2009年1月8日木曜日

【三線ism】  究極のオーディオ三味線





 さてみなさんこんにちは

 先日より、三味線・三線の胴とオーディオ(スピーカー)を比較しているわけですが、そこまでスピーカーと三味線がおなじ原理なら、というわけで

 「オーディオ三味線」

というものを考えてみました(笑)

 もちろん、こんな楽器はないのですが、作ってみてどんな音がするかものすごく興味があります。

 密閉型、もしくはドロンコーン型の三味線やゴッタンはすでにあるわけですから、「まだ世の中にない三味線のプロダクトデザイン」というわけで!


 まずは、バスレフよりも低音を強調できる「ダブルバスレフ」方式を取り入れてみました(笑)

 キンキン・カンカン音が特徴の三味線に、まろやかな重低音を加味する(はずの)ダブルバスレフ方式です。

 もうひとつは、さらに効率がよく低音を増強する「バックロードホーン」方式の採用(笑)

 開口部の筒がホーンのようにどんどん広がりますので、さらに豊かな低音が響くはず。あくまでも「はず」(^^


 実はギターではノーマルのバスレフ方式を取り入れたギターが製作されています。シモギターという個人製作のギターですが、通常のサウンドホールのほかにバスレフポートが開いているのが特徴です。

 シモギターさんではギターのほかにウクレレも作っているのですが、さすがに「ダブルバスレフ」方式や「バックロードホーン」方式は採用していません。


 この2種類の楽器、三味線でもギターでもなんでも作れば「世界初!」となること請け合いです。



2009年1月5日月曜日

【三線ism】 三味線を科学する その3 「三味線胴はマニアック」



さてみなさんこんにちは

 今回はこの間からの「三味線の科学」に話を戻します。

 三味線の胴は、スピーカのエンクロージャにたとえられる、という話をしてきましたが、いよいよ通常の三味線や三線の胴について研究してみます。

 三味線の胴は、表皮を振動させて音を出しますが、そのとき、胴の内部の圧力が皮の振動に合わせていっしょに振動するという話を前回したところです。

 ところが、表皮以外の部分が堅くて動かないとすれば、内部で空気圧が高まってしまうので、表皮の振動を邪魔する働きをもってしまう、ということも確認しておきましょう。

 そこで、サウンドホールのような穴をあけることで、この内圧(背圧)を逃がすことができるわけですが、通常の三味線や三線はどこにも穴があいていません。

 ではどうやって、胴内部の圧力を逃がしているのかがポイントなわけです。


 その答えは、おなじくスピーカの種類を考えればわかります。

 図に挙げたスピーカは、「ドロンコーン型」もしくは「パッシブラジエータ型」と呼ばれるエンクロージャです。

 これは、コストがかかるのであまり製作されない形式のスピーカなのですが、上のスピーカが通常の音を出す振動板の働きを持っています。下のスピーカは、かたちこそスピーカそっくりなのですが、銅線も磁石もついておらず、通電しません。これはスピーカの振動版だけを本物のスピーカの下にくっつけているのです。(スピーカの中ではかなりマニアックな形式です。)


 一見役に立たないようなスピーカの偽者なので「ドロンコーン(怠け者のスピーカーコーン)」と呼ばれるわけです。

 この偽者スピーカは、上のスピーカの振動によってうまれた背圧によって胴内部の圧力が変化すると、それに応じて一緒に震えます。
 本物のスピーカに対して受動的に振動するので「パッシブ」なわけです。


 こうして、ドロンコーン型は穴をあけていないのに、サウンドホールと同じように圧力を逃がせるため、低音をちゃんと増強しつつ、かつクリアな音を出せるわけです。


 三味線胴も、ドロンコーン型だと考えることができます。ギターに比べてあれだけ小さな胴で、かつサウンドホールなしであれだけ大きな音を出せるのは、ちゃんと音響理論にのっとった構造をしているからです(^^

