2007年9月29日土曜日

【三線ism】  三味線はスタンダードになるか?!



 さてみなさんこんにちは

 依頼されていたピアニカライブのデモ映像制作にかまけている左大文字です。先日は依頼者の自宅で演奏の様子を撮影したのですが(その家は間接照明だったので、苦労しました^^;)

 で、いちおうプロの演奏家が使う「ピアニカこと鍵盤ハーモニカ」を見せてもらったのですが、そういえば、ピアニカをまじまじと見たのは小学校以来です。

 うーん、そう考えるとすごいことですね。誰でも知ってるけど、誰も弾かない楽器なんですから!

 もちろん、プロ用ピアニカは漆黒ボディに金ラインで高級感バッチリ。1オクターブ鍵盤も多いゴージャスな仕様ですが。

 学校でしか弾かない楽器、というのはいろいろあります。鍵盤ハーモニカもリコーダーも、ものすごい国民的認知率なのに、演奏会もプロ奏者もアマチュア奏者も極端に少ない楽器ですね(笑)

 学校外でスタンダードな楽器といえば、ピアノとギター。ピアノはヤマハが生産数世界一です。
このあたりはヤマハやカワイが音楽教室制度とセットで普及につとめてきた歴史がありますね。

 ギターはグループサウンズを皮切りに、フォークやロックやバンドブームなど、音楽市場が牽引してきた歴史があります。

 あとは、吹奏楽部が地道に裾野を広げてきた「フルート」「クラリネット」「サックス」なども要チェックですね。

 吹奏楽で使われない「バイオリン」系の楽器は、やはりお金持ちの子弟の習い事、みたいなイメージがあります。


 で、和楽器^^;。

 やっぱり厳しいですね~。音楽市場の牽引という意味では三線がんばってると思うのですが、全体としてはどうなんだろう。純邦楽は完全に死んでます(笑)

 こうしてまとめてみると、ある楽器がスタンダードやメジャーになる方法が見えてきますね。


 ① 学校教育で教えられた楽器は、流行らない?!

 ② 部活やサークル、音楽教室など「授業以外」で習ったり集ったりする楽器は組織力によっては健闘する。

 ③ 音楽市場でブームになった楽器は、即メジャー?!(ただし、自分でもできそうというレベルがミソ?)


 でも、ピアノは小学校女子だし、吹奏楽は中高生女子だし、ギターは中高大学生男子だし。うーん、ターゲットはやっぱり10代なんですね。

 10代にウケる三味線をめざしますわ。

2007年9月28日金曜日

【三線ism】 三線 三味線 材料あれこれ



さてみなさんこんにちは

 今回珍しい「紫檀」棹の三線を買ったこともあり、今回は棹の材料についてあれこれ。

 
 いわゆる普通の三味線の棹はだいたい次の3種類(4種類)です。

 ① 紅木
 ② 紫檀
 ③ 花梨

 紅木・紫檀については比重が重くもつとそこそこずっしりきます。三味線は基本的に重くて堅い棹のほうがいい音がします。

 ④ 樫

 明治大正昭和初期の三味線には樫材に丁寧な塗りを施したものもたくさんあります。紅木や紫檀は「唐木」つまり東南アジアなどからの輸入材ですから、今のように自由に材料が入らない時代は、逆に国内でも入手しやすい樫材などで多くの三味線がつくられたのでしょう。

 
 三線の場合は

 ① 県産黒木(黒檀)
 ② 外国産黒木(シマコク・カマゴンetc含む)
 ③ ゆし木(イスノキ)

 などが主です。

 安い材料では樫もあります。また、近年スンチー塗りやクリア塗装の流行で紫檀材も増えています。
(もともと沖縄では、紅木や紫檀を三線に使うことがあまりなかったようですね)


 わたしの個人的な考えでは「よい木の楽器はたしかによいが、用途や予算やコストパフォーマンスなどを総合的に判断すればよい」と思っています。

 楽器として「あ、ちがうな」と実感できるのは三味線であれば「紅木」のもの、三線であれば「黒檀」のものです。これらは手触り・重量感ともやはりしっかりしています。

 逆に紫檀や花梨やゆし木、樫などはそれぞれの風合いの差こそあれそれほど「あ、ちがう」という明確なラインがありません。
(三線は塗ってしまえばわかりませんし^^;)

 だから高級なもの、違いがわかるものを買おうとすれば、最低10万以上、三味線では2、30万が当たり前の世界ですから、これはお金をもらっての「演奏家」や、ブランド的ステータスを追い求める人以外には適さないと思っています。

 コストパフォーマンスで言えば「僕は10万・20万・30万に匹敵する演奏ができるか、いやできない」というところがポイントですね(笑)


