2007年10月29日月曜日

【三線ism】 ラワンがない! 事件はホームセンターで起きてるんだ!!!



 さてみなさん聞いてください!

 いつものように楽器の材料を仕入れようとホームセンターにいったのですが、驚きの出来事がありました。

 最初は某○ーナンに行って、それから○メリ、○グロ、○ーヤルなどの各ホームセンターも巡ってみたのですが、木材売り場に2ヶ月ほど行っていない間に、事件が起きていたのです。


 それは何と、我々DIY派にはなくてはならない木材、


「ラワン」


がないのです!!!

 どうやら、業界の人にとっては当たり前のようなこの事件なのですが、私は木材卸の専門家ではありませんので、今日やっと気づいた次第です。

 各ホームセンターの木材売り場から、いっせいに消えてしまった南洋材の「ラワン」。どうやら「安くて加工しやすい木材」として乱獲されてしまったあげく、輸入量が極端に減ってしまったというのです。

 ラワン絶滅?!ということはないでしょうが、少なくとも経済的レベルでは絶滅危惧種になってしまいました。

 現在、もともとラワンがあったコーナーには、大抵が杉とか松のたぐいが入荷してとりあえず誤魔化されています。


 うーん、環境破壊が身近に感じられた瞬間でした。

 さて、困ったのが私の三味線づくり。ラワンは密度が低く、けして楽器づくりによい材料ではないのですが、節やスジが極端に少なくて加工しやすいことから、ある意味手作り楽器に最適な素材だったのです。

 杉や松だと、ラワンより軽すぎたり、繊維がじゃまして切削にコツがいったりするので、私はあまり好きではなかったのです。

 楽器に不適なラワンと言っても、材料によっては赤みが強く、身が締まって重量もある材が混じっていたりするので、それをより分けるのも、ちょっとした楽しみだったのに・・・。


 とりあえずは、松系の材料でうまく作れるか試してみようと思っていますが、このままラワンが過去の遺物になってしまうとしたら、すごい恐ろしいことですね。

2007年10月23日火曜日

【三線ism】 貧乏暇ナシ



 さてみなさんこんにちは

 基本的に、あまりお金に縁のない大文字です(^^;

 でも人の縁や、いろんなつながり・かかわりは大事にしてゆきたいと思う今日この頃。

 先週末は、ピアニカリサイタルの撮影に費やし、その後、友人宅で食事をいただきながら、「芸道とは」という難しい話題について議論?(笑)に励んでおりました。

 週が明けて昨日今日は、まだ公開できませんが三味線関係の一大プロジェクトの完成に向けて戦っております。今も、そのプロモーションビデオの編集に疲れて、ブログに向かっているところです。

 それが終わると、映像関係で作らねばならない作品が2つ3つ抱えておりまして、11月はなかなかのハードスケジュールになりそうです。

 先日報告した映像の大会(公開審査会)も、妻と妹に行ってもらい、私は残っていろんな雑務を片付ける予定です。

 三絃関係では、「コード弾きでぜひ弾いてみたい!」とおっしゃってくれた方がメールをくださいましたので、いろんな形でサポートしてゆきたいと思っています。

 また、シャミレレに興味がある!という御仁もおられるので、至急にそちらもサポートする予定です。

 忙しいということは、充実した毎日を送っているということですので、よしとしましょう!!

 (あんまりお金になったりしないことばかりなのが、私らしいかもしれません)


2007年10月18日木曜日

【三線ism】  映像系



 さてみなさんこんにちは

 北海道のとある映像コンテストで、拙作が入選したようです(^^;
 
 最終順位は大会当日に確定のようで、出席できるかどうか検討中。

 今年はあまり映像で活動していなかったので、入選の知らせを聞いてちょっと安心です。



 2006年は大会6本(6作品)入賞+テレビ放映(CS)1本

でしたが、

 今年はまだ大会3本入賞+テレビ放映(CS)1本

のみなので、ダメですねえ。今年は地上波放映も狙ってるのですが(笑)

