さてみなさんこんにちは。
新年早々、とても興味深いニュースが入ってきて驚いています。
それはヤマハさんが子供向けの新楽器「TROVA」を発表したということ。
https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/winds/casual_wind_instruments/trova/index.html
(写真は、ヤマハさんのサイトからの引用です)
これはどういう楽器かといえば、トランペットの一種ですが、音階を変えるためのバルブを搭載しておらず、直管のみで構成されているもの、ということになります。
画期的なのは「バルブがなく、そのため運指が存在しない」という点ですが、言い方を変えれば、楽器としてはトランペットから退化しているんですね。
実は原理的には「軍隊ラッパ」と呼ばれるものに近く、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AB
管は一本のホーンに過ぎませんが、いくつかの決まった倍音を出せるため、複数の音階が「鳴る」楽器です。
(しかし、周波数的に決まった倍音しか出ないため、ドレミファの西洋音階に沿っているわけではありません)
さて、興味深いのは「なぜ天下のヤマハが、いまごろこういう楽器を出してきたのか」という点です。
それは、おそらく社会の衰退と大きく関係していて、
■ 少子化などで学校教育における吹奏楽が衰退している
■ 吹奏楽につかう楽器のコスト高が、無視できないほどになってきている
■ ヤマハの顧客である「音楽の担い手」が減ってきている
ということが理由だと考えられます。
少子化による学校の児童生徒減で、体育系の部活動も、その学校だけでは人数や体制が維持できない状況が生まれてきており、部活動の地域移行なども進んでいる最中ですが、学校教育と密接に関係している吹奏楽についても、まったく同様の事態が起きています。
なおかつ、楽器の値段が高くなり、さらに児童生徒学校の経済状況が悪くなってきて、1つあたり20万も30万もするような楽器が購入維持できなくなってきているのが現状ですから、ヤマハとしても
■ 吹奏楽の裾野を広げ、なおかつ低コストのものを導入したい
と必死で考えているのでしょう。それが、楽器としては「退化」している軍隊ラッパの現代化を生んだ理由のひとつだと思います。
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奇しくも、ロングトーンカズー(ZOBO)もまったくおなじ時流の上で登場してきています。
わたしがこの楽器を開発した時期は偶然でしたが、結果としてロングトーンカズーやZOBOは、衰退する吹奏楽のゲームチェンジャーになる可能性を大いに秘めています。
実はアメリカにおいてZOBOが流行したのは、1890年代からの社会の「発展期」でした。この時期、まだまだ本格的な吹奏楽器は一般の人が安価に入手できるものではなく、そのために構造が簡単なZOBOが大流行した、ということのようです。
つまり、社会が上向きになっている時期と、下向きになってきている時期という意味で、1800年代と現代は、反対の相関がある、ということです。
そうした時期だからこそ、ヤマハが先祖返りしたような楽器を出してきて、わたしがZOBOの復活に取り組んでいるのは、実は時代の必然だというわけです。
さて、実はゾボーバンド、アメリカから日本にも入ってきていて、かの山田耕筰が少年時代に、外国人の恩師のつくった「ゾボーバンド」に入っていた、という話があるそうです。
http://blog.livedoor.jp/sanyojoshi/archives/50567325.html
そうした意味でも、日本におけるゾボーの復活は、まさに「西洋音楽の先祖返り」でもある、ということになるわけですね。
まさかヤマハさんと、コンセプトが同じような楽器を開発することになるとは、夢にも思わなかった次第・・・。
偶然とはいえ、不思議なものです。

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