏してもらううちに、いろんなことがわかってきました。
まず、どんぶらこは「誰にでも作れる楽器ではない」ということが大きな問題でした。
胴の形状も、デザイン性をねらって、上下左右非対称だったので、木組みに苦労します。
ヘッドは、三味線同様の「糸巻き」を採用していたので、素人では削り出せません。
弦の端を止める部分も「三味線の根尾」と同様だったので、これも止めるのが難しい。
こうした課題があって、たしかに「演奏は簡単」でも、「製作が難しい」楽器になってしまっていたのです。
そうした課題の全てを、今回「forestar」の設計ではブラッシュアップして再検討しています。
==========
というわけで、Forestar製作以前に「どんぶらこ」時代のノウハウや資産がたくさんありますので、演奏については、全然問題なく取り組めるようになっています。
むしろ、演奏部分については、小学校低学年のこどもさんから「弾ける」ことが実証されていますので、ぜひみなさんにも楽しんでいただきたいと思います。
それでは、次回からいよいよ演奏について説明したいと思います。
沖縄三線や邦楽三味線をコードで演奏するプロジェクトです。 ユーザー1800名突破! コード弾きテキストも頒布しています。
2014年2月24日月曜日
2014年2月23日日曜日
<プロジェクト・製作編⑧>ペグの取り付けなど
さて、オープンソース志向弦楽器「Forestar」の製作も、いよいよクライマックスに近づいてきました。
弦楽器の重要ポイントである「糸巻き」部分について、今回は取り組みます。
Forestarでは、製作の簡単さと、演奏のしやすさを考慮して、この部分だけ市販の部材を使います。
なので、これだけ別途、楽器店やネット販売などで購入していただく必要がありますのでご了承ください。
購入するペグは、いくつかの種類が使えます。設計上は、「ウクレレ用のペグ」を使うことを想定しています。
○ GOTOH ウクレレペグ
○ GROVER ウクレレペグ
などが使えます。ストレートタイプのペグでも、ギアペグでもどちらでも大丈夫です。
さて、今回は、現在入手できるウクレレペグのうち、比較的安価に購入できる
○ MAHALO UMH100 シリーズ
を使用してみました。オリジナル設計では、このペグを採用しています。
MAHALO UMH100 は、左右対称タイプのギアペグですので、右2個、左2個のペグが入っています。
Forestarでは左右1つずつしか使いませんので、残りでまたもう一棹楽器を作ってみてください。
表からみた配置は、上写真の通りです。上側低音弦、下側高音弦です。
裏面はこんな感じ↑ このペグは、ベースプレートがイルカの形をしています。
寸法は次のとおりです。
2つのペグ用穴の位置関係は、上図のとおりですが、実際にあける穴の寸法は、使うペグのメーカーや種類によって異なります。
今回使っているMAHALOのUMH100では8ミリ径の穴をあけています。
ペグの組み立てが終われば、上コマをつけます。これは、厚さ1ミリから2ミリ程度の、「竹ひご」を削ったものを瞬間接着剤で貼り付けます。
丸く削られた竹ひごを削いでもいいし、ホームセンターでは、ある程度薄い板状に削ってあるものも販売されています。
↑ こんな感じに貼り付けしておきます。
弦と弦の間隔ですが、ペグの時点でペグのロッドの径寸法がそのまま弦の幅になりますから、下コマ位置での弦幅もそれに準じた形にします。
今回製作しているMAHALOのUMH100では、ロッド径が6ミリなので、そのまま上コマでは6ミリでミゾを切ってもかまいません。
写真のものは、演奏の感覚、手の感触の上で、私の場合は「6ミリではちょっとせまいかな」と思いましたので、少しだけ上コマ位置で広げて7ミリくらいにしています。
そのまま、棹の上を弦は7ミリ感覚で下コマに向かうのですが、爪弾くところで狭いと弾きにくいので、後ろでは9ミリから1センチ程度までさらに「広げて」います。
このあたりは、演奏者の感覚で調整してみてください。
下コマの弦間隔が決定すれば、テールピースにあける穴もおなじ幅でかまいません。
あとは、弦を張れば、ハードウエアとしての「Forestar」はいちおう完成ということになります。
★弦は、ウクレレサイズ版は、奄美三線用弦の「真ん中サイズ」と「細いサイズ」を使います。
別名 中弦と女弦です。