 三味線にうつつを抜かしていたことが、ちゃんと結果に現れてしまいますね。


2007年10月15日月曜日

【三線ism】 合理的シリーズ 三味線大解剖編



 さてみなさんこんにちは

 前回は「伝統って合理的」な話を書きましたが、今回はまたまたハードウエアに戻ってみます。

 いつも三味線や三線のような楽器を作っていて思うことなのですが、つくづく「よーできてるなあ」と思うわけです。いろんな楽器があって、それぞれ好き放題の形をしているようですが、三味線や三線はそれはもう「三味線・三線としてよくできている」「まさに合理的な形になっている」のです。

 三味線作っている人もきっと、「昔からこうなってるんだからこうなんだろう」と思っていることでも、一からこの楽器を創造してみると、その理由が「なあるほど」とわかる。今日はそんなお話です。


① 天神はなぜあんなに反り返っているか。

 ギターのヘッドなんかはまっすぐですが、三味線や三線のヘッドはそっくり返っています。これにはいろんな意味があります。まず、そっくりかえることで、弦が棹の表面に対して鋭角で糸蔵へと入っていきますから、弦のテンション(張力)を稼ぐことができます。ギターなんかは張力がないので、わざわ張力を上げるために金具で押さえつけるモデルもあるぐらいですから、まったくもって合理的(笑)

 また、天神のそっくり返った頂点は、実は本体を寝かせたときに、胴の一番下と綺麗にならぶようになってます。(沖縄三線の型の中には、そうなっていない型もあります)そして、なんということでしょう!天神のほんとうの先のカットは、一見棹に対して斜めに落としてあるように見えますが、実は棹の木材に対しては垂直に落とされているのです!!!
 つまり、三線も三味線も天神のさきっちょと、胴の一番後ろ(立てれば下になるところ)は、完全に平行になっている。これはもう合理性の美ともいうべき美しさですね。


② 乳袋はなんのためにあるのか。

 これは誰もそんなことに言及してないのですが、乳袋のない、端から端までまっすぐな棹で三味線を作っている私にはわかるのです。(前に写真を載せていた簡易版板張り三味線を見てくださいね)

 乳袋とは、実は糸巻き(からくい)に左手があたらないためのストッパーなのです。三線では左手はほとんど固定して弾くので、からくいに手がぶつかることはあまりありませんが、三味線では、左手をハイポジからローポジまで激しく動かすので、勢いで一番下の糸巻きに当たるのです。
 でも、乳袋があると、糸巻きに触れずに停止できます。
 三味線の糸巻きは、ご存知のようにすぐにチューニングが狂います。そこになるべく触れないように、ギターやウクレレにはない乳袋がついているのです。なんということでしょう!!!


③ 三線の糸蔵は小さいが、三味線の糸蔵はでかい。

 ぱっと見ると同じような形に見える糸蔵ですが、三線と三味線は根本的に違いがあります。構造的・原理的にはおなじなのですが、糸巻きの刺さっている角度が違うのです!!

 三味線は平行に糸巻きが刺さっていますが、三線は角度がついて刺さっています。この角度が絶妙で、ちょうど人間の手が入るサイズになるように角度がついているのです。三味線は糸蔵がでかいので、角度をつけなくても手が入ります。

 この三線の絶妙具合は、ためしに三線の糸蔵をひとつ作ってみればわかります。何にも知らない人は、きちんと直角に3つの穴をあけようとするので、まず90%以上の確率で、「あれ、これ手が入らない。チューニングできない」という三線ができあがります(笑)
 実は私が三線タイプの楽器を作るときに、一番気をつかうのがここです。ここぞ!という角度でドリルを突き立てるのがミソなのです。


④ あの根緒を考えた人は、天才(笑)

 三味線も三線も根緒というパーツがあります。あの組みひもでできた根緒は、実はひもをくるくると編んでいるだけで、縛り付けたり接着したりいっさいしていません。弦の張力と自分の編まれ方だけで、狂わずどんどん締まっていくあの根緒のすごさたるや、誰も気付かないけどもはやダヴィンチの域です。
 もちろん、あの弦の結び方も天才的ですよね。縛ったり堅むすびしないのに、ほどけず、すぐに外せるなんて、驚愕です。

 

2007年10月13日土曜日

【三線ism】  薬指のお話 ~伝統とはなんぞや~



 さてみなさんこんにちは

 先日からのソフトウエア談義の発展ですが、今日は伝統とか流派とか、そういうことについて考えてみたいと思います。

 実は、youtubeの映像を見て「左大文字流で三線をやってみたい」という方から連絡をいただきまして、たいへん嬉しい気持ちになると同時に、ちょっと思うところがあったのです。

