さてみなさんこんにちは
あまりお金をかけずに、良い中古三線を買っちゃおう!というこの企画シリーズですが、いよいよ見極めの実例を挙げてゆきます。
3万円~5万円も出せば良質な入門編三線が手に入る昨今ですから、ここでは7万円や10万円を出して、希少な黒木の名品をねらう、なんてことはいたしません。
あくまでも1万円くらいまでの予算で、良心的で素性のいい三線を狙う、もしくは、激安品を楽しむ!みたいなノリで実践してゆきたいと思っています。
しかし、このクラスがおおむね把握できれば、数万円のしっかりしたものとの差がよくわかり、結果的に高い三線を買う場合にも役立つかもしれません。
<猿尾を見る>
普通(塗装)
雑木塗りなし
これに留まらず猿尾の形状はけっこう作者ごとに違いがあります。面取りが大きいものや、おしりが長めのものなどいろいろ。
飛び出している部分が「黒く」塗装でない場合は棹の材質を推測するのに使える。
<付属カラクイを判別する>
直線削り型)
2000年ごろまで。現在から見るとやや古い作例。直線的に削り落としている。
今となっては古いスタイルだが、平成期の良棹に多く付属する。
二段削り型)
近年のカラクイはほぼこちら。一段細くしてから先を削るので、削り落とす量が少なくて済み、調整が楽。また不要な部位は太いままで残せるため、回しやすい。
砲弾型)
昭和年間の古い棹に多い。古いということはわかるが、その棹が良いものかどうかは別。
<ケースを見る>
■ 守礼印ケースが付属している場合は、まあまあ棹も良質なことが多い。
■ 守礼印ケースの模倣品はいろいろあるけれど、取っ手の位置がズレているものが望ましい。
取っ手が中央にあるものは、重心バランスが崩れているのであまり良くない。
<人工皮特Aの新旧を見る>
人工皮のランクそのものについては、前回もお話したので割愛。ここでは特A皮の新旧について比較します。
新)
旧)
基本は同じ柄なのですが、新特Aは色が鮮やかで、旧特Aは全体的に色あせています。
人工皮が登場した頃からのオリジナル開発商品なので、古いものと新しいものがあるというわけです。
旧特Aには、↑の写真のように、うろこの下部が左右に分かれた柄のものがあります。これは「スプリットタイプ」と呼ぶ三線屋さんがいますが、かなり古いので劣化している可能性も。
この頃の人工皮は2枚重ねて貼っており、上と下が剥離して、べろんと剥がれるおそれがあるそうです。
現在の特Aタイプは一枚ものになっており、かつ他社製より厚くて繊維も丈夫です。
<デザインの違いを見る>
山形)
丸型)
真壁の作例の違いです。裏側から見て、天を左右に分けて山形で落とす作例と、なだらかに弧を描く作例の違い。
海外製の安い棹は、ふつうに弧を描いて落とすものが大半です。材の違いはともかく、国内の作者が作っているものは、山形に落とす作例が多いようです。
特に2000年ごろまでの作品は真壁と言えば山形に落ちているものが多いように感じます。
(丸型で高い棹のものもありますから、それだけを判別基準にしてはいけません)
その他、気付いたことがあればまた補足します。