 三味線胴は、表皮で生じた振動とそれにともなう背圧を、裏皮が受動的に受け止めて一緒に振動しているわけですね。


 もちろん、スピーカの世界でもそれぞれの形式によって個性や特性が違います。三味線楽器も、「表も裏も皮」だけが正統派なわけではなく、民俗的な伝統や地域の特性などが入り混じりながら発展していますので、いろんな形式があっても面白いとおもいます。

 形は似ているけど、実はいろんな働きが違う、ということを知ると、三味線がもっと面白くなりますね。


2009年1月3日土曜日

【三線ism】 ミニミニ華額 パート2








 さてみなさんこんにちは

 前回に引き続いてミニミニ華額のちょっと大きい判です。

 これはかなり実験的な要素が強いのですが、本来縦置きがメインの華額を横置き仕様にしてあります。
こうすることで、風景的な配置ができないか検討しています。

 背景が黒なので見えにくいのですが、右端に針金でつくったベンチが置いてあります。ちょっとした箱庭というか、植物で描いた景色を切り取ったような雰囲気を考えてみました。

 縦置きは、植物と枠のバランスを取りやすいのですが、横置きは配置が難しいです。

 今回も仕込みはオアシススポンジをベースに多肉植物を植える箇所に穴をあけ、そこに株ごと差し込んであります。その上から土をかぶせていますので枠の下側の縁=土の表面になってます。


 華額の欠点は、土の深さを深く取れないことで、枠の太さ=土の高さになってしまいます。

 このミニミニ華額は小さい方で、2センチ、ちょっと大きい方で2.5センチです。

背景がぬれているのは、霧吹きでお水をやったところだからです(^^;


2009年1月2日金曜日

【三線ism】 ミニミニ華額を作りました






 さてみなさんこんにちは

 今年の北近畿は正月から雪景色です(^^;

 元旦もしんしんと雪が降って、ちょっと積もったりしていたのですが、今日は雨模様で寒い寒い。

 そんな中でも、工房に篭って木工作業にいそしんでいた左大文字です。

 
 さて、いつものように華額や楽器を製作しながら、合間を利用して小さな華額を作ってみました(^^

 年末に並木道公園さんで小さな多肉植物をいくつか分けてもらってきたので、それを植えるためにピッタリの入れ物はできないかなあ、と研究したわけです。

 そこで、通常なら全長50センチを超える華額のデザインをそのままに、今度は極小モードにアレンジしてみました。

 写真に載せているミニミニ華額は、全長12センチバージョンですから、フォトフレームとしても小さいサイズになります。開口部は名刺とかカードサイズくらい、といえばわかりやすいでしょうか(^^;



 さすがにこれは「生ける」ことは難しいですが、植え込み作業はけっこう楽しめます(^^

 ベースにオアシススポンジを内枠いっぱいに敷いて、多肉植物を植える部分はスポンジをくりぬいて土ごと差し込めるようにします。あとはスポンジをキレイにならして、表土に飾り土をならしてあげればOKです。

 うーん、やっていることは生け花ではなく園芸ですね(笑)

 水やりは、霧吹きでちょっと水を吹いてやるだけでよく、それも少しで長持ちしますので、取り扱いがとても楽です。

 デスクサイドで楽しめる華額ですね!

2009年1月1日木曜日

【三線ism】  三味線を科学する その2 「三味線はスピーカー理論で」






さてみなさん、あけましておめでとうございますm(_ _)m

 本年もよろしくお願い申し上げます。

 ということで、正月の夜長に三味線科学講座の第2回目です。

 前回は、ゴッタンと三味線の構造を比較して、音の違いについて軽く考えたのですが、今回はより音響理論的に追求してみます。

 三味線や三線の胴は簡単に言えば「箱」なわけですが、振動版がついた「箱」なわけですからスピーカーの箱とおなじ理屈で考えることもできます。

 スピーカーの箱は、エンクロージャと呼んだりもするのですが、このエンクロージャの形式には、素直な音から重低音が出せるものまでいろんな形式がオーディオの専門家によって考え出されています。

このスピーカーの形式と、三味線楽器の構造を比較してみるとまた面白い!