 というのも、「三線をやりたい・習いたい」ということは簡単なことのようでいて、実は難しい問題もあるのです。

①三線という楽器に興味がある
②沖縄民謡に興味がある

ではニュアンスも違います。

それは、

①ビギンや夏川りみさんの曲とか弾いてみたい
②沖縄民謡を弾いてみたい

の違いにも近いかもしれません。

 というのも、ポップスや自分の楽しみとしての三線や民謡(に近いもの)は比較的自由なのですが、「きちんと学ぶ」となると、それぞれの流派の伝統やしきたりなどがあって、ある程度「こうしなさい」とか「こうすべき」という制約が生まれてくるからです。

 その一番簡単な例が「薬指」を使うか使わないか、という問題ですね。


 沖縄民謡で三線を弾く場合、薬指は使わないし、いろんな教本や先生や、ネットなどでのアドバイスでは「あなたが沖縄民謡をきちんとやりたいなら、薬指は使ってはいけません」というニュアンスでかならず教えられるのです。


 逆に、邦楽の「三味線」を弾く場合、これは薬指のテクニックが必須です。使わなければ、特定の音が絶対に出ないし、絶対に使うべきものでもあります。


 さて、左大文字流では?となるとこれは「使わなくても可能ですが、使います」という回答になります。

 ここで、やっぱり伝統と流派の制約がひっかかるのです。

 左大文字流や邦楽から沖縄民謡に入ろうとすると、きっと「薬指つかっちゃだめだよ」と叱られることでしょう。逆に三線をやっていて左大文字流で弾こうとすれば、「え?薬指使うの?」と違和感を覚えたりすると思うのです。


 弾く音楽にあわせて使い分けられればよいのでしょうが、人間体で覚えてしまうものは、なかなか正せませんよね。難しいところだと思います。


 じゃあ、なぜそういう制約があるかということですが、これは「試行錯誤のすえのその音楽における『合理性』に起因します。

 簡単に言えば、昔の人がいろいろやってみて、それがいちばん楽だったりうまくいったり合理的だったからそうしたのです。

 これは三線もやるし三味線も弾くし、どちらも作ったことがある人間だから、なるほどとわかることなのですが・・・。


 詳しい証明をすると、こうなります。

①実は沖縄の三線で薬指を使わないのも、本土の三味線で薬指を使うのもまったくおなじ原理・原則が支配している。

②沖縄の三線は音階とと三線の勘所の関係が密接で、沖縄音階を演奏する際に複雑なポジション移動を必要としないため、三本の絃とも基本的にはおなじ位置をおさえれば音階になる。

③本州の三味線は音階とポジションが関連しておらず、なおかつ中国や沖縄の三線よりも棹を長くしてハイポジションまで弾けるようにしてあるので、左手は上から下まで幅広く動かす。

④ということは、三線では左手の位置を基本的に固定し、三味線では左手は自在に動かすことになる。

⑤ここで、両者に共通している原則があって、「となり合う指」を使わないというポイントがあります。

⑥これはちょっとわかりにくいのですが、三味線では、人差し指を基本にして棹の上下をスライドしてゆきます。このとき、ハジキや絃を打つという装飾音を用いることがあるのですが、この音を出すには、人差し指を基本としたときに、となりの指である「中指」を使うと物理的に苦しい(あるいはチカラが入らない)ので「薬指」を多用することになるのです。  

⑦おそらくこれと同じ原理で、三線は中指が基本になっており、となりの「薬指」を使わないで「小指」を使うことになるわけです。

⑧もっと詳細に検討すれば、弦に対する指の角度の問題や、押さえる指の力学的な問題もあるのかもしれませんが・・・。

 ということはこれは、その音楽ジャンルや楽器特性の必要性から合理的に生まれたことであって、伝統とはつまり「合理的なこと」「そのほうがやりやすい・楽なこと」の集大成だともいえるのです。


 翻って左大文字流は、なんてったってできたてホヤホヤの流派ですから、まだまだこれから「こうしたほうがいいぞ」とか「このほうが合理的」なことがたくさん見つかるはずです。


