さてみなさんこんにちは。
最近は連日「ロングトーンカズー」の開発に勤しんでいる最中ですが、試作品はかなりよい音(好成績)を残しているので、いよいよ頒布用の製品を作っていこうかな、と思案しているところです。
これまで木製の弦楽器(三味線やポケットロックなど)はたくさん作ってきましたが、管楽器は初めてなので、やはり
「口をつける」
という点には気配りしようと思います。
幸い「食品衛生法対応の接着剤や、塗料」などもあるので、それらを使って組み上げれば、口が触れても安全なものをつくることができます。
また合板を使うと、そこに使われている接着剤の素性もわからないので、木材は無垢板を使用する予定です。
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さて、今回はこの「ロングトーンカズー」をめぐる不思議なお話!!
実はこの楽器「めちゃくちゃ性能がよくて、良く鳴る」のですが、なぜか元になった楽器である「カズー」は、おもちゃのままであまりパッとしません。
カズーの原理は十分能力が高いのに、「カズー」そのものは、玩具ジャンルから大きく発展することはなく、いまに至ります。
で、ロングトーンカズーを作っているうちに
「この楽器は、ある意味わたしの発明のようなものなんだけれど、はてさてこれまでにこんな楽器を誰も思いつかなかったのだろうか?」
という疑問が生じてきたのです。
カズーがおもちゃのままでずっと存在するということは、大変に不思議です。
ちょっと改良すれば「ロングトーンカズー」のように、とてつもなく能力が跳ね上がるのに、どうして誰もそこに手をつけてこなかったのでしょうか?
それを調べていると、なんとすごいことがわかりました。
それは、
「実はカズー(KAZOO)にはゾボー(ZOBO)という兄弟のような楽器があって、それが1800年代から1900年代初頭にかけて、アメリカで大流行した」
というお話でした。
カズーのほうは、なんとなく多くの人が聞いたことがあると思いますが、ゾボーのほうは、誰も知らないと思います。
そしてなんと、当時ZOBOは、50万台以上も売れて普及していたらしいのです。
(それはロングトーンカズーの性能を知っていると、よくわかります。この楽器は、それくらい普及してもおかしくない性能を持っているからです)
ゾボーというのは、カズーがもともと金属板でできていることを発展させて、金管楽器に仕上げたものです。
形状はいろいろありますが、簡単に言えば「カズーにラッパがついたもの」ということになります。
そしてごくわずかに「音程を調整できる機構」がついたものもありますが、大半はそのままの直管です。
ゾボーが1800年代にどんな感じで吹かれていたのか、AIに描かせてみましたが
↑イメージはこんな感じ(笑) ただしこの画像は生成AIによるものなので、多少の誇張はあります。
実際のゾボーがどういう楽器だったかは、海外のサイトに詳細がありますので、興味がある方は覗いてみてください。
https://brasspedia.com/index.php?title=Zobo_and_Songophone
https://marge.home.xs4all.nl/Zobo.htm#.U9JAiOnlqUk
いずれも、マニアックなサイトで、実際にはこの楽器は「アメリカにおいてもすでにほとんど失われた、幻の楽器」であることがよくわかると思います。
なかには、このゾボーを復活させようとしているナイスなアメリカ野郎もいるようで(笑)
https://fabacademy.org/2022/labs/aalto/students/arthur-tollet/projects/Zobo.html
こちらは3Dプリンタでの作例ですね。左大文字みたいなおっさんが海外にもいるということで、心強いです。
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さてゾボーとはなんぞや?
ということをまとめると、上の海外サイトにもありますが
「ホーンカズー」「ソングフォン」
ということになるでしょう。まさにホーンがついたカズーで、なおかつ歌で演奏するフォンです。
ところが私が作っているのは、金管ブラスではなく「木管」です。もともと左大文字は木工系しかやっていないので、金管は未経験。
そのため、ロングトーンカズーは「ゾボーの一種」とも言えますが、実はゾボーには木管系のものもわずかに存在したようです。
それはこういう感じのもので、今で言う「ウッドカズー」と「リコーダーやクラリネットなどの木管楽器」との中間仕様みたいな感じになっています。
というわけで
「ロングトーンカズーは、ゾボーの2025年版」
と言っても過言ではないでしょう(笑)
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*専門的な注釈*
ゾボーやホーンカズーは、構造を見る限り「カズーにホーンをつけたもの」です。ということは、当然「人間の声の成分をそのまま発する」仕様であることは変わりません。
なので、カズーのように「人間の声っぽさ」は残ったままで音が出てくるので、多少の「おかしさ」は残っていたかもしれません。
しかし、ホーンがついていることで、拡大・拡散されるため、(実際の音がどんな感じだったかは想像するしかないですが、)「意外と楽器らしく聞こえた?」可能性もあります。
現在のカズーでは本体があまりにも短いため、管楽器としての性能が発揮できていない可能性もありますね。
それに対してロングトーンカズーでは、「人間の声らしさを減衰させる」ことに主眼を置いていますから、「木管ゾボー」と似た音がするものの、わずかに雰囲気は異なると思っています。
もちろん、このあたりの音のニュアンスの違いは、「ロングトーン奏法」を用いるか否かで大きく変わってくるため、とても興味深いナゾと言えるかもしれません。
あるいは本来の昔のゾボーを持ってきて、ロングトーン奏法で吹けば、さらに金管楽器らしさがアップすると思います。




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