その他、自分の好きな弦(ウクレレ弦・テグスなど)を使ってもかまいませんが、高音担当の楽器ですから、あまり太い弦や低音用の弦は使えません。
弦楽器の重要ポイントである「糸巻き」部分について、今回は取り組みます。
Forestarでは、製作の簡単さと、演奏のしやすさを考慮して、この部分だけ市販の部材を使います。
なので、これだけ別途、楽器店やネット販売などで購入していただく必要がありますのでご了承ください。
購入するペグは、いくつかの種類が使えます。設計上は、「ウクレレ用のペグ」を使うことを想定しています。
○ GOTOH ウクレレペグ
○ GROVER ウクレレペグ
などが使えます。ストレートタイプのペグでも、ギアペグでもどちらでも大丈夫です。
さて、今回は、現在入手できるウクレレペグのうち、比較的安価に購入できる
○ MAHALO UMH100 シリーズ
を使用してみました。オリジナル設計では、このペグを採用しています。
MAHALO UMH100 は、左右対称タイプのギアペグですので、右2個、左2個のペグが入っています。
Forestarでは左右1つずつしか使いませんので、残りでまたもう一棹楽器を作ってみてください。
表からみた配置は、上写真の通りです。上側低音弦、下側高音弦です。
裏面はこんな感じ↑ このペグは、ベースプレートがイルカの形をしています。
寸法は次のとおりです。
2つのペグ用穴の位置関係は、上図のとおりですが、実際にあける穴の寸法は、使うペグのメーカーや種類によって異なります。
今回使っているMAHALOのUMH100では8ミリ径の穴をあけています。
ペグの組み立てが終われば、上コマをつけます。これは、厚さ1ミリから2ミリ程度の、「竹ひご」を削ったものを瞬間接着剤で貼り付けます。
丸く削られた竹ひごを削いでもいいし、ホームセンターでは、ある程度薄い板状に削ってあるものも販売されています。
↑ こんな感じに貼り付けしておきます。
弦と弦の間隔ですが、ペグの時点でペグのロッドの径寸法がそのまま弦の幅になりますから、下コマ位置での弦幅もそれに準じた形にします。
今回製作しているMAHALOのUMH100では、ロッド径が6ミリなので、そのまま上コマでは6ミリでミゾを切ってもかまいません。
写真のものは、演奏の感覚、手の感触の上で、私の場合は「6ミリではちょっとせまいかな」と思いましたので、少しだけ上コマ位置で広げて7ミリくらいにしています。
そのまま、棹の上を弦は7ミリ感覚で下コマに向かうのですが、爪弾くところで狭いと弾きにくいので、後ろでは9ミリから1センチ程度までさらに「広げて」います。
このあたりは、演奏者の感覚で調整してみてください。
下コマの弦間隔が決定すれば、テールピースにあける穴もおなじ幅でかまいません。
あとは、弦を張れば、ハードウエアとしての「Forestar」はいちおう完成ということになります。
★弦は、ウクレレサイズ版は、奄美三線用弦の「真ん中サイズ」と「細いサイズ」を使います。
別名 中弦と女弦です。
その他、自分の好きな弦(ウクレレ弦・テグスなど)を使ってもかまいませんが、高音担当の楽器ですから、あまり太い弦や低音用の弦は使えません。
2014年2月22日土曜日
<プロジェクト・製作編⑦>表板と各パーツの製作
いよいよ、Forestarの表板にとりかかりましょう。
ここまで来ると、大きな山を越えた感じがします(^^
表板は、裏板同様現物合わせでケガキして、板を切り出します。表板の難しいところは、サウンドホールをあける必要がある点です。
サウンドホールは、厳密には位置や大きさと音色に相関関係があるのですが、どうせ他の部分も素人細工ですので、あまり気にしなくていいです。
ただ、より良い音を求めるには、
① 穴の数は、ウクレレサイズの場合は1箇所にする
② 穴の大きさはピンポン玉を目安に、それよりも小さいと音がこもりがちになる
という2点だけ気をつけたほうがいいと思います。
ここまで来ると、大きな山を越えた感じがします(^^
表板は、裏板同様現物合わせでケガキして、板を切り出します。表板の難しいところは、サウンドホールをあける必要がある点です。
サウンドホールは、厳密には位置や大きさと音色に相関関係があるのですが、どうせ他の部分も素人細工ですので、あまり気にしなくていいです。
ただ、より良い音を求めるには、
① 穴の数は、ウクレレサイズの場合は1箇所にする
② 穴の大きさはピンポン玉を目安に、それよりも小さいと音がこもりがちになる
という2点だけ気をつけたほうがいいと思います。