 でもまあ、三味線でいうハジキやクラシックギターとおなじような運指をする左大文字流にとって、薬指は「使う」ものなんですがね(笑)


2007年10月12日金曜日

【三線ism】  三味線で「X japan」




さてみなさんこんにちは

 youtube経由で左大文字流について知って頂いている方がたくさんいるようですね。やっぱり百聞は一見にしかず、なのかもしれません。

 というわけで、わかりやすいデモを二本作製しました(^^


① 左大文字流 「島人ぬ宝」





  http://jp.youtube.com/watch?v=EbLrDBPAnJo

  左大文字流のコード弾きは、三線そのものの演奏とも親和性があります。これはもう互換性といってもいいくらい(笑)

  おなじチューニングの三線2本で、一人がコード、一人が三線パートの演奏が可能です。

  デモではコードだけでの弾き語りですが、イントロでもわかるように、本来の三線パートとおなじ基本形で演奏できるのがわかるでしょうか?


② 三味線で「X japan」 Forever love




http://jp.youtube.com/watch?v=2xIR46WQZGg

三線や三味線って限定された音楽のようですが、そうでないことの証としてやってみました(笑)

  コード弾きですから、基本的にジャンルも問わないし、なんでもできるわけです。

  こういう試みで、もっともっと三味線という楽器の可能性が広がれば面白いですね。



2007年10月11日木曜日

【三線ism】  音楽の入り口



 さてみなさんこんにちは

 先日から引き続いて考えている音楽の「ハード」と「ソフト」のお話ですが、今日は「なぜ楽器をやるのか?」という入り口部分を考えてみたいと思います。

 たとえばピアノ。これは「女性の教養として」とか「友達もやってるから」などの理由ではじめることが多いですね。「ピアノぐらい習っとかないと」みたいな(笑)

 ということは、ピアノは社会的(ジェンダーの問題かもしれません)需要に基づいて広まっているわけで、おなじ楽器でも「バイオリンぐらいやっとかないと」みたいなのはポピュラーではありません。

(もしかしたらセレブは「バイオリンぐらいやっとかないと」なのでしょうか?)

 それに対して、ギターやウクレレはけっこうポジティブなところから入ります。
「あのバンドのマネがしたい」「あの曲かっこいい!僕もわたしも」みたいな感じで、かなり能動的に選択されていることがわかります。

 吹奏楽系は、「体育系の部活以外だったら、吹奏楽部しかない」みたいな微妙なのもあるし、みんなでやればこわくない、みたいなところもあるでしょう。

 三線や三味線も、「やってみたい!!」という強い意志から入るものでしょうから、ギター的かもしれません。もちろん、昨今は学校の授業で和楽器に触れることもあるようなので、そこから興味を持つ人も多いかもしれませんね。


 「なんかやっといたほうがいいんじゃないか」
 「やってみたい」
 「やらされたら意外に面白そう」

という3パターンくらいの入り口があるとして、そこへどう誘ってゆくか、導いてゆくかがこの世界のキモだと思います。

 というのも、この話は実は楽器を取り上げていますが、他の伝統芸能や習い事にも共通するからです。

 スイミングとか、習字とか、そろばんとか・・・。
 茶道とか華道とか・・・。

 ほんとうは「やってみたい!」を増やしたいところですが、なかなかそこまで到達しないことが多いですね。

 華道茶道なんかは、ひと昔まえまでは「やっといたほうが」という牽引力がありましたが、いまはそうではないようです。
 
 で、それぞれどんなことでも「やってみたら意外に面白い」もので、やっぱり最初の入り口が大事だなあと思います。


2007年10月9日火曜日

寂しい夜は吹いてみる ~ピアニカな夜ライブ~



 さてみなさんこんにちは

 数日前から、わたしが製作したピアニカ映像がyoutubeにアップされています。

 告知のほうは前に書きましたので、今回は映像に注目(笑)


 MU楽団 ピアニカPRビデオ「寂しい夜は吹いてみる」

 http://jp.youtube.com/watch?v=xWVYYegiA2U

 
 間接照明で苦労しましたが、あえてホワイトバランスを正確に取らずにあったかみのあるライブ映像に仕上げてみました。

 いつも、三線やシャミレレの映像では「荒っぽい」「なげやりな」「やる気ない」動画ばかりでごめんなさい。やる気になれば、やればできる子なんです。お許しくださいm(_ _)m

