2022年10月27日木曜日

ゴッタンを製作しました! (木製三味線)

 

 さてみなさんこんにちは

 

 今年は楽器製作が途切れず続いています。今回は薩摩の民俗楽器「ゴッタン」です。

 

 


 基本的にふだん私が作っているのは「木製三味線」とその派生タイプなのですが、この「ゴッタン」は、薩摩地方に伝わる杉でできた小ぶりな三味線です。

 そのレプリカというか、おなじ構造のものを関西で製作しています。


 ほんもの、と言っても細かい既定があるわけではないのですが、「ゴッタン」は薩摩地方で大工さんが建築端材などを利用して作るものだったため、本来は「杉」で出来ています。


 棹・糸巻き・皮部分の板などが全部「杉」であることが特徴です。

 

 しかし、当方で作る場合は、棹を基本的に「檜(ひのき)」にしています。今回は胴もヒノキです。

 

 杉とヒノキでは、ヒノキのほうが繊維が詰まっていて、よりしっかりしているという違いがあり、それでヒノキを採用しています。

 

 総ヒノキ作り!というとなにやら高級そうに聞こえますが、実は建材としてのヒノキは加工のしやすさと丈夫さのバランスがもっとも取れているので家づくりに使われますが、楽器としてはヒノキでもまだまだ柔らかいので、さらに適した材料はほかにもたくさんある、ということになっています。

 

 左大文字製作の楽器は、皮部分が「ベニヤ」板になっているのが本家ゴッタンとの大きな違い。

 ゴッタンは本来杉の一枚板を用います。

 

 


 杉一枚板は、美しいのですが、割れが発生する可能性があったり、入手性が極めて悪く、大きなプレーナーという機械を持っていて加工しないと、そもそも手に入れることができません。

 

 というのも、もっと幅の狭い杉板は流通があるのですが、ゴッタンや三味線にするには最低でも20cmくらいの幅が必要で、それを丸ごときれいに取れる木材となると、そもそも木がめちゃくちゃ太いわけです。

 そこから無傷で数ミリの板を取ろうとなると、大型の機械が必要です。なおかつ本音を言えば、それほど太くて美しい木が存在するのなら、その杉材を「柱として使いたい」というのが建築家の気持ちですから、わざわざ薄く剥いで使うのはもったいないのですね。

 

 なので、幅20センチ以上の杉板を買おうとなると、それだけで数千円します。

 

 当方で作っているゴッタンは比較的安価なので、(1万円前後)、ベニヤ板を使い、価格を下げています。

 

(とある木材屋で杉一枚板の価格を見たところ、30センチくらいの幅でしたが1mで6千円くらいしていました)

 

 

 とまあ、そんなわけでベニヤ板を採用していますが、その都度、材料屋でもっともいい音がする材料をチョイスして使っていますので、音については問題なしです。


(ベニヤでも、個体によって音がぜんぜん違います。かならず仕入れる時に、すべての板を叩いて、もっともよい音が出る板から購入しています。これは板張り三味線や、ポケットロックなど、うちで作っている楽器はすべて同じです。)

 

 そのため、表板の色身が茶色に寄っていたり、白っぽかったりいろいろですが、これは棹のほうも多少の違いはあるので、お許しくださいませ。

 

 材の入手状況によっては胴のみ「杉」になることもありますが、ご了承ください。 


 なんせ木材は生き物なので・・・。

 



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 ゴッタンも、私が作り始めたときは幻の楽器でしたが、最近では少しずつ鹿児島地方を中心に知られるようになってきました。全国にもまだまだ少ないですが愛好なさっている方がおられます。

 

ゴッタンプロジェクト

https://www.facebook.com/gottanproject/ 


 三味線類の中でも、沖縄のカンカラ三線のように、かなり気軽に扱える楽器なので、三味線好きなかたはぜひどうぞ。

 

 

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