穴をあける位置ですが、まず周囲ぐるりに1センチの縁がありますから、ここにはかからないようにします。
そして、中心には棹が来ているので、ここにもかからないよう気をつけます。
縁や棹にかかって穴をあけると、見栄えが悪くなります。
それ以外の場所であれば、どこにあけてもそれほど音は変わりません。(違いは聞き分けられない程度です)
道具を簡単にしたければ、電動ドリルとホールソーを使えば簡単に大きな穴があきます。
糸鋸を使って、自由な形に切り抜いてもOKです。
表板ができれば、裏板同様に木工ボンドで接着してください。重石をのせる、仮留めするなどして、きれいに表板が付くようにします。
表板部分が完成すれば、あと少しだけパーツを作ります。
まず、テールピースは、高さ1~1.5センチ×長さ6センチ×幅1.5センチの小さな木片を作ります。上の図では、デザイン上、丸く角を落としていますが、簡単に作りたい場合は、角材のままでもOKです。
中心部分に弦を通す穴を1.5ミリ~2.5ミリ程度の小さなドリルで開けるのですが、弦の幅は、後で示しますので、とりあえずは、テールピース部材だけ作っておきましょう。
コマは、高さ1.2センチ程度×長さ5~6センチのものを作ります。巾は、8ミリ~1センチ程度のものを用意し、弦が乗る部分を三角形に削ります。
↑写真では、コマを尖らせているのがわかるでしょうか?
ちなみに、テールピースは、木工ボンドを塗ってからビス止めします。前回作った「受け部」に食い込ませますので、ビスの長さは25ミリのものを使いましょう。
コマのほうは、載せているだけで接着していません。
2014年2月20日木曜日
<プロジェクト・製作編⑥>テールピース受け部の製作
Forestarの裏板まで出来たところで、いよいよ表板に入りたくなるところですが、その前に一箇所だけ下準備が必要な箇所があります。
それは、また後で作る「テールピース」(弦の端を止める部品)を受け止めるために、楽器内部にちょっとした仕込が必要なので、そこを作っておきます。
この部分は、他の楽器にはあまりないものですが、Forestarのコンセプト「誰でも簡単に作る」という点において、逆に必要になってしまった部材です。
Forestarのテールピースは、木工ボンドで貼り付けののち、またビスで留めます。これで、施工の簡単さと同時に、強度を出すのですが、ビスが貫通する位置が、胴の縁を外れてしまうために、それを受け止める部材が必要になるのです。
ビスを受け止めるだけなので、この部分はなんでもOKです。音の鳴り等の邪魔をしない、小さい木片を用意して、事前に内部に貼り付けします。
(写真で使っているのは、ヘッドを切り取った後の棹の部材の余りを半分にしたものです)
この部材は、木工ボンドで接着するだけでOKです。
ここまで来ると、いよいよ表板の製作です。
それは、また後で作る「テールピース」(弦の端を止める部品)を受け止めるために、楽器内部にちょっとした仕込が必要なので、そこを作っておきます。
この部分は、他の楽器にはあまりないものですが、Forestarのコンセプト「誰でも簡単に作る」という点において、逆に必要になってしまった部材です。
Forestarのテールピースは、木工ボンドで貼り付けののち、またビスで留めます。これで、施工の簡単さと同時に、強度を出すのですが、ビスが貫通する位置が、胴の縁を外れてしまうために、それを受け止める部材が必要になるのです。
ビスを受け止めるだけなので、この部分はなんでもOKです。音の鳴り等の邪魔をしない、小さい木片を用意して、事前に内部に貼り付けします。
(写真で使っているのは、ヘッドを切り取った後の棹の部材の余りを半分にしたものです)
この部材は、木工ボンドで接着するだけでOKです。
ここまで来ると、いよいよ表板の製作です。
<プロジェクト・製作編⑤>Forestarの裏板を接着する
Forestarの胴と棹が合体した段階で、胴の裏板を接着します。
表板、裏板の材料は、入手できる材料がいくつかあります。
一枚モノの無垢の板が手に入ればそれに越したことはないのですが、まず市販されていないので、
合板3ミリもしくは4ミリ
のものをホームセンターで探してください。
寸法は、ざっくりで言えば20センチ×20センチが2枚取れればOKです。
合板の材質ですが、「ラワンベニヤ」もしくは「シナベニヤ」が安価で入手しやすいでしょう。