2カメを生かして、演奏者の表情もゆったりと撮ってます。お二人ともたいへんすばらしい演奏者ですので、ご堪能くださいませ。



2007年10月8日月曜日

【三線ism】 チターと「第三の男」 ~音楽市場はゲーム機とおなじ~



 さてみなさんこんにちは

 昨日、ウルルンで面白い内容をやっていました。大友康平氏が絶滅しかかっている楽器「チター」の最後の職人の元を訪れる、というものでしたが、ご覧になったかたおられるでしょうか?

 チター(ツィター)は寝かせて弾く台ギターに、コードとベース用の複弦がたくさん張られている楽器です。ギター部分で主旋律を弾き、同時にコードとベース音も鳴らすことができます。

 このチターが、演奏人口も激減し、楽器そのものも絶滅の危機に直面しているらしい、というないようのドキュメンタリーでした。

 肝心な大友氏は、複雑な楽器を前にして「僕はギタリストじゃなくてボーカリストなんだ~」と終始ビビッっておられましたが、それはおいといて(^^


 奇しくも先日から、「ハードウエア」としての楽器と「ソフトウエア」としての楽曲の関係について述べていますが、このチターの現状がまさにそれでしたね。

 番組中、何度もかかったあるメロディ、そして、楽器職人さんや関係者が口々に同じことを言うのが印象的でした。
 かかっていたメロディは「第三の男」のテーマ。そして、彼らは「『第三の男』以降チターの曲はヒット曲が出なかったから廃れていったんだ」と言うのです。



 チターという楽器は、もちろん、どんな音楽も奏でることができる。しかし、「第三の男」のヒットで需要が増えたし、逆にヒット曲がそれで途絶えたので、楽器も衰退したという事実。

 これは考えさせられる内容です。

 ピアノやギターといったメジャー楽器はまあよいとして、民族楽器やマイナーな楽器は、このソフトウエアの「ブーム」に翻弄されることがあると思います。
 ブームによる熱気は当然歓迎できますが、同時に「熱が冷めたあとの」楽器のあり方も忘れてはいけません。

 三味線でいえば、じょんがらのブームで太棹(東さわり付き)の「津軽三味線」はある程度の勢いがありますが、その他の三味線は絶滅危惧種です。
 吾妻さんや吉田兄弟など、ある程度間を空けないように「スター」を送り出しているからこそ、下火ながらもブームの残り火があるのでしょう。

 三線の世界では(沖縄県外と県内ではかなり様相が違いますが)、THE BOOMの島唄から本土では三線が認知され、その後ビギンや夏川りみさん、今のやなわらばーに至るまで「コンスタントにソフトが投入されている」からこそ、市場が盛り上がっているといえるでしょう。


 つまり、「ソフトがなければただの箱」ということが、実は楽器の世界にもかなりあてはまるわけです。

 もっとつきつめれば、昔は任天堂VSセガ、そして今は任天堂VSソニーのゲーム機に関わるマーケティングと「伝統芸能の継承と発展」は、

 おなじテーマと原理

なんだ!と言ってもいいわけです。


 ということは、いま伝統楽器の復活のためにいろんな活動があるけれども、単純な「伝統への回帰」や「鑑賞機会の拡充」では、伝統楽器は復活しない、という仮説が立てられるわけですね。


 「長唄をなんぼ聞いても、六段の調べがいくらかかっても、民謡がいくら聞こえてきても


  ダメ・無駄・ムリ!」


だという仮説です。


 その楽器を発展させようと思ったら、「いま、まさにon timeな音楽」である新製品ソフトウエアを投入する必要があるわけです。

 沖縄民謡のすごいところは、いわゆる古典から、民謡、新作民謡、そして歌謡曲・ポップスにいたるまで、すべてのジャンルが「いま」に向かって連綿と続いているところだと思います。

 ビギンがポップスと民謡を同時に歌う。これは、福山まさはるがライブで炭鉱節を歌うことに匹敵します。幸田くみは河内音頭を歌いませんし、東京音頭を歌うシンガーソングライターはいません。


 だからこそ、左大文字流の活動は、「意味がある」という結論になったのですが手前味噌でしょうか?(^^;