 さて、最近では三味線でも樹脂製(プラスチック)のものがあり、三線ではカーボネート製のものもあります。
 昔、那覇で金属芯に樹脂を巻いて中が空洞の棹をたくさん見かけたのですが、最近は消えましたね。

 安い楽器の提供という意味ではよいかもしれませんが、プラ楽器は加工・修理ができないのでちょっと難儀ですね。

 わたしはどれだけ安い木であっても、木材の楽器が好きですがみなさんはいかがでしょうか。


2007年9月26日水曜日

【三線ism】 三線ちょい公開









 さてみなさんこんにちは

 今日は今回買った三線の画像を載せておきます。

 持っているのは妻です(^^
 彼女は三線弾けませんが(笑)

 アップは画像を明るめに加工しています。

 いちおうスンチー塗りなので、木目が見えています~。



 今日あらためて人工皮の三線と弾き比べてみましたが、やっぱり人工皮はパキパキ(笑)

 
 人工皮 パキパキ音(人によっては「キンキンで耳障り」)
 ↑
 本皮  ややまろやか
 ↓
 強化張り まろやか(人によっては「音がこもる」)

 という並びになりますね。


 ギターでいうと、クラシックギターがまろやか側でフォークギターがパキパキ側みたいな感じでしょうか。



2007年9月25日火曜日

【三線ism】 沖縄レポート2




 さてみなさんこんにちは

 昨日の続きで気のついたことや感じたことをご報告。


① ちゅら海水族館

 海洋博公園は前にも行ったのですが、すっかり様相が変わって「水族館」がメインになっていました。

 比較対照がどうしても神戸の「須磨水族館」になるので、規模的にはやはり須磨がいちばんですが、大水槽と入り口ちかくの中水槽がなかなか充実していてこれはいつまでも見飽きません。多種多様な魚がいっしょに泳いでいる姿はとてもよかったです。

 なにより、パックのフリープランだったのですが、ちゅら海水族館の入場券がタダでついてきたので、それが一番うれしかった(笑)さすが関西人。さすが近ツリ(^^


② レンタカー三昧

 ちゅら海水族館の駐車場を見てると、とにかく8割以上が「わ」ナンバー。ふつうに58号線を走っていてもレンタカーだらけで、きっと「沖縄の車の半分ぐらいはレンタカーなんじゃないか」と思えてくる始末。きっと夏場の日中を走ってる車の半分くらいは、絶対レンタカーです。
 那覇市内に入ると、さすがにレンタカーも減りますが。でも、ビッツを見かけたらまず間違いなくレンタカーですね。


③ 三線の強化張り・二重張り

 これも8年前にはあまりみかけなかったものですが、ネット通販などでも増えているのが三線の「強化張り・二重張り」です。

 これは、薄い人工皮の上に本皮を張ったもので、「まず破けない」のが売りです。音に関しては人それぞれ意見があるでしょうが、まあ大半は「やっぱり本皮だよね~」とおっしゃることでしょう。

 わたしの個人的な意見では、

 本皮 → 三線らしい音がする。まろやかさあり。張りによってかなり個体差がある。

 二重張り → 見た目も三線らしいし、まろやかさもある。ちょっと抜けが悪いような感じあり。

 人工皮 → パキパキした音。ほんとに破けない。丈夫。(笑)

 ですね。


 さて、ここからはぶっちゃけモードですが、私はホントの三線は今回買ったのも合わせて合計4棹持っているのですが、本皮の2棹は、すでに破けています。持って3年、といった感じでした。というのも、住む地方にもよりますが、私は寒暖の差・湿度の差が激しい地方を転勤していましたので、やはり季節ごとにやられていくという感じ。でも人工皮は全然大丈夫で、結局我々本州人が使うには人工皮のほうがメンテナンス性がよいと思います。

 で、今回はそのメンテナンス性にもひかれてはじめて強化張りを買ってみましたが、さてどうなるでしょうね。

 左大文字流のようにコードで弾く場合には多少音がまろやかなほうが響きがいいです。単音重視ならパキパキ音も好きなのですが、コードにすると倍音がぶつかり合って濁ります。

(極端な話、コードの場合は板張りくらいのほうが綺麗に聞こえます)



☆左大文字のおすすめ三線☆

 というわけでシェフのおすすめ 参考にしていただければ


① 材料で選ぶ

 沖縄では「県産の黒木」が良いといってるんだからそりゃそれが良いのでしょう。でも20万くらいするから、そこから先はマニアの世界ですよ。20万のギブソンはそりゃ良いでしょう。

