さてみなさんこんにちは。
前回の記事が6月30日だったので、あれからすっかり1ヶ月半はほったらかしだったインク沼のシリーズです。
いろいろ実験したいと思っていたのですが、楽器作りなどが忙しく、後回しになっていました。
前回までで「濃茶鉄インク」の基本的なレシピはなんとなく見えてきたのですが、今回は面白い発見があったのでぜひご紹介させてください。
↑じゃーん。
なんとも美しい琥珀色かつ透明な液体ができております。
これは、「濃茶鉄インク」を作り、そこにわずかにクエン酸を入れたものを、一ヶ月半ほったらかしにしておいたもの、なのですが、なかなかよさげな液体ができあがっているのです。
↑こちらも同時期の制作物ですが、ややにごりが見られます。
成分的には、
「お茶タンニンと二価鉄が結びついて、なおかつ三価鉄になろうとするものをクエン酸で抑え込んでいる水溶液」
なのですが、なぜか言い具合に琥珀色になっているので、「熟成」されたのかもしれません(笑)
今日はこれをろ過します。
ロートと濾紙を使って、こしてゆきます。一見すると瓶の中身は透明ですが、沈殿して下に溜まっているものもあるので、きちんと濾過します。
最初にきちんと全体を振って、沈殿物とわけられるようにしておきましょう。
そして、できあがったものが、これです。
さらに輝きを増した琥珀色の液体。これぞ
「後発型鉄(古典)インク」の熟成品
というわけ。ブルーブラックインクとして使うには、これに先発型の青色染料を足してやればいい!のではないか?という仮説です。
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さて、余談ながら今回「沈殿物」を取り除くのがメインの作業だったわけですが、濃茶インクを作って1ヶ月半も放置しておくと、それはもうすごいことになります。
たまたま、クエン酸で処理したものは「琥珀色」の美しさでしたが、クエン酸を投入していないものは
「沈殿・固着しまくり!」
で、大半なことになっていました。
どの瓶もひどいことになっており、こうなってしまうと酸を入れても綺麗になるのは時間と手間がかかります。
なので、酸を投入するのは、インクを作った当日のうちに済ませておくのがよいかと思います。
↑ 製造してすぐクエン酸を投入したもの。ここから熟成をはじめたほうがいいです。
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<後発型濃茶インクの製造レシピ(暫定版)>
◆ コーヒーカップの半分くらいのお湯で、緑茶パックを煮出す。
◆ お湯が温かいうちに、スチールウールをじゃぼじゃぼ漬ける。
(お茶はできるだけ濃く淹れ、スチールウールは何度も出し入れする)
◆ 温度が下がってきたら保存用のビンに移す。10%程度洗濯のりを入れる(濃度はお好みで調整)。5%程度リステリンを入れる。
(PVAは水のりでも可。水のりのほうが濃度が高い。リステリンはフェノール入りを推奨)
◆ 当日使いきりの「先発型鉄インク」として実験したり遊ぶのならば、これで終了。
(防腐剤は入っているけれど、ここからどんどん沈殿が生成されてゆく)
◆ 「後発型鉄インク」に変化させるために、クエン酸の粉を「耳かき一杯程度」ずつ加えてゆく。ある瞬間に「漆黒の黒」から「モスグリーン」に変化する。
(この時に、水溶液そのものは透明になっている。ただし沈殿物などが多く、みかけはあくまでもモスグリーン。三価鉄を溶かしきった状態と思われる。)
◆ このモスグリーン液をほったらかしておけば、琥珀色の液体に変わる。
◆ 最終的に、琥珀色の液体を濾過して、「後発型古典インク」の完成。
という感じです。
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