 三味線を愛するがゆえに、わたしは地唄を裏切るし、三線を愛するがゆえに、わたしは工工四から離反しています。

 あとは、もっと三味線・三線をポップに演奏できる「ソフトウエア(楽曲)が必要ですね。






2007年10月5日金曜日

【三線ism】  ヤマハとピアノとバイエルと



 さてみなさんこんにちは

 いつもハードウエア寄りのことばかり考えているので、たまにはソフトウエアのことを考えてみます。

 楽器というのはあきらかにハードウエアで、パソコンと同じで「箱」に過ぎません。その楽器を、「演奏する」ことがソフトウエアに相当するわけで、

 ①どんな楽曲(ジャンルや曲目など広い意味で)を演奏するか
 ②どんな流派に属して活動するか
 ③どんな機会で演奏するか

などがソフトウエアの各論になってくると思います。

 あんまり、こういう考え方はしないかもしれませんが、この楽器と音楽=ハードとソフト、という仮定が面白いので、今日はずっと考えてました。

 特に上の②なんかはソフトの中でもOSっぽくて面白いです。

 おなじピアノでも「ヤマハ」の人「カワイ」の人「バイエル」の人なんかがいて、最終的には同じ曲が弾けたりするんだけど、その下地で動いているOSが違う、みたいな(笑)


 この考え方でみると、もっと面白いことが見えてきます。長い歴史の中で、

<A> いろんなソフトウエアが生まれてくる中で、ハードウエアは統一に向かうベクトル


<B> いろんなソフトウエアが生まれてくる中で、ハードウエアがそれぞれに分かれてゆくベクトル

があるということです。


 Aに当たるのはピアノとかバイオリンなどですね。ジャズでもクラシックでも、カントリーでも、同じ楽器を違うテクニックで演奏する楽器です。

 Bに当たるのはギターですね。エレキ、フォーク、クラシックそれぞれに適したギターがどんどん生まれています。

 三味線はBです。だから流派によって使う楽器が違うし、横のソフトが広がってハードの互換性がなくなるわけですね。

 汎用性という意味では、Aがいいですね。国民の多くが、とりあえず「猫踏んじゃった」が弾けるというのは、やっぱりピアノがいろんな機会に「触れることのできる」「汎用的な」楽器だということだと思います。


2007年10月4日木曜日

【三線ism】 シャミレレ完全版 音デモ



さてみなさんこんにちは

 ・・・というわけで、完全版シャミレレの音を出してみました。

 三線としての能力、アルペジオ、コード、等いろいろいじっていますので、「こんな感じか~」とわかってもらえると思います。

 聴けば聴くほど、三線なんですけど(^_^;


 例によってyoutubeにお世話になります。





 http://jp.youtube.com/watch?v=QVsRW0ny7PM

【三線ism】 告知もかねて ピアニカリサイタル



 さてみなさんこんにちは

 昨日深夜2時までかかって、ピアニカ映像を仕上げておりました左大文字です(☆_☆;

 あまり難しい映像ではない(それほど凝ったつくりもしていない)のですが、機材トラブルにも見舞われ、てこずりました。

 本日、依頼主に発送したので、明日には、youtubeにでも載ると思います。

タイトルは「寂しい夜は吹いてみる」というピアニカとピアノのセッションを撮影したPRビデオみたいなもの。10月20日に本番の演奏会があるので、その予告編として「こんなことやってます」みたいな軽めの作品です。(あっさりと、わかりやすく、をモットーに)


 ちなみに告知です。

 ☆ピアニカリサイタル☆

 2007年10月20日 兵庫県西宮市甲東ホール 13:30開場 14:00開演

 料金 一般2000円 学生1000円

 問合せは http://www.musicunit.net/ を参照ください。


 当日、左大文字は会場で妻と二人で記録用のビデオカメラを回していると思います。

 部外者ながら、撮影スタッフということで(^^






2007年10月1日月曜日

【三線ism】 カタログNO.2 左大文字謹製「シャミレレ(三線仕様)」







「シャミレレ」(ウクレレ三線・ウクレレ三味線)

 弦長430㎜前後 松材・SPF材・ラワン等南洋材・ラミン材など使用

 全長600㎜前後 人工皮張り

 ☆参考価格 20000円(頒布を前提にした価格)

