2015年2月28日土曜日

作りかけPocketRock AIR 二号機

 前回の記事でお伝えしたPoketRock AIR ですが、2号機を製作中です。



 構造が完成して、軽くラッカーを吹いたところ。

 あとはこれに、ペグを取り付けて弦を張れば完成。


 本家のポケットロックもそうなんですが、とにかく「世界で一番簡単な弦楽器」であることは間違いないので、なーんか面白い使い方がないかなあ、と思っています。


 前回も言いっぱなしでやってませんでしたが、近いうちに音をyoutubeにアップしようと思っております。はい。



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 それにしても、手作り三味線はもとより、


なんでまた2弦の楽器を作ってるの?


という疑問を抱かれるかもしれませんが、私も最初は自分でそう思っていました(笑)


3弦という素晴らしい楽器を自由自在に操っているのに、なんでまた2弦なのかと。



 もちろん、どんぶらこにしてもポケットロックにしても最初はお遊び程度の試作だったのですが、これがまた触ったり遊んだりしているうちに



 シンプルという最小にして最大の機能美



みたいなものがじわじわにじみ出てくるようになりまして・・・。自らそのトリコになってしまったわけです。


 これはたぶん、画像でみててもわからないし、動画で音を聴いてもわからないのですが、


(そもそも、みかけはほんとうにチープだし、音もウクレレや三線に対して貧相)


なんていうか、とにかくじわじわ来るんです。



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 私自身、作ってから数ヶ月は、こんなもんどこがええねん、と思っていました。特にAmが最初出しにくかったので、


使いづらいなあ


と思っていたくらい。


 ところが、その出しにくいAmを含めて、「ん?もしかして、こいつは意外にイイやつかもしれない」に変わってきて、


 これは、マジで面白いわ


にランクアップしてくるんです。なぜか。


 その答えは、三線でも、三味線でも、実は高いほうの2弦がメロディ担当で、低い1弦がベース担当なんですね。もちろん、低い弦に必要なメロディが乗ってくることはあるんだけれど、ほとんどの場合は、1弦はベースとしてしか機能していない。


 なので、究極的に三線や三味線の音を削ぎ落としてゆくと、高いほうの2弦というのは、実はシンプルにして多くの役目を担っていることがわかってきたんです。


 こういう感覚は、いわゆるアメリカ人が好きそうな「ZEN(禅)」的思想に似ていて、尺八でいうなればなんで穴が5つしかないねん、みたいな感じです。


 ドレミファソラシの7音あるから、リコーダーなんかはその音にぴったり合った孔数で設計されるんだけども、尺八は5音なのに、半音は吹き方で出してしまう、みたいな「ZEN感覚」。


 ポケットロックやどんぶらこは、3和音を2音で表現してしまい、かつちゃんとコード感が成立しているあたりは、尺八と通じるものがあるわけで。


 
 たぶん、あとからじわじわくるのは、こういう悟り感覚なんでしょうね。実は。気付きとか、腑に落ちるとか、アハ体験とか、そういう「体と心に落とし込んでくる感覚」が得られるのが、いいところだと思います。


 とくに、もともとギターとかフルサイズの完全楽器をやっていると、よけいに不完全ならではの妙みたいなものに心をくすぐられる感じかなあ。








 



2015年2月13日金曜日

試作 新楽器「PocketRock AIR」を製作!

 さてみなさんこんにちは

 関西地方は相変わらずの寒空&ちょくちょく雪が舞ったりしています。


 基本的に左大文字工房では「工房」がなくなってしまったのでなんと


 青空のもと


楽器製作をしております。すばらしいでしょ?なので雨が降るとまったく作業ができません(苦笑)


 そんな中ですが、思うところあって PocketRock シリーズのうち、試作品を作ってみました。


  題して、PocketRock AIR(エア) です。


 写真はこんな感じ。

 


  当方の楽器としてはおなじみ、変形四角形ベースの直線カッタウェイデザイン(笑)です。

 さて、まずこの形について説明しておきます。

 ポケットロックとしては、横幅がでかすぎると思われるはずですが、理由があります。その理由は、なんと、AIRを名乗るだけあって、





 はい!紙三線とおなじように、胴厚みがほとんどないからですね!


 で、胴がないので音響的に響かないため、表板の表面積を増やすことで、ポケットロック標準品と同等の音圧・音の大きさを実現しています。

  今回の胴厚みはなんと2.5センチにまで絞り込んでいます。このあたりはPocketRockらしく、ポケットには入らないけど限界を求めております(笑)


 胴の全体像はこんな感じ

 





でっかく見えるかもしれませんが魚眼レンズ効果です。実際はうちわくらいの胴面積です。



 そして、写真を撮るのを忘れましたが、こいつには裏板がありません。わざとつけていないのは、スピーカー理論を応用しているからで、このタイプの楽器は歴代




『後面開放型+平面バッフル形』




のシステムを搭載しています。


 ちなみに、ふつうの三味線や三線は、


『密閉型とみせかけて実はドロンコーン型』


です。

 PocketRockやシャミレレシリーズは、だいたい想像がつくと思いますが、


『バスレフ形』


ですね(^^


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 さて、肝心の音ですが、低音増強がちょっと弱いものの、基本的に音量はPocketRockオリジナルに負けていません。

 みかけは「うちわ」なのに、うちわの割りには良く鳴る楽器です(笑)


 ちなみに、PocketRockシリーズには、


”プレーヤーモニタリングモード”


というすごい機能がついています。PocketRock プレミアム・オリジナル・エコ・AIRの全機種に搭載!