板を選ぶときは、拳でコンコン叩いてみて、できるだけ「硬質な音」「硬そうな音」がするものがベターです。
ラワンやシナといった材質にこだわらず、なるべくコンコン甲高い音がするもののほうが、最終的に良い音がします。
裏板、表板とも、実際に組みあがった胴に当ててみて、現物合わせで鉛筆でラインを写し取ってノコギリで切ります。
小さめに切るよりも、ほんのすこしだけ大きめをイメージして切って、あとでやすりを掛けて、ぴったりの寸法にするほうが綺麗に仕上がると思います。
表板は、後からつけます。まずは、裏板だけ木工ボンドで接着してください。
板の目は、縦でも横でもお好きなほうでかまいません。上の写真のものは、角をかなり多めに面取りしています。
このあたりの加工は、お好みでOKです。
表板、裏板の材料は、入手できる材料がいくつかあります。
一枚モノの無垢の板が手に入ればそれに越したことはないのですが、まず市販されていないので、
合板3ミリもしくは4ミリ
のものをホームセンターで探してください。
寸法は、ざっくりで言えば20センチ×20センチが2枚取れればOKです。
合板の材質ですが、「ラワンベニヤ」もしくは「シナベニヤ」が安価で入手しやすいでしょう。
板を選ぶときは、拳でコンコン叩いてみて、できるだけ「硬質な音」「硬そうな音」がするものがベターです。
ラワンやシナといった材質にこだわらず、なるべくコンコン甲高い音がするもののほうが、最終的に良い音がします。
裏板、表板とも、実際に組みあがった胴に当ててみて、現物合わせで鉛筆でラインを写し取ってノコギリで切ります。
小さめに切るよりも、ほんのすこしだけ大きめをイメージして切って、あとでやすりを掛けて、ぴったりの寸法にするほうが綺麗に仕上がると思います。
表板は、後からつけます。まずは、裏板だけ木工ボンドで接着してください。
板の目は、縦でも横でもお好きなほうでかまいません。上の写真のものは、角をかなり多めに面取りしています。
このあたりの加工は、お好みでOKです。
2014年2月19日水曜日
<プロジェクト・製作編④>Forestarの胴と棹を接合する。
今回は、いよいよ胴と棹を接合します。
ギターやウクレレなどは、ネック(棹)がボディ(胴)に貫通せずに接着されています。
各種ブロックなどを使って補強されていますが、原理的には、胴の横に棹がくっつけてあるだけ、ということになります。
<参考>
ブルーグラス ギター ワークショップさんのサイト に説明がありました。
http://bg-workshops.com/guitar/construction/index.html
図を見るとわかりやすいと思います。
アコースティックギタースギモト さんのサイトにジョイント部の説明がありました。
http://www.guitar-shop.jp/blog/etc/neck.html
こちらも写真が参考になります。
それに対して、三味線や二胡などは、棹が胴のおしり部分まで貫通しています。
つまり、真ん中に棹(というか、棒)が突っ込まれている形になっているわけです。
<参考>
津軽三味線 高橋栄水さんのサイトに画像がありました。
http://y-eisui.com/shami3.html
三味線の種類なども載っているので、わかりやすいと思います。
さて、Forestarの接合は、どちらかと言えば貫通型に近いものになっています。
もともと、手作り三味線楽器を製作していたこともあって、Forestarの原型になった楽器は、全て貫通型だったのですが、Forestarでは、「より簡単に製作できる」ことと、楽器としての完成度を両方考慮した結果、次のようなスタイルになりました。
Forestarは「前面貫通、後面ビス止め」になっています。写真右側が「前」部分になります。
貫通、と書きましたが、より厳密には「切り込み」によって貫通させています。
作り方は、上図を参考に。
まず、胴前面部の中心を出して、そこから左右に2.5センチもしくは2.4センチ幅でノコ刃を入れて切り込みを作ります。
切り込み深さも2.5センチもしくは2.4センチです。
縦に2本、ノコ刃を入れたら、次は横方向の切断ですが、ここはノコは使いません。
切り取りたい線に沿って、カッターで深めに筋を入れてください。一回で深く筋が付かない場合は、何度か切り込みを入れます。
筋を付けたら、折り取りたい木の角を、ハンマーで軽く叩くときれいに折れます。
後は、各面を木工やすり、紙やすりなどで整えて、棹がきちんとはまるかどうかチェックしてください。