 わたしのモットー「チープ&ポップ」の目線で言えば、

 ゆし木でも花梨でも紫檀でも黒檀でもなんでもよい。ただし素性のわからない雑木は注意。です。

 花梨も紫檀も紅木も本州の三味線で言えば5万10万の材料ですから、基本的には間違いがないわけです。楽器としての性能はまず大丈夫。


② 価格で選ぶ

 最低3万5千円は出してください。それ以下の三線は必ずどこかでコストダウンしています。本体価格5万以上ならまず大丈夫。セットになっていてもケースが約1万弱ですから、本体は4万くらいなので、
これも大丈夫です。
 
 7万を超えてくると「お、やっぱり違うな」というものが増えてきます。特に棹部分で。胴はあんまり変わりません。胴掛けの柄がゴージャスになったりしますが、そんなのはハッタリみたいなものであまり本質とは無関係です。

 そこから上は「俺って中級者だもんね」とか「ワシは演奏家だもんね」という「気分とグレード」の問題です。高い三線が好きな人は、どうぞお気に召すものを(笑)


③ 皮で選ぶ

 本州在住の人、「お金をもらって弾く演奏家」ではない人、最初の1棹目を買う人
 ↓
 本皮はやめときなさい。
 
 破けることが前提で考えてほしいので、やっぱり人工皮か強化張りがよいと思います。


 初心者、ロッカー、バンドで弾く人、持ち歩きたい人
 ↓
 人工皮がお勧め

 パンチの効いた音や、合奏の中ではっきり音を出すのに人工皮はむいています。持ち歩きや過酷な環境(野外ライブや雨天など)にも強く、エレキ化のマイクを貼り付けても大丈夫。
 歯で弾いたり、回したり、ステージになげつけて壊す人にもぴったりです。(ギターか?!^^;)


 左大文字流で弾きたい人、左大文字流が気になっている人
 ↓
 強化張り・二重張りがよいのではないかしら

 先日の沖縄では、三線選ぶのにガンガンコードで弾いてました。二重張りくらいのまろやかさが
「めっちゃ心地よい!!!」感じ。平泳ぎの北島選手ばりの「ちょー気持ちいい!」でした。

 本皮コーナーで左大文字流で弾くと「怒られそう」です(笑)






2007年9月24日月曜日

【三線ism】 沖縄レポート とりあえず戻ってきました~




 さてみなさんこんにちは

 あいかわらず更新遅滞気味の左大文字です。というのも先週末~日曜日は沖縄に行っていましたので、またまた放置が長引いておりました。

 というわけで、久しぶりの沖縄をまとめたレポートです。

 実は、前回沖縄に行ってから8年?くらい経っていますので、ほんとうに久しぶりの島めぐりでした。えらいいろんなところが変わっていてびっくりです。

① ゆいレール 乗ってきました!

 那覇空港~首里を結ぶモノレール。うわさには聞いていましたが、実際はいろんな意味でおもしろかったです。施設設備はまあまあしっかりしているのですが、なんせ2両しかないもので、輸送可能人数が少ないのはコストパフォーマンス的にどうなのだ?といろいろ考えてしまいました。乗った限りでは、それほど満員になることもなく、まあ適正な感じ。ラッシュとかあるのだろうか??

 しかし、まあ走ってる路線がビジネス・通学中心というより観光よりなので、地元の人はあまり乗らないのかな?

② 新都心ってなに?

 こんなとこに街があったかいな、というところに新しい住宅地・ショッピングモール系ができてました。話を聞くと地元の人の足は国際通りにはもう向かなくて、そちらへ移動しているようです。分譲地もたくさんできてましたから、那覇の様子もずいぶん変わりました。

 しかし、あの広大な一角はもともとなんだったのだろう。昔ってあのへん基地だったのか??

③ 三線あれこれ

 沖縄にいったら一棹絶対買って買えるのですが、今回はかなり「製作者」よりの目線で見てました。
8年前までとくらべて、価格の話ですが、一番最初に沖縄に行った15,6年前とあまり変わっていません。
15年前も3万5千~5万くらいのが普及価格帯で多かったし、今回もそうです。ハードケース等込みで一式買って5万とか、ちょっといいので7万とかそんなところだから、価格そのものはあんまり変動がないようです。

 ただ、価格幅がひろがっているというか、高級品から激安品までの幅が広がっていることはたしかですね。10万円クラスとか黒木を売りにしているものも一定の需要(それも沖縄の人以外に)があるようですし、昔は人工皮と本皮の差が5千円~1万円くらいしかなかったものが、かなり差がついていて、人工皮なら2万円を切り、本皮なら4万円くらいというラインナップが目立ちました。

 もちろん激安品の仕上げを見ると、「やっぱり価格は価格やなア」という感じの荒くたさ(笑)

 また、素地を見せた透明仕上げ(スンチー塗り)のものが増えましたね。これは8年前や15年前にはなかった現象です。そういう棹もあったことはあったのですが、本当の高級品で、逆に15万とか20万とかしてたのが、普及価格帯にも下りてきた感じです。

