さてみなさんこんにちは
毎度おなじみ、インク沼の時間です。
昨日から始めた「鉄インク(タンニン鉄インク)」の調合ですが、一日経つと、たいへんなことに!(まあ、こうなるのは当然なのですが)
昨日製造した「古典インク」ならぬ、タンニン鉄インク(ベース)ですが、左は10分くらいスチールウールを漬けたもの。右は丸一日スチールウールを漬けたものです。
ぱっと見は、昨日とおなじ雰囲気に見えますが、 蓋を開けたら違和感が・・・。
インクの液面の「ふち」がおかしい?のと、蓋の裏側についた水滴にもブツブツが・・・。
そうです!早くも鉄が現れて沈殿しているっぽい。
鉄イオンは二価と三価があって、前者は水溶性、後者は不溶性なので、カタマリとなって現れるんですね。
カタマリになってしまうと、インクとしては用を成しません。うーむ。これはこまった。
瓶から小分けして取り出してみました。左はスチールウールを10分漬け、右はまる一日漬けの液体です。
左は綺麗なブルーブラックの色味をしています。右は焦げ茶色。
いずれも、程度は違いますが、しっかり沈殿しております。撃沈。
これではインクではなく、もはや「つぶつぶ入りの液」でしかありません!
さて、これではせっかくの楽しい「自作インク沼」もオシマイになってしまうので、もう少しいろいろ実験してみましょう。
本来の中世インクや古典インクでは「硫酸」とか「塩酸」が使われていたそうですが、これらの酸を使うと、鉄がちゃんと溶けてくれる・・・らしいのですが。
というわけで、塩酸を準備!
どこでも買える塩酸といえば、「サンポール」です。トイレの尿石を溶かすのに用いられます。塩酸9.5%の成分表示がまぶしい。
(トイレ洗剤が全部塩酸なのではありません。サンポール一択です)
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というわけで、ここからは大実験です。沈殿を生じてしまった古典インクベースに、塩酸をぶちこむ、とどうなるでしょうね。
なんと!透明になるのです!インクはどこへ行った?!
この状態、酸の力で鉄イオンがちゃんと水溶状態に戻ったわけで、実は理想的な姿なのですが。
(漬け込み長)
いずれも透明ですが、色味が違うのは鉄のバランスが違うのでしょうね。ちなみに理想の鉄イオン水溶液は、無色透明に近いそうです。
(実はわずかに残っていますが、ほとんどの沈殿も溶けてしまっています)
もとの瓶にも塩酸投入。どんどんクリアになってゆきます。
・・・しかし、これは完全にインクではなさそう。
うまく調合したものは、この状態でペンにつけて文字を書くと、書いたそばから黒く発色するそうですが、今回の液体ではうまくいきませんでした!
うーむ。はてさて、ここからどうすれば清く正しいインクになってくれるのか。
試行錯誤は続きます・・・。
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