実際に棹をはめこむと、下のようになります。
棹の前の方は、切り込みにすっぽり入ります。後ろの端は、胴のおしりの裏側にドン付きで当てるだけですが、ここに木工ボンドを塗って接着します。
ボンドだけでは弱いので、胴の外側からコースレッドビス長さ25ミリ~35ミリでビス止めします。
前面の切り込みのほうにも木工ボンドを塗っておいて、こちらも接着されるようにしておきます。
全体を通して、胴から棹までの上面が一直線になるように気をつけてください。
これで、胴と棹の接合は完成です。
ギターやウクレレなどは、ネック(棹)がボディ(胴)に貫通せずに接着されています。
各種ブロックなどを使って補強されていますが、原理的には、胴の横に棹がくっつけてあるだけ、ということになります。
<参考>
ブルーグラス ギター ワークショップさんのサイト に説明がありました。
http://bg-workshops.com/guitar/construction/index.html
図を見るとわかりやすいと思います。
アコースティックギタースギモト さんのサイトにジョイント部の説明がありました。
http://www.guitar-shop.jp/blog/etc/neck.html
こちらも写真が参考になります。
それに対して、三味線や二胡などは、棹が胴のおしり部分まで貫通しています。
つまり、真ん中に棹(というか、棒)が突っ込まれている形になっているわけです。
<参考>
津軽三味線 高橋栄水さんのサイトに画像がありました。
http://y-eisui.com/shami3.html
三味線の種類なども載っているので、わかりやすいと思います。
さて、Forestarの接合は、どちらかと言えば貫通型に近いものになっています。
もともと、手作り三味線楽器を製作していたこともあって、Forestarの原型になった楽器は、全て貫通型だったのですが、Forestarでは、「より簡単に製作できる」ことと、楽器としての完成度を両方考慮した結果、次のようなスタイルになりました。
Forestarは「前面貫通、後面ビス止め」になっています。写真右側が「前」部分になります。
貫通、と書きましたが、より厳密には「切り込み」によって貫通させています。
作り方は、上図を参考に。
まず、胴前面部の中心を出して、そこから左右に2.5センチもしくは2.4センチ幅でノコ刃を入れて切り込みを作ります。
切り込み深さも2.5センチもしくは2.4センチです。
縦に2本、ノコ刃を入れたら、次は横方向の切断ですが、ここはノコは使いません。
切り取りたい線に沿って、カッターで深めに筋を入れてください。一回で深く筋が付かない場合は、何度か切り込みを入れます。
筋を付けたら、折り取りたい木の角を、ハンマーで軽く叩くときれいに折れます。
後は、各面を木工やすり、紙やすりなどで整えて、棹がきちんとはまるかどうかチェックしてください。
実際に棹をはめこむと、下のようになります。
棹の前の方は、切り込みにすっぽり入ります。後ろの端は、胴のおしりの裏側にドン付きで当てるだけですが、ここに木工ボンドを塗って接着します。
ボンドだけでは弱いので、胴の外側からコースレッドビス長さ25ミリ~35ミリでビス止めします。
前面の切り込みのほうにも木工ボンドを塗っておいて、こちらも接着されるようにしておきます。
全体を通して、胴から棹までの上面が一直線になるように気をつけてください。
これで、胴と棹の接合は完成です。
<プロジェクト・製作編③>Forestarネック製作のつづき
前回に引き続いて、ヘッドとネックの構造について説明を続けます。
ヘッド部分の木材加工は、前回の説明でおおむねOKなのですが、いよいよ棹の長さを確定したいと思います。
棹の長さは、上図のように確定します。
ハイレベルバージョンの方は、ヘッドが完成したら、棹長さ58センチでカットしてください。
そののち、おしりの方から18センチについては、1センチ程度棹が薄くなるようにカットします。
このカット方法については、ノコギリでもノミでも、なんでもかまいません。荒やすりで削り落としてもいいです。
この部分は、楽器の表板と触れてしまうと音がでなくなるため、表板に触れないように削るものですので、カットではなく削る場合は5ミリ下がっているだけでもOKです。
ノコギリやノミで落とす場合は、5ミリだけ落とすほうが難しいので1センチくらいカットしましょう。
