さてみなさんこんにちは
三線コード弾きのほうは、あいかわらずのんびりやっていますが、今年はコロナ禍のせいか、楽器の製作依頼が極端に減って、最盛期の3分の1以下になっています。
これは世間の景気と関係しているのか、それともみんな楽器を楽しむ余裕もないのか、難しいところですが、一刻も早く以前の生活に近い暮らしが戻ってくればいいなあ、と思います。
さて、三線コード弾き、つまり「左大文字流」の本家のほうは、ここらでブラッシュアップをして、「SCS(サンシン・コード・システム)なる新しい試みを始めています。
とはいえ、これまで左大文字式のいろいろなテキストや楽譜に触れていただいた方にとっては何か特別に変更が加わるわけではありません。
沖縄三線向けには、工工四でコードを書いていたのですが、それをもともとの左大文字式数字譜・数字コード表に戻そう、ということですね。
(工工四表記の例)
(SCS表記の例)
これを機に、三線にもこの0から12の半音をちゃんと振ってやって、ポジションを確定しながら演奏してもらおう、というわけ。
この連載はnoteを使ってまとめてゆきます。
【三線コードシステム SCS01】ポジション・音階をインストールしよう!
https://note.com/sanshin_ism/n/nf67b89e18764
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さて、話は変わってカリンバです。三線からカリンバへと振れ幅が大きいような気がしますが、まあどちらも民族(民俗)楽器なので、共通点もあるということで。
このカリンバ、ヒダリダイモンジ的には
めちゃくちゃ面白い!
楽器なのです。 そりゃまあ、いちおうちょびっとくらいは「ギター」も弾くし「エレクトーン」も習っていたし、「ウクレレ」も持ってるし、「秦琴」に手を出したりとかしてるんですが、そういった別の楽器をいじっている時の
100倍くらい面白い!
のが「カリンバ」!!!
どこがそんなに面白いのかというと
「左大文字流コード理論」がそのまま流用できる楽器だから!!
です。
もちろん、どんな楽器でもコードは一応鳴らせられるし(吹奏楽器は別ね)、コード理論はとりたてて特別でもなければ普遍的なのですが、このカリンバという楽器は、
「コードのために存在する」
と言っても過言ではないくらい、コード楽器なのです。実は。
けれど一般的には、カリンバはコード楽器としては認識されておらず、
「単音でメロディを弾き、伴奏として主にルート音を基本にコードを付加する」
という弾き方をします。 要するに、ふだんは「メロディを弾く、主旋律を弾く、楽器なんです。
その意味では、三味線も主旋律を弾く楽器で、和音は付加されるものです。
(沖縄三線の場合は、実は唄三線の唄のほうは主旋律ですが、三線のほうはよく聴くと”分散和音”を弾いている可能性があり、なんともいえません。実は三線はもともとコード楽器なのかも?)
ところが、コードの申し子、コードのために生まれてきた男である左大文字が、カリンバを見ると、それはまったく違ったものに見えるのです!
そう
これはコードの、コードによる、コードのための楽器である!!!
ズババババーン!
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では、カリンバコードの物語、はじまりはじまり!
まず、ざっくりと金属片を親指ではじく楽器をイメージしてください。
一般的には「親指ピアノ(サムピアノ)」と言ったりしますが、元々はアフリカの楽器で、小さな鉄などの棒をや板をはじいて鳴らす楽器です。
元々は竹片を鳴らしていたそうですが、こういう楽器を学術的には「ラメラフォン」と呼ぶそうです。
オルゴールの原理と同じなので、オルゴールの元祖なのではないか?という説もあります。
その現地アフリカでは、名前が違っていて主に「ムビラ」と呼ぶそうです。(もちろん、サンザなど別の呼び名があり、地域によってバラバラに異なる)
ムビラも、厳密には決まった形があるわけではないのですが、ジンバブエなどでは、ある程度形状が定まってきているようです。
このムビラ、左側に上下2段のキーと、右側に一段のキーがあって、本体にはサウンドホールがあり、ジャラジャラ音がなるように、鉄片やらビンのフタなどが取り付けられる形状が多いようです。
さて、この段階で「右側は右手親指が担当する」「左側は左手親指が担当する」というスタイルができてきました。まるでエレクトーンのようになっています。
ところが、世界楽器としてはこのムビラ等は現地から買い付けてくるか、自分で作るかしか流通していません。国内で販売されているのは主に輸入物です。
さて、いよいよカリンバです。
現在amazonをはじめ国内外でめちゃくちゃたくさん売られているのは、このタイプです。17キーとか21キーとか、半音が出せるクロマチックタイプなどがあります。
もともとムビラなどはアフリカの楽器なので、チューニングなども独自(アフリカ音階)で西洋音階と合致するものではありませんでした。それをイギリス人の「ヒュー・トレイシー」さんが改良し、西洋人ウケするようにしたのが、現在のカリンバだそうです。
(ヒュー・トレイシー社 カリンバ ”トレブル” 17音C調 オリジナル
※ソリッドタイプの”セレステ”もある。
今amazonなどで大量に売られているのは、これ(トレブル)のコピーモデル)
トレイシー流では、
◆ 対称なキー配列
◆ 全音階(ペンタトニックあるいは西洋7音)
が採用され、その後のスタンダードになってゆきました。
対称なキー配列というのは、ド・レ・ミが左から右へ並ぶのではなく、中央から左右に割り振られる並びを意味します。
これは、現代カリンバに見られる代表的な特長です。両親指を効率よく使うためにそうなったのでしょう。
(オリジナルのムビラでは、左右の指でパートが分かれていたが、その変形と思われる)
ペンタトニックというのは、世界のいろいろな場所で見られる5音構成の音階で、7音というのは「ドレミファソラシド」を指します。全音階(ドレミファソラシド)を採用したということは、半音が出ないことになります。
半音が出ないというのは、実は楽器としてはけっこう致命的で、カリンバの場合はC調の曲しか弾けないことを意味します。
(リコーダーなども固定調楽器ですが、C管・F管・など他の調の管が存在します)
トレイシー以後のカリンバでは、「クロマチックカリンバ」(半音が出せる)なども開発されていますが、やはり主流はC調の固定カリンバが多いと思います。
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ところが!結果的にこの「C調固定」と「左右配列」であることが、左大文字流と絶妙な相性を生む事になりました。
もはやあまりに合いすぎて、ヒュートレイシーと左大文字堯司の前世が共通なのではないか?と思うほどです。
それではいよいよ、次回から左大文字流コード弾きとカリンバの謎について、より具体的に迫ってゆきましょう!
おたのしみに!
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