2025年6月23日月曜日

三線弦や三味線弦の代用になるものはあるか?!

 

 さてみなさんこんにちは。


 前回、前々回と実験を続けている「三味線弦の代用品」についてですが、いろいろ張ってみています。


 その中で、前回は新作ゴッタン「ポリリズム」に「水糸ナイロン」を張ってみたのですが、いちおう音が出ることは出ます。意外にもちゃんと鳴るので、逆に驚いたくらいです。


 ただ、「音の伸びがない」とか「ぽよんぽよんしている」とか、文句を言いだしたらキリがなく、よほど困った時意外には使わないかもしれないな、という感じがしています。


 ポイントは


◆ とにかく弦の硬さが必要


ということです。


 ナイロンテグスにしても、水糸・撚り糸にしても「ナイロンの繊維に対して、硬度が足りない」のが、楽器弦としての性能が落ちる最大原因だと思います。


 三味線弦のトップメーカーである丸三ハシモトさんでも、ホームページを見るとナイロン糸にしてもテトロン糸にしても、


レイトーン

https://www.marusan-hashimoto.com/product/items/?cate=14


”ガンマ線を照射して、硬質化させている”


と、おっそろしいことをさらっと書いていますが、たぶんこれがミソで、ほんとうに硬くないといい音にならないようです。


 で、実験として弦に「糊(でんぷん質)」をコーティングさせてみたりもしたのですが、たしかに糊付けすると弦に張りがでます。


 ただ、絹糸と違い、ナイロン繊維にデンプンコーティングしても、本質的にはなじまないので、(プラスティックとアミロースだから??)


 なんか微妙に違う!


感じになってしまうのです(笑)


★ 絹糸は主成分であるタンパク質「フィブロイン」とその周囲を覆う「セリシン」という2種類のタンパク質から構成されており、セリシンのほうは、水溶性があり、接着性もあるため糊とよく馴染むのだと思われます。

★ ナイロンも、実は吸湿性があるのですが、糊となじむのかは、なんとも・・・(苦笑)

★ 三味線系には「餅米糊」がよく使われますが、もしかしたら糸も「餅」コーティングなのかもしれません。

★ うるち米はアミロースのみで、餅米はアミロペクチンのみなので、そこらへんの違いがあるかも。

★ もしかするとナイロン繊維にも、「もち米糊」をコーティングすれば結果が違う?!


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 しかし、そこまで追求してゆくと、せっかく安い弦の代用品を探していたのに、結局


「三味線糸を作るのとおなじ工程を経て、コストがかかってまうやんけ!」


ということになりますね。


 というわけで、この段階としての「おすすめ代用弦」をセットアップしてしまいましょう。


 それは


 ◆ ナイロンテグス No10/No7/No5 のセットです。





 ちょっと三線よりは細くなりますが、長唄系細棹三味線糸との中間くらいになるでしょうか?


 このラインナップだとホームセンターや100均一などでも入手しやすいので、おすすめにしておきます。


No10 0.52ミリ

No7  0.435ミリ

No5  0.37ミリ


が基本で、ここからNo18 0.70ミリ くらいまではズラしてOKだと思います。

 ホームセンターでは、No10の次はNo30くらいしか置いていない場合が多いのですが、No30は0.91ミリもあるので、けっこう図太いです。


 撚り弦であれば0.9ミリでも違和感がないけれど、ストレート弦の0.9は、ぼよんぼよんでアタック感もなく、ちょっとしんどいと思います。


 ストレート弦ばかりになりますが、その分細めで「シュッとした感じでまとめて」ゆけば、まあ心地よく弾けるでしょう(笑)


 さて、ナイロンテグスの場合は、硬度がやや足りないので、弦伸びします。


 しばらくはチューニングが安定しませんが、そのうちきちんとおさまってくるので、ご安心ください。


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 実は市販三味線系楽器での「ナイロン弦・ストレート3本セット」は、採用例がけっこうあって、


 
 ↑ こちらは「えびのゴッタン」にデフォルトでついてきた弦です。ナイロン弦で黄色に着色してあるもの。3本ともストレートです。



 ↑ こちらもおなじようなストレートナイロン弦です。「小じゃみチントン」に付属するものです。わかりやすいように色分けしてあります。

 こんなふうに「1の糸=太い弦=男弦」などにもストレート弦を採用する例は意外とあるので、演奏感の好き嫌いはともかくとしても、音はちゃんと鳴る、ということですね。


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 しかし、普通の人は、普通に三味線弦なり、三線弦なりを買ったほうが早いと思います。


 イベントなどで「とにかく安価な手作り楽器と弦を大量に用意しないといけない」場面に出くわす左大文字ならではの実験でございました!!




(おしまい)

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