 これはどういうモードかというと、普通楽器は


「お客さんや聴衆」という自分の前にいる人たちに聴いてもらうもの


なのですが、 PocketRockのプレーヤーモニタリングモードに切り替えると


「弾いている自分に向いて、最適な音が出てくる」


という状態になります。もちろん、前側にも音が出ているのですが、自分側である後ろにもはっきり音が出るのです。


 このモードについては、youtubeでは説明しませんので、左大文字に出会ってPocketRockを手に入れた人だけにお教えします(笑)


  ご希望の方は、ご連絡くださいね!






2015年2月5日木曜日

名曲「芭蕉布」を三線コードで弾く コード譜付き

 さてみなさんこんにちは

 沖縄の三線屋さん、ASOVIVAさんのメールマガジンに連載しているコラム向けに、沖縄音楽の名曲


 芭蕉布


を取り上げたのですが、さっそくたくさんの方に見ていただいたようで、感謝です。


 youtubeのお手本動画はこちら。


( 芭蕉布 三線コードで )


 で、せっかく反響が大きいみたいなので、こちらのブログにもコード譜面を載せておこうと思います。ASOVIVAさんのメルマガを見逃した方など、活用していただければ幸いです。



 このyoutube動画は、わかりやすいように「アルペジオ」と「ストローク」の2種類の方法で弾いています。ご参考になさってください。


 実はこの「芭蕉布」という曲、100人の演奏家がいれば100人ともつけるコードが違う、というくらい奥深い曲です。沖縄民謡ベースのメロディは、「これだ!」というひとつのコードではなく、いろんなコードで合うように聴こえてしまうからです。

 今回、私はひとつの例としてコードをつけていますが、みなさんも「自分にしっくり合う」芭蕉布の弾き方を探ってみてください。


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(前奏)  F G C


(Aメロ) C Em Am    F C Dm G


      C F Em F   C F G C


(Bメロ) Am Dm F G C


(サビ?) C F Am F   C F C G C




C=合・中・七  G=合・上・六  F=乙・尺・七  Am=乙・中・七

Em=合・中・六 Dm=ロ上・尺1・八



☆厳密にいえば、この曲はAメロ・Bメロなどに分かれておらず、全体として流れるような構成になっています。









2015年2月2日月曜日

紙でできた三味線?三線?! またまた刺激的(笑)楽器登場!

 さてみなさんこんにちは。


 以前は、長唄三味線の本格的なキットを紹介して、けっこう反響をいただいたのですが、今回もまたまた面白いものを紹介します(^^


 以前の記事「長唄三味線手作りキット」
 http://sanshinism34.blogspot.jp/2014/07/blog-post.html



 
 えーっと、今回はズバリ、三味線の本格的じゃないキット!!それも

 ということで(^^


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 しゃみせん楽家 さんという
http://shami1000rakuya.com/SHOP/S03106001.html


 富山県のお店から販売されている 


 SHABO

(画像は転載です。)


という完成品、キットがなんと、紙製の胴を持つというある意味最強!・・・最弱?の楽器なのです。そうです。胴はダンボールの箱です。


 これまで、いろんな簡易三味線・簡易三線を見てきましたが、いよいよダンボール製となると、歴代の中でもけっこうなつわものです。



 ワタシの知っている歴代最強は、やっぱり沖縄樹脂科学工業が製作していた


 発泡スチロール製の三線 「さんしんJr(ジュニア)


だと思いましたが、超えられてしまいました!!(笑)



 他にも、板張り三線の決定版「那覇王冠製 木製三線」とか、いろいろ面白い簡易楽器があったんですが、今はどれも入手不可能です。



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 紙製の三線・紙製の三味線は、個人的には耐久性がしんどそうなので手を出してきませんでしたが、名前だけは


「紙三線」(紙三味線)
http://blogs.yahoo.co.jp/sanshin_ism34/62203494.html


を製作したことがあります。2010年発表。



 発表当時はやたら人気で、いくつか製作してお届けしましたが、最近は作っていません。


 (ああ、そうか!発表記念で当時1980円という特価だったから売れたんですね)


 この楽器は、”紙のように薄い”というコンセプトで、たいていの三線の棹が25ミリに納まることに対して、棹25ミリ、胴30ミリ(つまり、胴あつみ3センチ)という


 極うすスリム


を目指した代物です。


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 実はこの「紙三線」。音響学的には「平面バッフル型」というスピーカ理論をバリバリに応用した楽器で、見かけのわりに良く鳴ります。

 胴の中でまったく響かないのに、ちゃんと鳴るという不思議な楽器ですが、構造的には表板もきちんと浮かせているので、


 サイレント三線シリーズ


の原型になったモデルだともいえます。


 サウンドは実例がyoutubeに残っていました。



 かなり古いね~。懐かしい!