 まずは図をみてください。


 最初の図は、沖学さんの三線キットのように、表板(表皮)だけで後ろがオープンになっている形式です。これは、スピーカー理論ではかなり素直な基本的なスタイルである「平面バッフル・後面開放型」と同じ形です。

 この形式は、振動板から発せられた振動が表の振動と裏の振動が混ざらないように仕切りで切り分けた形になっているので、とても素直な音が出るという特徴があります。

 ところが周波数の低い低音部分は、箱の外側に回りこんで、表の音に干渉してしまうので、低音が小さくなってしまうそうです。

 結果、のびのびと振動するからクリアな音なんだけれど、低音が出ないという欠点が生まれるとのこと。

(余談ですが、中国の二胡はこの形です。表は蛇皮ですが、筒状の後ろは開放になっています)


 次に、密閉型を見てみましょう。一見するとゴッタンをはじめ普通の三味線や三線もこれに相当しそうですが、ちょっと違います。くわしい理由はまた説明しますが、ここでは、密閉型では後ろの板は振動せずに堅い板がはまっていると考えてください。つまり、ゴッタンだけが相当する形です。

 密閉型は、表板から発生した振動のうち、うしろ向けに出た干渉波を表に出さずに封じ込めてしまう形式です。

 このため、内部は空気圧でばねのような動きをするのですが、低音を増強するというメリットと表板の自由な動きを封じ込めてしまうというデメリットが生まれます。
 
 一般的には、この形のスピーカーは他の形式より「詰まったような音になりがち」という傾向があるようです。


 そこで、この空気圧を逃がすことを考えねばなりません。それが楽器ではサウンドホールになる「バスレフ型」です。

 バスレフ型スピーカーは、低音が増強されて、かつ背圧を逃がすことができるので、豊かな低音を表現することができます。

 市販の三味線でこれを実現している楽器はありませんが、(私がよく作っている手作り三味線はこの形です)、ギターやウクレレやバイオリンといった一般的な西洋楽器はほとんどこの形です。

 その他、モリンホール(馬頭琴)やトンコリなどの民俗楽器もこれですから、昔の人はちゃんとよくわかって楽器を作っていたのですねえ。



 さて、「じゃあ、三線や三味線は密閉型でもないし、穴も開いてないとしたらどんな仕組みなんだ!」とおっしゃると思いますが、これは次回につづきます(^^





2008年12月30日火曜日

【三線ism】 三味線楽器を科学する その1 「ゴッタンはなぜ鳴らないか」



 さてみなさんこんにちは

 先日から、宮崎の民俗楽器であるゴッタンを弾いているのですが、そのゴッタンと三味線をめぐって興味深いことがわかってきました。

 そもそもの考察の原点は

「なぜ、板張り三味線(ゴッタン)の音が小さいのか」

という点なのですが、大半の方は「そりゃ皮張りに比べたら、板張りは響かないから鳴らないだろう」とおっしゃると思います。

 結論から言えば、まったくもってそのとおりなのですが、科学的に考えてどうして板ではダメなのか?というあたりが追求したいポイントです(^^

 皮と板を比較すると、その働き方がかなり違うことがわかってきます。

 三味線・三線などの皮張り楽器は、弦の振動を拾って大きくする共鳴板の働きを表皮が担っています。同じようにゴッタンでも、弦の振動を表板が拾って大きくしているので、構造的にはまったく同じです。


 ところが、表は同じでも、裏は事情が異なります。


 三味線・三線の裏皮は表皮の振動に対して、同じ方向に共振して動きます。これは、和太鼓やドラムセットのドラムなんかも同じ構造で、胴に対して表裏2枚の皮が張ってある打楽器はおなじ理屈です。

