2008年6月12日木曜日

【三線ism】 三味線をめぐる雑学



さてみなさんこんにちは

 とりあえず、こと三味線や三線にかかわることなら貪欲に吸収してしまいたい左大文字ですが、今日は三味線にまつわるいろんな雑学を。

<三味線と琵琶のちがい>

 世界の楽器というのは、共通の祖先をもつことが多いのですが、私たちの三味線や三線も「和楽器」とはいいながら世界の楽器とつながっています。
 直接的には、三味線は三線がお兄さんで、三線は中国の三弦(サムシェン)という楽器がお兄さんにあたります。

 きっとシルクロードなんかを通ってアジア・ヨーロッパの楽器はどこかで繋がってゆくのでしょうが、国際的には三味線類は「リュート属」に属することになっています。
 
 日本には、三味線のほかにもリュート属に属する楽器があって、それは「琵琶」です。この琵琶は、ヨーロッパでギターなんかのご先祖になった「リュート」の派生楽器です。サウンドホールがギターみたいに真ん中に開いてると「リュート」っぽくなり、バイオリンみたいに両サイドにあいてると「琵琶」っぽくなりますが、構造はとても似た楽器です。中国にも琵琶はあります(^^

 で、遠いご先祖はおんなじかもしれない三味線と琵琶なのですが、構造的には、琵琶はネックと胴が近くて繋がっている、三味線はネックと胴が離れている(棹が長い)という違いがあるそうです。

 この分類をもとにすると、ギターはネックと胴が離れているので「三味線」と親類になるそうです。
馬頭琴なんかも、ネックと胴が離れてますなあ。


<インドのシタールと三味線のそこはかとない関係>

 インド音楽といえば、どこからともなく聞こえてくるあの「シタール」の音色ですね。びよよん、を多重録音したみたいな不思議な音のシタールですが、あの楽器は三味線と深い関係があるそうです。

 現代のシタールは19弦とがかなりたくさんの弦を張ります。おまけにその中には弾かない弦(副弦・共鳴弦)なんかもありますので、複雑な楽器なのですが、その語源は、なんと三絃だそうです。

 もともとシタールの語源は「セタール」というペルシャがどっかの楽器なのだそうですが、このセタールの意味はセ(3)・タール(弦)なのだそうです。

 ペルシャのセタール、中国の三弦(サムシェン)、琉球の三線、日本の三味線、とシルクロードがつながった感じですね。

 ちなみに、シルクロードの終着点というのは日本なのだとか(^^ 正倉院にペルシャからのものと思われる琵琶が収められているのは有名なお話。


<工工四の正体>

 三線弾きなら言わずと知れた「工工四」ですが、実は大半の人はその正体をよく知らないまま、そんなもんかと思いながら弾いていると思います。
 「琉球王国だから中国の楽譜なんだろう」ぐらいに思ってしまうのですが、実は

 『江戸時代のそこらへんのアマチュアミュージシャンは、みんな工工四が読めた』
とか
『工工四が演歌を生んだ』
とか
聞くとびっくり仰天してしまうのではないでしょうか(おおげさですが(^^;)

 工工四は沖縄で体系が完成されたものですが、もともとは「工尺譜(こうせきふ)」という中国の楽譜です。明治期に西洋音楽が入ってきて、抹殺されてしまいましたが、それまでは日本国内どこでもこの「工尺譜」がメジャーでしたから、おおげさながら日本人はみんな「工工四が読めた」と言えるわけです。

 これも裏事情がたくさんあって、江戸時代は身分制度ですから、身分によって演奏できる音楽とかできない音楽とか縛りがたくさんあるわけです。ところが、中国から明楽とか清楽という新しい音楽が入ってきて、身分にしばられず誰もが楽しめるようになったとのこと。

 つまりは、現代風に言えば、洋楽とかロックが入ってきて、庶民が夢中になったというわけです。

 この明清楽の楽譜が「工尺譜」でしたから、月琴とか三絃とかチャルメラとか胡弓なんかをみなさん「工尺譜」で楽しんだというわけ。

 おまけに、明治に入って自由民権運動の活動家たちが演説しながら月琴を弾きまくるという「演(説)歌」をはじめますから、あなどれません。
 
 しっかし、明治の音楽教育はいきなり「西洋音階ばんざい!」だし、君が代のメロディを外国の人に依頼したりするし(実際には日本人が作曲しましたが)、よほどの西洋かぶれだったのですね。

 現代の邦楽の衰退も、実は明治政府のしわざといえるかもしれませんね。


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