簡単バージョンで作る場合は、一本の全長が58センチで、もう一本が30センチになります。それをヘッド部分10センチずらして、木工ボンドで張り合わせます。
こちらの場合は、表板にもともと触れませんので、削る必要がありません。棒材1本分、つまり1.2センチもともと下がっていることになります。
これで棹がおおむね完成しました。
ヘッド部分の木材加工は、前回の説明でおおむねOKなのですが、いよいよ棹の長さを確定したいと思います。
棹の長さは、上図のように確定します。
ハイレベルバージョンの方は、ヘッドが完成したら、棹長さ58センチでカットしてください。
そののち、おしりの方から18センチについては、1センチ程度棹が薄くなるようにカットします。
このカット方法については、ノコギリでもノミでも、なんでもかまいません。荒やすりで削り落としてもいいです。
この部分は、楽器の表板と触れてしまうと音がでなくなるため、表板に触れないように削るものですので、カットではなく削る場合は5ミリ下がっているだけでもOKです。
ノコギリやノミで落とす場合は、5ミリだけ落とすほうが難しいので1センチくらいカットしましょう。
簡単バージョンで作る場合は、一本の全長が58センチで、もう一本が30センチになります。それをヘッド部分10センチずらして、木工ボンドで張り合わせます。
こちらの場合は、表板にもともと触れませんので、削る必要がありません。棒材1本分、つまり1.2センチもともと下がっていることになります。
これで棹がおおむね完成しました。
2014年2月18日火曜日
<プロジェクト・製作編②>Forestarの棹を作る
オープンソース志向弦楽器「Forestar」の製作編、その②です。
前回は、胴を作りました。まだ加工が残っていますが、先に棹に少しだけ手をつけておきましょう。
「Forestar」の棹は、楽器の「ヘッド」と「ネック」が一体になった構造をしています。ギターやウクレレ・などは、本来ヘッドとネックは別パーツなのですが、この楽器では一体です。
さて、Forestarの棹を作るときに、製作者のレベルに合わせて、いくつかの作り方のパターンを提案しています。
簡単ながらも、ちょっとだけレベルの高い加工をする(そして、作りがカッコいい)か、あるいは、簡単さだけを追い求めるか、によって、作り方を変更できます。
<ハイレベル版 ~1ピースヘッドネック~ >
難しいほうです。デザイン性に優れますが、難易度が少しアップします。(中学生以上)
この方法は、2.5センチもしくは2.4センチの角棒を用意します。ホームセンターによって、どちらかの棒材が販売されていますので、その店にあるものでOKです。長さは90センチ程度のものがよく販売されています。
<簡単版 ~2ピースヘッドネック ~ >
簡単なほうです。デザイン性は劣りますが、製作は容易です。(小学生から可)
この方法は、幅が2.5もしくは2.4センチで、厚みが1.2センチの平角棒を2本用意します。この棒材は店によって販売があったりなかったりしますので、事前に調べておくほうがよいです。
(厚み1センチのものがあれば、少し強度が落ちますが使用可能です)
これも長さは90センチ程度のものがよく販売されています。
万一、販売がない場合は、ハイレベル版に挑戦してみてください。
この2つの違いを図示しながら説明しましょう。
上の図がハイレベルバージョンです。横からみたところになります。
ちょうど半分の薄さにして、8センチのこぎりを入れて残り2センチは斜めに切ります。ここがヘッドになります。
真ん中の図は、簡単バージョンです。棒の真ん中にノコを入れるのが難しい場合は、半分の薄さの板を2枚木工ボンドで張り合わせればいいわけです。この場合は、スケールを同一にするために10センチずらしたところで張り合わせます。
下の図は、上からみた図になります。今はまだ大雑把ですが、糸巻き(ペグ)を取り付ける穴を開ける位置を参考までに書き込んであります。
ヘッドを作るときは、棹全体の長さを先に確定して「切って」しまってはいけません。
もし、ヘッド作りに失敗しても、もういちど失敗部分を切り落として使えるかもしれないからです。
先に棹の長さを確定してしまうと、失敗したらその棒材は捨てるしかありません。けれど仮に90センチの棒材で、棹の長さが60センチ必要な場合は、10センチのヘッドであれば3回も失敗できることになるのがわかりますか?