 というわけで、今回は私もはじめての「スンチー塗り」三線を購入。高級品は買えないので紫檀製5万円なり。

☆<製作者の視点から見たスンチー塗り>

 まず、透明うるしのきちんとした仕上げのものはやっぱり15万以上はすると思います。5万円などの普及価格帯は合成樹脂(ウレタン系?)が多いように見えました。一種のデザインブームみたいなもので「かっこよさげ」だからという理由で買うならよいですが、「スンチーだから高級なんだ」というわけではないです。特に初心者の方おまちがえなきよう。

 また、わたしも今回スンチーを選ぶ中で10本くらい新品を見ましたが、まともなのは3本だけでした。透明だからこそ、「あ、これはここで木を接いでるな」とか「ここは埋めてある」とかそういう微妙な加工の修正がわかります。もともと黒漆塗りの三線でも埋めや継ぎはありうるので、そのこと自体をとやかく言うつもりはありません。黒木の材木とかみたらわかりますが、かならず木の内部に割れ(クラック)などが生じています。
 ただ、スンチーだとそれがわかってしまうので、なるべく見えないもの、クラックの箇所が影響の少ないものを選びたいものです。
 これが意外に難しい(笑)

 あとは、皮を張ってある音とのバランスで、「これならまあ、いいか」と納得ポイントを探るしかないですね。

 音はまあまあ好みだけど、「ここめっちゃ欠けて埋めてあるやん!」みたいなのは、やっぱりなんとなく嫌な感じ(笑)まあ、私は、ですけど。他の人はわかりませんが。

 念のため言って置きますが、黒漆塗りは「見えないだけ」ですので誤解なきよう。見えないからこそ、気にならないこともあるだろうし、見えないからこそ「中がどうなってるかわからない」こともあります。


2007年9月17日月曜日

【三線ism】 てぃんさぐぬ花 youtubeで外国とつながる



 さてみなさんこんにちは

 すっかりご無沙汰していましたが、まるまる2週間、三味線からみでは活動しておりませんでした。
残暑厳しいですが、もうそろそろ秋の気配がやってきそうな、こなさそうな・・・。というわけで、この2週間くらいはずっと映像関係をやっていました。

 工房へもまったく近寄ることができず、シャミレレ等もそのまま放置です(_ _ ;

 というわけでは、これからの予定。

 9月いっぱいは友人の結婚式や、その弟さんがらみの映像撮影・編集などでずーっとバタバタしていそうです。10月に入ると、多少三味線製作に戻れそうな様子です(^^

 やりたいことがいっぱいあるのに、時間が足りない!!!(でも睡眠が足りないのはもっといやなので、睡眠を削ったりはしない左大文字でした)

 さて、youtubeで公開している「左大文字バージョンの『てぃんさぐぬ花』」、好評のようです。びっくりです。さすがyoutubeなのか、外国の方からダイレクトにメッセ-ジが届いたりします(笑)
「やあ、僕はニューヨークに住んでいるジョンっていうんだけど、あの曲は君のオリジナルなのかい?」
みたいな(文章はイメージです)

 ちなみに、これです → http://jp.youtube.com/watch?v=5jlD4P8rAgw

youtube って、コメントも残せるし、相手にメールみたいにメッセージも送れるのですな。純正の日本人である私にとって、いきなり英語でメッセージが来るとビビるぜ~。

2007年9月3日月曜日

【三線ism】  北海道の民族楽器



 さてみなさんこんにちは

 嫁さんが北海道出身なので、北海道の民俗・風習にもすくなからず興味のある左大文字です。

 その北海道にはアイヌの人たちの楽器がいろんなかたちで残っています。有名なのは「ムックリ」という口琴(口の中を共鳴体にして、びよよんびよよんと鳴らす楽器)ですが、もうひとつ「トンコリ」という弦楽器があります。

 写真はネットにたくさん転がっているのでちょっと探してみてくださいね。著作権上、ここでは遠慮しておきます(笑)

 さて、そのトンコリ、細長いスティック上で、5弦ないし3弦の楽器です。チューニングが決まっていて、フレットもなく、勘所もありません。つまり、すべて開放弦で、1音ずつ奏でるというよりは、リズムをカッティングで刻んでゆくみたいな楽器です。



 ・・・作ってみたいですねえ。なんせ需要がほとんどない楽器ですから、買うとなうとメーカ製なんてのはなく、全部手作りです。コスト高のため5万とか8万とかみんな言い値で売ってらっしゃいますが、ざっくり作れば1万以内でできるはず。
 どうせなら本体のサイズや胴回りを細くするなど工夫して、「左大文字流でも弾ける3弦トンコリ」を作ってみたいです!