沖縄三線や邦楽三味線をコードで演奏するプロジェクトです。 ユーザー1800名突破! コード弾きテキストも頒布しています。
2008年10月31日金曜日
【三線ism】 三線はレスポールになるか?!
さてみなさんこんにちは!
今日は面白いものが完成しました(^^
以前から左大文字流の理論や考え方についていろいろ書いていますが、その根底に流れている思想として「三味線楽器は、ギターになりうるか?」という大きな命題があります。
ギターは本来なら一部のヨーロッパの民族楽器であったのが、いつのまにやら世界楽器になっています。三味線や三線だって、世界楽器になりうる可能性だけはあるはずだ!という壮大な夢なのですが。
さて、ギターが進化の速度を速めたのには「エレキギター」の登場という大きな歴史の転換点がありました。
三味線にもエレキ三味線は存在しますが、特にアメリカにおけるエレキの進化とは本質的に違う部分が一点あります。
それは、エレキギターは、アコギからセミソリッド・そして完全ソリッドへと楽器本来の「胴による共鳴」を捨ててしまったことにほかなりません。三味線の世界では、まだ完全ソリッドの三味線や三線は登場していないのが実情です。
もちろん、現在の音楽的内容を考えると完全ソリッドの三味線楽器が必要な音楽ジャンルは存在しないので、まだまだソリッド三味線の登場には時間がかかると思います。
そこで、左大文字流では、旧来のアコースティック三味線・三線のよさを生かしながら、新しい音楽性を追求するツールとして「セミソリッド三味線」的なパーツを開発してみました。
それが、今回紹介する「三線ソリッドピックアップ(仮称)」です!!
これは、原理は消音ウマ(消音駒・忍び駒)にピエゾピックアップを一体化させたものです。いままでの三線・三味線用ピックアップはあくまでも胴の共鳴と駒の振動を拾っていたため、エレキ三線やエレキ三味線はエレキ音と同時に「本来の共鳴音」も出していました。
ところが、このソリッドピックアップは、消音ウマですから三線・三味線本来からの音は出ません。胴の音は消音してしまって、出すのはエレキ音だけです。
これはある意味では三線の本来の音を消し去る行為ですから、「三線にあるまじき行為」でもあります(^^;
しかし、私の狙いは将来来るべき「完全ソリッド三線」時代の先取りですから、1棹の三線・三味線でアコースティック三線も弾けるし、ソリッド三線も弾けるという利便性を追求してこういうパーツにしたわけです。(いまの三線が無駄にならないしね!)
さて、この作品には、もうひとつ大きなツボがあります。それはエレキとしてすぐ弾けるように「ジャック内臓」にしたことです(笑)
これひとつあれば、すぐにエレキ三線に早がわり、というわけです!
肝心の音のほうは、すでに弾いてみたのですが・・・・・次回のお楽しみに!
2008年10月25日土曜日
【三線ism】 遺伝子組み換えカイコのニュース 三味線弦と絹糸
さてみなさんこんにちは
ヤフーにこんなニュースが載っていました。
「<カイコ>遺伝子組み換え、蛍光色の絹糸に成功 農業生物研」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081024-00000101-mai-soci
我々三味線弾きにとってはなくてはならない絹糸ですが、カイコの遺伝子を組みかえることで、たとえば蛍光色に発光する絹糸をつくりだすことができたそうです。
こんな絹糸を使えばライブで光る三味線弦とかも製造可能だと思いますが・・・。
さて、見かけの派手さが必要かどうかはさておき。そもそも三味線の弦が黄色に塗ってあるのは、強度アップのために昔たまごの黄身を塗っていた名残だとか・・・(^^;
遺伝子組み換えが良いか悪いかの賛否は別にしても、強度がもっと高い「切れない絹糸」なんかが出てくると服飾業界でも三味線弦でも、かなり嬉しい製品になることはまちがいないでしょうね。
・・・ちなみに、そんな私は最近奄美弦を愛用しています。ナイロン弦なのですが、細いわりに強度もあって、繊細かつ大胆な音色を出してくれます。
楽器との相性なのかもしれませんが、手作り三味線は絹糸を張るより奄美弦を張るほうがいい音がします。
2008年10月24日金曜日
【三線ism】 youtubeがJASRACに対応!