なので、棹の長さを確定するのは、最後までおあずけです。
ちなみに、次回記事を読むまで、まだ製作にとりかかってはいけません。もうちょっとだけ説明しなくてはならないことがあるからです。
(次回につづきます。つぎはネック部分です)
前回は、胴を作りました。まだ加工が残っていますが、先に棹に少しだけ手をつけておきましょう。
「Forestar」の棹は、楽器の「ヘッド」と「ネック」が一体になった構造をしています。ギターやウクレレ・などは、本来ヘッドとネックは別パーツなのですが、この楽器では一体です。
さて、Forestarの棹を作るときに、製作者のレベルに合わせて、いくつかの作り方のパターンを提案しています。
簡単ながらも、ちょっとだけレベルの高い加工をする(そして、作りがカッコいい)か、あるいは、簡単さだけを追い求めるか、によって、作り方を変更できます。
<ハイレベル版 ~1ピースヘッドネック~ >
難しいほうです。デザイン性に優れますが、難易度が少しアップします。(中学生以上)
この方法は、2.5センチもしくは2.4センチの角棒を用意します。ホームセンターによって、どちらかの棒材が販売されていますので、その店にあるものでOKです。長さは90センチ程度のものがよく販売されています。
<簡単版 ~2ピースヘッドネック ~ >
簡単なほうです。デザイン性は劣りますが、製作は容易です。(小学生から可)
この方法は、幅が2.5もしくは2.4センチで、厚みが1.2センチの平角棒を2本用意します。この棒材は店によって販売があったりなかったりしますので、事前に調べておくほうがよいです。
(厚み1センチのものがあれば、少し強度が落ちますが使用可能です)
これも長さは90センチ程度のものがよく販売されています。
万一、販売がない場合は、ハイレベル版に挑戦してみてください。
この2つの違いを図示しながら説明しましょう。
上の図がハイレベルバージョンです。横からみたところになります。
ちょうど半分の薄さにして、8センチのこぎりを入れて残り2センチは斜めに切ります。ここがヘッドになります。
真ん中の図は、簡単バージョンです。棒の真ん中にノコを入れるのが難しい場合は、半分の薄さの板を2枚木工ボンドで張り合わせればいいわけです。この場合は、スケールを同一にするために10センチずらしたところで張り合わせます。
下の図は、上からみた図になります。今はまだ大雑把ですが、糸巻き(ペグ)を取り付ける穴を開ける位置を参考までに書き込んであります。
ヘッドを作るときは、棹全体の長さを先に確定して「切って」しまってはいけません。
もし、ヘッド作りに失敗しても、もういちど失敗部分を切り落として使えるかもしれないからです。
先に棹の長さを確定してしまうと、失敗したらその棒材は捨てるしかありません。けれど仮に90センチの棒材で、棹の長さが60センチ必要な場合は、10センチのヘッドであれば3回も失敗できることになるのがわかりますか?
