2011年9月20日火曜日

【三線ism】 沖縄 三線探訪記



 さてみなさんこんにちは

一泊二日の短期日程ではありましたが、沖縄に行ってきました。
台風15号が沖縄近海で停滞している真っ最中だったので、まず初日から「行けるのか?」「飛行機は飛ぶのか?」という不安の中での出発でしたが、まあなんとかたどりつけたということで。

だいたい、この今年の台風15号という奴は、すでに僕が沖縄へ行く数日前から、近海をうろうろ行ったりきたり止まったりしていた不思議な動きをする台風で、そりゃあ、帰るまで、「これたことはこれたけど、今度は帰れるのか?」みたいに道中最後までやきもきさせられましたけれど(笑)

さて、今回の沖縄行きは、観光目的ではございません。というのも、もう沖縄に行った回数もこの20年間、飛び飛びではあるけれど、数知れないので、もう観光地めぐりをするほどではないわけです。

言ってみれば、左大文字流もずいぶんと広まってきたなあ、ということで、昨今の沖縄三線事情のリサーチを含めて、「三線探訪ツアー」といったところでしょうか(笑)

初日は、いつもお世話になっている読谷村のASOVIVAさんを訪ね、数時間長居させていただきました。
ASOVIVAさんからは新しい切り口の三線がたくさん出ていて、やはり実物に触れてみたい!という思いもあったからです。
ASOVIVAさんはデザイン三線では定評がありますが、2011年度のいちおしは、やはりペグ三線と薄型三線「美箔」でしょうか。

ペグ三線の仕上がりはすばらしい!ペグ式三線はすでに他社さんからも出ていますが、GOTOのステルスという超小型ペグを使ったヘッドは、思った以上のハマり具合です。

まあ、ペグ式はどこもそうなんですが、ペグの回転数と糸の巻き上がり具合がずれますので、三線のヘビーユーザー(調弦をひっきりなしに変える人=プロ奏者さんなど)には向きませんが、一般人が使うにはとてもカッコいいのでは?

薄型三線のほうは、クバの骨型を基本にして、胴のほうも薄く仕上がっていて、面白いです。
音がその分軽くなる感は否めないものの、抱えたときの軽やかなフィット感とか、エレキギターを持ったときのような独特の雰囲気が「お!」と思わせること間違いなしです。

ストラト使いのギタリストなら、ボディの裏側が削ってあるので、体のラインにぴたっと寄り添うような感じになるのをご存じだと思いますが、薄い三線胴はあれに似た感覚を思い起こさせてくれます。

ぼてっとした胴を「抱え込む」のではなく、おなかにふわっとフィットするような、そんな雰囲気ですね(^^

ASOVIVAの山ちゃんさんとは、その後もフリースタイルとコード奏法の今後の展開について、いろいろと熱く、そしてかなり技術的にも深い議論がありました。

そんな話を生かしながら、今後、みなさま方にも、より楽しくわかやすい左大文字流三線コード奏法をお届けできることと思います。


初日の夜は、うちの一番弟子「一巳(かずみ)」くんが在籍している国際通りの「ぱいかじ」というお店(沖縄料理・居酒屋さんです)へお邪魔しました。

いやあ、すばらしかったです。台風でお客さんは少な目でしたが、その分たくさん演奏を聴いたり、話をすることができ、ぶっちゃけ左大文字は感動いたしました!

というのも、一巳くんは、もう左大文字流草創記からのメンバーでありまして、いまや一流のコード弾きの使い手に成長していたわけです。
民謡も弾くし、ヒヤミカチ節は速いし(笑)、コードを混ぜながらポップスも弾く、というまさにちゃんぷるーなスタイルは、僕の胸にぐっとくるものがあって、思わず泣きそうになりました。

いやほんとに、三線は魔法の楽器だなあ!という感じです。
ポップス系を短音で演奏なさる民謡酒場の奏者さんはたくさんいると思いますが、それとはやっぱりちょっと違いますね。
コードを使って弾き語る部分と、単音でメリハリをつける部分が、シームレスに融合している彼のスタイルは、コード弾きの理想だと思います。
ちょっと専門的なことを言うと、沖縄三線では、「太鼓」が重要な役割を果たしていて、実は三線と唄と太鼓で「ボーカル・リードギター・リズム(ドラム)」を成立させているわけです。
一巳くんが言うには、ライブで演奏する際に、「コードを使いこなすと、太鼓がなくてもリズムがバッチリとれるんです!これはすごい便利ですよ!」とのこと。なるほどですね。

新しい三線ライブのスタイルがいままさに生まれつつある瞬間に立ち会えて、感無量でした。

二日目は、市内の三線屋さんをめぐったりして、それこそ20年前に、僕が三線を買った店にお邪魔したり、まあ長い左大文字流の歴史をたどる旅にもなりました。

その他いろんな三線屋さんも覗いてみたのですが、ちょっと思うのは、一時期に比べて撤退している店もあったりして、「ああ、ちょっと三線を取り巻く環境も様変わりしつつあるな」ということでした。

三線価格はかなり下がっていて、一般的な認知度も上がり、普及品になっている陰で、古くからの三線専門店がちょっと元気ないような気がします。

その分、お土産感覚で買える三線が増え、新しいデザインや機構を取り入れた新作も増えているから、総数という意味では変わらないのかもしれません。時代の流れも、あると思います。

ちょっとショックだったのは国際通りの高良レコードの楽器屋さんの店頭から、三線が消えていたことですね。
それこそ、20年前から、高良レコードさんには三線が並べてあって、「ギター少年が横目で見れる三線コーナー」という感じが好きだったのですが、それがなくなっていました。
沖縄のロックシーンを牽引してきた高良レコードですから、もしかしたらギター等に特価して三線は三線屋さんで、という役割分担みたいなものを意識なさっているのかもしれませんし、それこそ先ほども述べたように、庶民的感覚でどこでも三線が買える今となっては、その重み・比重が大きく変化している時代なのかもしれません。

さて、飛ぶかどうか不安だった帰りの飛行機も、なんとか台風を避けて飛びそうだったので、余った時間は県立博物館で過ごしました。
もちろん博物館なので、三線のいろいろな型の展示や、古い三線の展示もあるのですが、ちょっと驚いたのは「銀でできた三線」というスゴイひと棹です(^^

いやまあ、楽器としてどうかという視点じゃなくて、ハワイ移民をした方が、「木よりも銀のほうが価値があるでしょう?」というつもりで作ったという、いろんな歴史を抱えたバックグラウンドも含めて、面白かったです。

そんな感じで、沖縄の「三線をとりまく今」をリサーチしてきた今回の旅ですが、ひと昔前の「涙そうそう的沖縄音楽ブーム」も落ち着いた今、実は沖縄三線の世界は、新たな可能性を求めて、もごもごゴニョゴニョさなぎの中で準備をしている、といったような印象を受けました。

いや、やっぱりそこでポイントになってくるのは、今までのようにアーチスト牽引型の三線界だけでなく、それぞれの草の根ユーザー、三線好きさんたちが、新たなムーブメントを作ってゆく時代が始まったかな、という感じです。

というわけで、みなさんからのコード弾きyoutube動画、待ってます(笑)





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