さてみなさんこんにちは
今日のyahoo!ニュースにyoutubeがJASRACと音楽著作権の包括利用許諾契約を締結したとのニュースが載っていました。
youtubeを利用している身としては、たいへんありがたいことですm(_ _)m
youtubeとJASRACが契約
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081023-00000031-inet-inet
なにができて何がダメなのかはこちら
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081023-00000002-jct-sci
JASRACの功罪については、いろんな意見があるところですが、いますぐどうこう改善されるわけもないと思うのでボチボチつきあっていくしかないのかなあ、と思います。
ホントは左大文字流コード対応のソングブック・コード本みたいなのも編集したいのですが、JASRACさんを避けては通れないので、これもゆるゆるやろうと思っています。
2008年10月21日火曜日
【三線ism】 アンジェラ・アキさんの唄を弾いてみました(^^;
さてみなさんこんにちは
この間も少し触れたのですが、アンジェラ・アキさんの「手紙 ~十五の君へ~」を弾いてみました。歌ってるのはまた奥さんです。
一発録音だったので、歌詞が抜けてるとか途中で笑ってるとか、三味線がどんどん早くなるとか面白いところがいっぱいあるのですが、今回はめずらしく
「原曲キーとおなじキーで弾く」
という技を使ってます(^^
というわけで、演奏よりそこに注目!
いつものように相対コードで弾いていますが、カポを3フレット(というよりポジションか笑)につけてます。CFC調弦でここにカポするとちょうど原曲どおりの音になります。
私の声で歌うとだいぶ高いので声がでませんが女性はこっちのほうがいいと思います。
手紙 ~拝啓 十五の君へ~ 三線・三味線で
カポを使いこなせるようになると。まさにギターのように変幻自在ですね。三味線だと○本調子とか調子を変える際に、無理して弦のテンションを上げてしまったり下げすぎたりしますが、カポがあるとかなり自由度が増します(^^
2008年10月19日日曜日
【三線ism】 どんぶらこの研究 子供向け教育楽器?!
さてみなさんこんにちは
先日から子供向け三線・二線の「ごんたん」と「どんぶらこ」について研究している左大文字です。
考えてみれば日本の音楽教育では、弦楽器というものにあまり触りません。
小学校では鍵盤ハーモニカ、そしてリコーダーが定番楽器ですが、中高へ進んでもアルトリコーダーが増えるだけで、結局弦楽器には触れないままのようです。
最近では和楽器も学校で扱いなさいということで箏や三味線に触れる機会はあるようですが、それでももうすこし小さいうちから弦楽器に触れてもいいのではないかしら、と思うわけで。
さて、子供たちが触るに理想的な弦楽器とはどんなものでしょうか。
鍵盤ハーモニカは、鍵盤楽器入門にはたいへん適していると思います。リコーダーも簡単に音が出ますから吹奏楽器の入門編としてはバッチリです。ところが、鍵盤ハーモニカは大人になってから楽団やバンドで演奏する楽器としては超マイナーです。リコーダーですら吹奏楽部で吹いている人はほとんどありません。
つまり日本の音楽教育は、楽器のメジャー性マイナー性についてはぜんぜん無頓着であることがわかります。将来的に広まっている楽器を勉強する必要はないという考えなのでしょうかね。
だとすれば、どんぶらこなんていい教材だと思うのですが(笑)
弦楽器で、最低限のハーモニーが出せるように複弦にしていますし、けっこう乱暴に取り扱っても大丈夫です。他にはあまり使われない楽器かもしれませんが、三味線楽器にすぐに移行できるようになっています。
どんぶらこで学習できることはたくさんあります。
①調弦
子供向け楽器の大半はチューニング不要ですが、チューニングという概念はきちんと学んでおかねばならない概念です。だからどんぶらこでは最低1弦をなんらかの基準音にあわせて調弦し、2弦目を1弦目を利用してチューニングすることができます。
移調の概念とか、カポなどを使えば鍵盤楽器よりはるかにわかりやすいのではないでしょうか?