なので、棹の長さを確定するのは、最後までおあずけです。
ちなみに、次回記事を読むまで、まだ製作にとりかかってはいけません。もうちょっとだけ説明しなくてはならないことがあるからです。
(次回につづきます。つぎはネック部分です)
<プロジェクト・製作編①>オープンソース志向弦楽器Forestarを作る
おひさしぶりです。
「誰にでも作れて、誰にでも弾ける」がコンセプトのオープンソース志向弦楽器「Forestar」ですが、いよいよ製作にとりかかりたいと思います。
これからしばらくは、設計図と製作アドバイスとともに、実際の楽器作りを試行してみてほしいと思います。
今年の1月1日の記事に、楽器の写真はアップしているのですが、今回からはまず「ちいさいほう」つまりウクレレ風の方を作ってみましょう。
前回記事はこちら
http://sanshinism34.blogspot.jp/2014/01/forestar.html
これらの楽器、製作にちょっとした手間はかかりますが、技術的には「中学校の技術家庭科レベル」で作れるように工夫してありますので、ぜひとも木工にあまりなじみがない人もチャレンジしてみてください。
まず、最初は「胴」から作ります。
図面はこちら。
厚みが1センチで、幅が4.5センチ~6センチくらいの板材を用意してください。
ホームセンターでは、おそらく4.5センチ×90センチ、6センチ×90センチくらいの材料が手に入るはずです。
4.5センチ幅を選ぶと軽やかな音になります。
6センチ幅では深みのあるまろやかな音です。
初めて作る場合のお勧めは
6センチ×90センチ×厚み1センチ
の板がベストです。ぜひ、この材料をチョイスしてくださいね。素人でもウクレレ風の音が鳴る楽器を作ることができます。
ノコギリで切る長さは、上記寸法の通りです。
18センチのものが2枚。これが胴の横部分。
14センチのものが上部分。16センチのものが下部分になります。
組み立ての図面は、上のようになります。
14センチのもの、16センチのものが上下の板になりますから、中心を合わせて「台形」になるように組みます。
接着は木工ボンドのみですが、固まるのに時間がかかって、胴枠がバラバラにならないように、ホットボンドも併用して固めてしまいます。
★注意事項★
胴の上のほうは、少し隙間が開いて接着することになりますので、木工ボンドをたっぷり塗りこみましょう。
逆に下のほうは、木工やすりか紙やすりを使って、斜めに当たる部分を削ったほうが綺麗に組みあがります。
削らずに板を組むこともできますが、胴の外側に少しだけ隙間ができてカッコ悪くなります。
「誰にでも作れて、誰にでも弾ける」がコンセプトのオープンソース志向弦楽器「Forestar」ですが、いよいよ製作にとりかかりたいと思います。
これからしばらくは、設計図と製作アドバイスとともに、実際の楽器作りを試行してみてほしいと思います。
今年の1月1日の記事に、楽器の写真はアップしているのですが、今回からはまず「ちいさいほう」つまりウクレレ風の方を作ってみましょう。
前回記事はこちら
http://sanshinism34.blogspot.jp/2014/01/forestar.html
これらの楽器、製作にちょっとした手間はかかりますが、技術的には「中学校の技術家庭科レベル」で作れるように工夫してありますので、ぜひとも木工にあまりなじみがない人もチャレンジしてみてください。
まず、最初は「胴」から作ります。
図面はこちら。
厚みが1センチで、幅が4.5センチ~6センチくらいの板材を用意してください。
ホームセンターでは、おそらく4.5センチ×90センチ、6センチ×90センチくらいの材料が手に入るはずです。
4.5センチ幅を選ぶと軽やかな音になります。
6センチ幅では深みのあるまろやかな音です。
初めて作る場合のお勧めは
6センチ×90センチ×厚み1センチ
の板がベストです。ぜひ、この材料をチョイスしてくださいね。素人でもウクレレ風の音が鳴る楽器を作ることができます。
ノコギリで切る長さは、上記寸法の通りです。
18センチのものが2枚。これが胴の横部分。
14センチのものが上部分。16センチのものが下部分になります。
組み立ての図面は、上のようになります。
14センチのもの、16センチのものが上下の板になりますから、中心を合わせて「台形」になるように組みます。
接着は木工ボンドのみですが、固まるのに時間がかかって、胴枠がバラバラにならないように、ホットボンドも併用して固めてしまいます。
★注意事項★
胴の上のほうは、少し隙間が開いて接着することになりますので、木工ボンドをたっぷり塗りこみましょう。
逆に下のほうは、木工やすりか紙やすりを使って、斜めに当たる部分を削ったほうが綺麗に組みあがります。
削らずに板を組むこともできますが、胴の外側に少しだけ隙間ができてカッコ悪くなります。
【三線ism】 特注シャミレレを作っております
さてみなさんこんにちは
全国的に大雪ですが、いかがお過ごしでしょうか?関西地方もかなり降りましたが、私は雪国生活をしていたおかげで、なんとかノーマルタイヤでぶいぶい言わしております。
そんな雪景色の中ですが、特注でシャミレレ製作の依頼があったので、時間を見つけて作っておりました。
まだ、最終組み立て前ですが、こんな感じ。
今回は、珍しい「サウンドホールなし」のスタイルです。
工房がなくなってからというもの、流浪のスタイルで製作に励んでいます。まさに流行の「ノマド」です。
楽器の製作に関しては、以前に比べてペースは落ちていますが、できる限りのことは対応しておりますので、何かご希望がありましたらご連絡ください。
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