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2009年1月1日木曜日
【三線ism】 三味線を科学する その2 「三味線はスピーカー理論で」
さてみなさん、あけましておめでとうございますm(_ _)m
本年もよろしくお願い申し上げます。
ということで、正月の夜長に三味線科学講座の第2回目です。
前回は、ゴッタンと三味線の構造を比較して、音の違いについて軽く考えたのですが、今回はより音響理論的に追求してみます。
三味線や三線の胴は簡単に言えば「箱」なわけですが、振動版がついた「箱」なわけですからスピーカーの箱とおなじ理屈で考えることもできます。
スピーカーの箱は、エンクロージャと呼んだりもするのですが、このエンクロージャの形式には、素直な音から重低音が出せるものまでいろんな形式がオーディオの専門家によって考え出されています。
このスピーカーの形式と、三味線楽器の構造を比較してみるとまた面白い!
まずは図をみてください。
最初の図は、沖学さんの三線キットのように、表板(表皮)だけで後ろがオープンになっている形式です。これは、スピーカー理論ではかなり素直な基本的なスタイルである「平面バッフル・後面開放型」と同じ形です。
この形式は、振動板から発せられた振動が表の振動と裏の振動が混ざらないように仕切りで切り分けた形になっているので、とても素直な音が出るという特徴があります。
ところが周波数の低い低音部分は、箱の外側に回りこんで、表の音に干渉してしまうので、低音が小さくなってしまうそうです。
結果、のびのびと振動するからクリアな音なんだけれど、低音が出ないという欠点が生まれるとのこと。
(余談ですが、中国の二胡はこの形です。表は蛇皮ですが、筒状の後ろは開放になっています)
次に、密閉型を見てみましょう。一見するとゴッタンをはじめ普通の三味線や三線もこれに相当しそうですが、ちょっと違います。くわしい理由はまた説明しますが、ここでは、密閉型では後ろの板は振動せずに堅い板がはまっていると考えてください。つまり、ゴッタンだけが相当する形です。
密閉型は、表板から発生した振動のうち、うしろ向けに出た干渉波を表に出さずに封じ込めてしまう形式です。
このため、内部は空気圧でばねのような動きをするのですが、低音を増強するというメリットと表板の自由な動きを封じ込めてしまうというデメリットが生まれます。
一般的には、この形のスピーカーは他の形式より「詰まったような音になりがち」という傾向があるようです。
そこで、この空気圧を逃がすことを考えねばなりません。それが楽器ではサウンドホールになる「バスレフ型」です。
バスレフ型スピーカーは、低音が増強されて、かつ背圧を逃がすことができるので、豊かな低音を表現することができます。
市販の三味線でこれを実現している楽器はありませんが、(私がよく作っている手作り三味線はこの形です)、ギターやウクレレやバイオリンといった一般的な西洋楽器はほとんどこの形です。
その他、モリンホール(馬頭琴)やトンコリなどの民俗楽器もこれですから、昔の人はちゃんとよくわかって楽器を作っていたのですねえ。
さて、「じゃあ、三線や三味線は密閉型でもないし、穴も開いてないとしたらどんな仕組みなんだ!」とおっしゃると思いますが、これは次回につづきます(^^
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