②ポジション
音は無限大ですが、人は音階を有限のものとして扱うことがわかります。フレット楽器で得られない音のひろがりの面白さが三味線楽器では学習できます。
③ストロークやアルペジオ
どんぶらこは複弦楽器なので、単音だけでなくストロークやアルペジオが最低限度学習できます。
・・・というわけで子供さんの弦楽器入門用にポジションをふってみたのが下の写真です。
西洋音楽との親和性を高めるために、まずはドレミファソラシドから入ります。のちに、半音のポジションを学習してもよいかも(^^
調弦は三味線楽器の下2本と同じですから、コード弾きもそのまま移植できるようになっていますよ。
2008年10月16日木曜日
トンコリンの演奏法 コードで弾いてみる
今回はトンコリン演奏法の第二弾です。
以前は三線・三味線的な弾き方についてちょっと書きましたが、youtubeでデモしているような「コード演奏」はどうやっているのか、ということについてです。
世の中にはコードで演奏する弦楽器がたくさんあって、身近なところではギター(6弦)とかウクレレ(4弦)がありますね。最近では、BIGINの発案した「一五一会」(4弦)シリーズなんかもコード楽器として定着しつつあります。
トンコリンも4弦仕様や6弦仕様にすれば、ギターやウクレレのコードが使えるのですが、三味線とのコラボなので3弦仕様です。
3弦の楽器でコードが弾ける楽器は、メジャーな世界ではあまり存在しません。日本発の楽器で、一部の方に人気があるのが「ミンミン」です。これは3弦のギターみたいなやつ。おなじようなシステムで、アメリカ発なのが「ストラムスティック」です。こっちも3弦なのですが、フレットの打ち方が変わっていて、半音が出せなくなっていたりします。
偶然なのかわかりませんが、ミンミンもストラムスティックも形はそっくりです(^^涙型というかひょうたん型というか、ハクション大魔王のつぼみたいな形で棹を伸ばしたような感じです(笑)
ミンミンもストラムスティックも、パワーコードみたいなチューニングを使うのですが、トンコリンあくまでもトンコリ+三味線なので、三味線のオーソドックスなチューニングである「本調子」にあわせています。
したがって開放弦は低いC・F・高いCに調弦します。スタートはCでなくても本調子であればなんでもかまいません。
肝心のコードの押さえ方は、三味線や三線用のコード体系である「左大文字流コード」を流用しています。
左大文字流の考え方では、楽器というのはパソコンみたいな「うつわ」「ハードウエア」ですので、そこで実際にどんなジャンルの音楽を奏でるか、というのは「なかみ」「ソフトウエア」に当たります。
また、ドレミファソラシドみたいな音階とか音律といった概念は、どんなソフトを奏でるかのベースとなる「OS(オペレーティングシステム)」に相当するわけです。
和な音階で三味線を弾けば、民謡や邦楽になるでしょうし、ドレミの音階を使えば、どんな楽器でも洋楽が奏でられます。
というわけで、左大文字流のコード体系を使えば、どんな楽器でも3本弦の楽器なら和音が楽しめるはずだ、というわけです。
上のリンク先には、三味線楽器でコードを弾く場合の理論も載っていますので、ご参考に。
【三線ism】 手紙 ~拝啓 十五の君へ~
さてみなさんこんにちは
最近、ラジオでこの曲を聴いてにやりとしてしまいました(^^
アンジェラ・アキさんの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」ですが、中学生用の合唱曲として作られただけあってめちゃくちゃわかりやすいコード進行ですね。
左大文字流の三線・三味線コード弾きで弾く場合は、基本の5つのコードで大半が弾けます。
ただ、サビの一部であまりつかわないコードが1つだけ出てくるのと、一部転調するところがちょっとややこしいかもしれません。
挑戦してみたい人は
http://music.j-total.net/data/001a/070_ANGELA-AKI/006.html
にコード譜がありますので、練習してみてください。
相対コード型で弾く場合はCスタートです。(相対コードのほうがやりやすいです)
歌詞1番くらいならさらっと弾けると思います(^^
2008年10月11日土曜日
トンコリは「琴」なのか、それとも「リュート」か?
毎度おなじみ流浪のトンコリニストです。
トンコリそのものについて調べていると、どうやらいわゆる筝(そう)の先祖である和琴との共通点が見えてくるそうです。
琴というのは、外国のツィターやハープなんかもそうなのですが、基本的にチューニングされた開放弦だけを演奏する楽器ですね。
いわゆる筝は、琴柱という擬似ナット(上コマ)を各音階に合わせてセッティングするので、おおざっぱに言えば開放弦楽器だとも見ることができますね。
琴柱はフレットの代用品なのか、それともナットの代用品なのか、おもしろい論点かもしれません。
ところが、トンコリと関係の深い和琴も5弦・6弦の楽器なのですが琴柱を使います。むしろあの三味線みたいな糸巻きと糸蔵はない楽器で、調弦はもっぱら琴柱で行うわけです。
じゃあ、トンコリは結局「琴属」なのでしょうか?それとも糸巻きを持つ「リュート属」なのでしょうか?
