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2014年10月12日日曜日
「学校教育」と弦楽器 ~音楽の時間ではどうして弦楽器を習わないの?~ その2
前回は、「学校教育で弦楽器を扱わないのは”調弦”に手間取るからだ」という話をしました。
これは実はすごく大問題で、たしかに「チューニング」というのはとてつもなく大変な作業なのです。
小学校でもいいし、中学校でもかまいません。ピアノで「ポーン」とある音を鳴らして、その音に弦を合わせる作業を想像したら、すごく時間がかかるだろうなあ、と思いませんか?
今はチューニングメーターという便利な機械があるので、メーターの針を真ん中に合わせるだけですが、それでも、弦を張ったり伸ばしたり、時間が取られそうです。
ギターのチューニングなんか、6本もあるのでそれはもう大変です(苦笑)
最初のうちは、先生が手取り足取り「こうやるんだよ」と教えますから、1本のチューニングにつき1分かかるとすれば、既に1人で6分経過ですね。
40人いれば6×40で240分!なんと、授業5時間相当が、チューニングだけで消えてゆくことになるわけです(笑)
もう笑うしかない!
ですね。
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というわけで、どうやら日本の学校制度が変わらない限り、ギターが音楽の授業で必須になることはなさそうです。
それはまあ、仕方ないと納得しましょう。
と・こ・ろ・が
実は、この一見「無駄の集まり」のような作業が、私たちの心の奥深くに何か大切なものを植えつけていることに気付いているでしょうか?
そう、チューニングはものすごい精神修行(笑)なのです。
「ある音を聴いて、その音に合わせてチューニングする」
という作業は、初心者にとっては最も難しい作業です。楽器そのものを弾くことよりも、チューニング自体が難しいのです。
なので、バイオリンでも三味線でもギターでも、ウクレレでも、最初にチューニングすることを覚えます。
ただし、昨今のギター教室などは、「手間を避けるためにチューニングメーターを使うことを薦め」ていますが、あれはいけません(笑)
やはり、弦楽器道に正式に入門するためには「音を聴いてそれに合わせる」作業をマスターしなくてはならないのです。
なぜか?
音を聴いて合わせる作業ができるようになると、相対音感がきちんと身につきます。(絶対音感は別)
これが出来ると、歌が確実に上手になります。音痴には成り得ません。
これが出来ると、フレットがいらなくなります。どの音でも正確に鳴らせられるようになります。
バイオリンと三味線は、この「相対音感」だけで演奏する楽器なので、手元を一切見ずに、押さえる場所を一切指定しなくても、正しい音で弾ける様になるのです。
(もし仮に、ミクロン単位で押さえる場所がずれてしまっても、バイオリンと三味線奏者は、瞬時に正しい位置に修正することができます)
この「正しい音を自分の体に身に着ける」というのが、実は最高の音楽教育の賜物、音楽教育の本質なのですが、なかなか実践できている音楽の授業はありませんねえ。
というわけで、一般的な音楽の授業は、本質とはほど遠い「楽器演奏の表層」部分だけをなでて終わり、ということになっているのかもしれません。
(音楽教育を批判しているのではありません。一斉授業では、そもそも不可能だということを調弦の話で最初に提示しただけです)
そういう意味合いで、私が子供用に作った「どんぶらこ」は、ノンフレット楽器、かつ弦数を極力減らしているわけです。
僕は三味線からこの世界に入りましたが、稽古の最初は常に「調弦」をしっかりやることから始まりました。それも、邦楽はちょっと特殊なので、絶対音として正しい音に合わせるのではなく、リーダー格の人の楽器の音程に合わせる、という方法を取ります。
(西洋楽器の場合、基準ピッチが正確に決まっていて、それに合わせるのですが、邦楽器の場合は、その場でのえらいおっさんの出す音に合わせる)
特に、合奏をする際には、(これは吹奏楽でも同じですが)相手に合わせるということを一番に考えなくてはなりません。
これは、人生においても大事なことだと思います。なーんて。
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