 (写真はオリジナル仕様。※上コマがなく、さわり防止パーツ装着)

 
 三味線・三線の「コード弾き」(左大文字流)専用に制作した極小タイプの楽器で、ベースは沖縄三線のスタイルを採っている。

 単音・コードで演奏する。音質は三線に準じる。


 スケール(弦長)はテナーウクレレと同じであるため、ソプラノウクレレよりは演奏の幅が広い。


 ☆もし購入希望の方がいらっしゃいましたら、

sanshin_ism34@yahoo.co.jp

  までご連絡くださいませ。
手作りですので、納期には2週間以上かかりますが・・・(^^;




こちらも、現在は製作終了









【三線ism】 シャミレレ完成版(これぞオリジナル三線) できました!!!




 さてみなさんこんにちは

 「きっといつかやるだろう」とみなさんも思っていたと思うこと、やってしまいました。

 わたしも「きっといつか自分はやってしまうだろう」と思っていたのですが(笑)


 はい、「完成版シャミレレ」公開です。


 全長約60センチで、棹が極端に短いシャミレレの「本格三線仕様」の登場です!!!


 肝心の音は、「普通の三線」です(笑)

 もともと板張りだったのでウクレレ寄りの音だったのが、完全に三線の音になってます(^^;




☆ 技術的な解説 ☆

 きっとみなさんが気になるだろう技術的な説明もしておきます。といっても、今回は自分で皮張ってません(_ _ ;

 前から公開していたシャミレレの胴を外して、沖縄から仕入れたチーガ(胴)のみを組み替えたのが今回の「完成版シャミレレ」です。

 ついでにそこらへんに転がってた「手掛け」をつければ、ハイできあがり!!

 今のところ仮組みなので、ブーアテ(胴と棹の接合の調整)はしてませんが、まあ90%ぐらいの性能は出てますね。

 で、気になる製作費用ですが、胴だけの仕入れで済んだので総合計2万円弱としておきましょう。

 予算を抑えるために、外国産の胴と人工皮を選択しましたので、ちょっとショボいですが・・・。

(本皮仕様にすると3万、人工皮でも柄がよいもの、質がよいものにすると2万5千円くらいになります)

 普通に安い三線買うのと変わりませんね。自分で作っているメリットがあまりありません(笑)

 

☆ 音質の解説 ☆

 自分で前から言っていたとおり、「人工皮はキンキン」します!さすがに三線胴を組んだだけあって、音量はかなり大きいです。板張り胴とくらべて1.5倍近く音量がアップしています。

 単音で演奏した場合は、・・・普通の三線とたぶん見分け(聞き分け)がつかないでしょう。

 コード弾きの場合は、普通の三線に対してハイポジション寄りの音になるので、かなり「カッチリ」した印象になります。好き嫌いがはっきりわかれる音質です。

 普通の三線でコード弾きするよりも、「音が堅い」印象があると思います。棹が短いゆえの性質ですね。

 今回は予算のこともあり、一番安い人工皮を選択しましたが、きっと「強化張り」仕様が一番この楽器に合うと思います。

 本皮でも、まだ音が堅く、二重張りの「こもった具合」が結果的にちょうど良いレベルになると思うのですが。



☆シャミレレの世界☆

 最近は観光みやげ用や、おもちゃ的用途で「ミニ三線」なるものが出回っていますが、「シャミレレ」はミニ三線とは違う部分がいくつかあります。

 まず、ミニ三線はふつうの三線のスケールダウンモデルか、あるいはまったく似つかない形でいちおう蛇皮を張ったものかの2種類があるのですが、どちらも全長が70センチ前後です。

 ふつうの三味線が76~78センチ、ミニ三線が70センチで、シャミレレは58~60センチです。

 また、ミニ三線は胴もスケールダウン(ちいさく)していますが、シャミレレはいまのところ普通の三線と同じサイズの胴を使っています。

 これがよいのか悪いのかはまだ検討の段階ですが、究極的には

「ひとつの胴で、シャミレレ棹か普通の棹かを選択して演奏するプレイヤー」

なんかが登場しても面白いかな、と思います。

 棹を組み替えて使う楽器、なんてあまりないでしょ?画期的かもしれません!