私は、トンコリンを考え付いたときに単純にトンコリの胴(琴属)と三味線の棹(リュート属)をくっつけりゃいいや!と思っていたのですが、もしかするとはるか昔のアイヌの人々もおなじようなことを考えたのかもしれません。
トンコリが楽器としてどんなルーツをもつのかわかりませんが、単純に糸を張っただけの楽器(琴属)が和琴系で既に存在していて、あるいはモンゴルやシベリヤを経て馬頭琴のような糸巻きと糸蔵のヘッドが樺太方面へ入ってきたとしたら、そこで融合が起こっても不思議ではないわけです。
となると、私がトンコリンでやろうとしていることは、はるか昔のアイヌの人々が既に試みていたことになりますね。
つまり、南方から入ってきた琴システムと、北方から入ってきた糸巻き糸蔵システムを古代アイヌ民族が「くっつけた」という仮説が成り立つわけです(^^
あら、まさしくこの発想はトンコリン!!
・・・昔の人は偉大だなあと思いつつ、今日も温故知新に励みます!
【三線ism】 津軽三味線で・・・
さてみなさんこんにちは
三味線にもいろんな種類があるのですが、私は津軽三味線を弾いたことがありません。基本的に、長唄の細棹と地唄の中棹、三線ぐらいにしか触っていないので、東さわりのついた津軽系の三味線も、もちろん文楽などで使われる太棹も弾いたことがないのです(^^;
津軽三味線は吉田兄弟などで一時ブームが来て、それで演奏しておられる人口も多いと思うのですが、なぜか私の周りでは津軽三味線に触れる機会がなかったのは、やっぱり私が関西の人間だからでしょうか?(笑)
津軽三味線は関東以北が多く、地唄・三曲系は関西が多いような気がしています。
さて、その津軽三味線ですが、ベースとなるチューニングが二上がりのことが多いようです。もちろんどの流派でも本調子・二上がり・三下がりは共通して使用するチューニングなのですが(沖縄三線でもおなじです)中でも津軽三味線は二上がりを多用するようです。
で、その二上がりのままコード化できないかどうかちょっと実験しているのですが、結果から先に言えば、あまりうまくいっていません(T_T)
もともと最初に三味線のコードを開発したとき、私は大学生でしたが最初にコードで弾いたのが、
氷室京介のKISS ME
http://ja.wikipedia.org/wiki/KISS_ME_(%E6%B0%B7%E5%AE%A4%E4%BA%AC%E4%BB%8B)
でした(笑)
その頃、かなりヒットしていたポップスでロックだったので、きっとそのときの私は「とりあえずこれを弾いてみよう」とチャレンジしたのだと思います。
で、そのとき最初にコードを組もうとして使ったのが二上がり調弦だったわけです。なぜいきなり二上がりだったのかは覚えていませんが、きっと長い棹の長唄三味線でなるべく押さえやすくするには二上がりがちょうどよかったからだと思います。
ところが、いくつかのコードはいいのですが、どうしても棹が長いのと二上がりでの音の配置がうまくいかず、押さえられないポジションがたくさん出てきてしまったのです。
そこで、「じゃあ、本調子ならどうだろう」と組なおしたところ、いまでいう相対コードの「F」がセーハしなくちゃならないみたいに、「そこそこめんどくさい押さえ方なんだけど、全体的にはまともに押さえられる」ことがわかってきたので、本調子に変えたような記憶があります。
というわけで二上がりでの三味線コードはまだ研究途上です(^^;
2008年10月7日火曜日
【三線ism】 新作ができました(笑) 「どんぶらこ」と「ごんたん」
さてみなさんこんにちは
先日、カザフスタンの楽器「ドンブラ」について書きましたが、どうしても2弦の楽器を作ってみたかったので試作してみました。
ついでにいつものとおり同じサイズの三味線も作ったのですが、このふたつは兄弟作品ということでデザインをそろえてみました(^^
コンセプトは「こどもが弾きたくなるような楽器」ということで、思い切ったアレンジデザインを採用。
2弦のほうが、ドンブラをもじった「どんぶらこ」3弦のほうが宮崎の木製三味線「ゴッタン」をもじった「ごんたん」です。ゴンタなこどものイメージで(笑)
サイズはシャミレレなので、音もシャミレレに近いです。ただ、ちょっとだけ胴の容積が増えている関係でニュアンスが微妙に変わっています。
気づく方は少ないかもしれませんが、胴の形がかなりいびつです。左右対称にならないように作っています。各辺の長さが全部違うので、ばらばらな形の四角形だと思ってください。
なぜこんな形にしたかというと、子供に興味を持ってもらいたかったので、こどもが描く顔の絵や、四角をイメージして、とにかく自由自在な形にしたわけです。
演奏のしやすさにはあまり関係がないようですが・・・。
小さな子供でも三味線楽器に興味をもってくれれば、その後の成長での邦楽への関心度合いが変わってくるかもしれませんね。いかがでしょうか?
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