 ところが、ゴッタンの裏板は堅いので、多少は表に連動して動こうとするでしょうが、その大半のエネルギーは失われてもとの形のまま、そのままの形であろうとします。

 この構造は、三味線・三線と大きく違います。ゴッタンでは共鳴板の働きをするのは表板だけで、裏板はあまり共鳴しません。

 このように裏の板が動かないと、胴の内部では大変な問題が起こります。それは、表板の振動で、胴内部の空気が動く(振動する)のですが、その圧力がどこへも逃げないので、裏板の部分で圧力が跳ね返ってくることになります。

 つまり、表板の振動に対して位相を反転させた波形の振動が後ろから戻ってくることになり、これがゴッタンの音を小さくしている原因になるわけです。

 

 これを三味線・三線で応用すると「裏皮を身体につけてしまうと音が鳴らない」ということに言い換えることができると思います。

 三線弾きの方はご存知でしょうが、三線を立って演奏するときには、ギターをストラップで肩掛けして抱えるときとは違い、楽器を身体から離して腕と胸と楽器で3角形をつくるように抱えます。

 こうすることで、裏皮が完全に身体から離れるのですが、ギターなどでは、裏板を身体につけてしまってもかまわないので、大きな違いが生まれるのです。


 もし裏皮を身体につけてしまうと、どうなるでしょうか?先に述べた理屈でいうと、裏皮が表に連動して振動できなくなるので、胴の内部の圧力が高まって、表に跳ね返ってしまいますね。つまり、音が小さくなったり響きが悪くなったりするわけです。


2008年12月27日土曜日

【三線ism】 「ごったん」をまだまだ追求してみました(^^ 






 さてみなさんこんにちは

 引き続いてゴッタンとの楽しいひと時レポートです(^^

 初期状態では、三味線として十二分に楽しめる「えびのゴッタン」ですが、当流で使うにはちょっとだけビフォーアフターが必要です。

 というわけで、アフターの画像を2つばかり。


 ①上駒の加工

 上駒なんですが、えびのゴッタンはデフォルトではかなり棹の両端側に弦が来るように溝が切ってあります。

 ちなみにさわりはなくて、三本ともストレートにミゾが作ってありますので、さわり山もありません。

 このままでも三味線としては弾けるのですが、多少弦が棹から外れそうになるのと、コードには不向きなので、改造しました。

 本来のミゾから1弦と3弦を内側に溝切りしたのですが、この感覚は弾き手の好きずきだと思います。

私の場合は、3本の弦が1.5センチくらいの間に納まるようにしていますが、これはやや狭めかもしれませんね(^^;

 下駒のほうは、加工なしでOKです。


 ②ポジション振り

 左大文字流では1オクターブを12分割しますので、マイタックラベル(丸)を使ってポジションを振ります。開放弦が0で①~⑫まではシールでフレットに相当する位置にシールを貼るわけです。

 三味線棹なので、テキストでも触れているとおりポジション間がとても広いです。

 2つめの写真では相対コードのFを押さえていますが、かなりがっつり指を広げているのがわかりますか??

 三味線棹でコード弾きをする場合はカポ推奨なのですが、カポなしでもこういう風に指を広げれば可能です(^^

(もちろん、一部押さえ切れないコードが出てきますので、その場合はコードの簡略化が必要になります)



 さて、コードで弾いてみた感想ですが、かなりいいかんじです!!

 音量が小さいのが本当に残念なのですが、オール木製ならではの余韻のあるやわらかな音で、まろやかです。

 ギターでいうと、私の手作り三味線がフォークギター(アコギ)だとしたら、えびのゴッタンは「クラシックギター」みたいな感じです(^^

 ただし、これは標準でついてくるナイロン弦のせいもかなりあると思います。

 しかし、もうちょっと響いてほしいなあ!早くサウンドホールをあけないとダメかもしれません。