2026年1月23日金曜日

ヤマハの新楽器とロングトーンカズーの関係 TROVA

 

 さてみなさんこんにちは。


 新年早々、とても興味深いニュースが入ってきて驚いています。


 それはヤマハさんが子供向けの新楽器「TROVA」を発表したということ。


https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/winds/casual_wind_instruments/trova/index.html



(写真は、ヤマハさんのサイトからの引用です)


 これはどういう楽器かといえば、トランペットの一種ですが、音階を変えるためのバルブを搭載しておらず、直管のみで構成されているもの、ということになります。


 画期的なのは「バルブがなく、そのため運指が存在しない」という点ですが、言い方を変えれば、楽器としてはトランペットから退化しているんですね。


 実は原理的には「軍隊ラッパ」と呼ばれるものに近く、


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AB


 管は一本のホーンに過ぎませんが、いくつかの決まった倍音を出せるため、複数の音階が「鳴る」楽器です。


 (しかし、周波数的に決まった倍音しか出ないため、ドレミファの西洋音階に沿っているわけではありません)



 さて、興味深いのは「なぜ天下のヤマハが、いまごろこういう楽器を出してきたのか」という点です。

 それは、おそらく社会の衰退と大きく関係していて、


■ 少子化などで学校教育における吹奏楽が衰退している

■ 吹奏楽につかう楽器のコスト高が、無視できないほどになってきている

■ ヤマハの顧客である「音楽の担い手」が減ってきている


ということが理由だと考えられます。


 少子化による学校の児童生徒減で、体育系の部活動も、その学校だけでは人数や体制が維持できない状況が生まれてきており、部活動の地域移行なども進んでいる最中ですが、学校教育と密接に関係している吹奏楽についても、まったく同様の事態が起きています。


 なおかつ、楽器の値段が高くなり、さらに児童生徒学校の経済状況が悪くなってきて、1つあたり20万も30万もするような楽器が購入維持できなくなってきているのが現状ですから、ヤマハとしても


■ 吹奏楽の裾野を広げ、なおかつ低コストのものを導入したい


と必死で考えているのでしょう。それが、楽器としては「退化」している軍隊ラッパの現代化を生んだ理由のひとつだと思います。


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 奇しくも、ロングトーンカズー(ZOBO)もまったくおなじ時流の上で登場してきています。

 わたしがこの楽器を開発した時期は偶然でしたが、結果としてロングトーンカズーやZOBOは、衰退する吹奏楽のゲームチェンジャーになる可能性を大いに秘めています。



 実はアメリカにおいてZOBOが流行したのは、1890年代からの社会の「発展期」でした。この時期、まだまだ本格的な吹奏楽器は一般の人が安価に入手できるものではなく、そのために構造が簡単なZOBOが大流行した、ということのようです。


 つまり、社会が上向きになっている時期と、下向きになってきている時期という意味で、1800年代と現代は、反対の相関がある、ということです。


 そうした時期だからこそ、ヤマハが先祖返りしたような楽器を出してきて、わたしがZOBOの復活に取り組んでいるのは、実は時代の必然だというわけです。


 さて、実はゾボーバンド、アメリカから日本にも入ってきていて、かの山田耕筰が少年時代に、外国人の恩師のつくった「ゾボーバンド」に入っていた、という話があるそうです。


http://blog.livedoor.jp/sanyojoshi/archives/50567325.html


 そうした意味でも、日本におけるゾボーの復活は、まさに「西洋音楽の先祖返り」でもある、ということになるわけですね。


 まさかヤマハさんと、コンセプトが同じような楽器を開発することになるとは、夢にも思わなかった次第・・・。


 偶然とはいえ、不思議なものです。






2026年1月14日水曜日

新楽器 「バンブー・カズーボー」の構成がおおむね決まりました。

 

 さてみなさんこんにちは。


 前回発表した「バンブー・カズーボー」ですが、いろいろ実験を重ねて、おおむね構成が決まりました。



 まあ、構成や構造をちょっといじったところで、音色にはそれほど大きな違いはないのですが、強度やらいろいろな要素を加味して、「こういう風に作ろう」ということを決めていっています。


 基本構造はロングトーンカズーと同じなので、あとは竹という素材との組み合わせ方、相性みたいなものですね。


 音色の面白さ、音の抜けはバンブーカズーボーのほうに軍配が上がりますが、そもそもの音の出し方や、音色を形作る要素は、ロングトーンカズーのほうが優れていたりします。


 このあたりは、好き好き、といったところでしょうか。


 音の違いやニュアンスがどのように変化するのか、音がどう変わってくるのか、あるいは「最適な構成はどれか」という細かい部分をシュミレーションするのに、今回はなんと


”人工知能”


を採用しています。楽器作りにもAIが活用される時代ですね(笑)


 人工知能とすり合わせをしながら作ってゆくわけですが、やっぱり基本となる「ロングトーンカズー」はよくできているのです。


 これまでの「楽器作り」とか「楽器とは」ということの「王道」では思いつかないようなイレギュラーなことをやっているので、人工知能的には、


「それじゃあ、いい音は出ないよ!」


と言いだしたりするのですが、ロングトーンカズーは、あえて周波数帯域を殺したり、成分をカットしたりしていますので、人工知能にそのことを伝えると


「なるほど、それはアリだ」


と回答し始める、というおもしろさ。


 人類がこれまで楽器づくりでやってきたことと、真逆の発想で作っているので、かなり変な楽器だということになります。自分でもよくわかりませんww



 それでも、びっくりするようないい音がします。


 こいつはあなどれない楽器です!



*ちなみに「ロングトーンカズー」と「バンブーカズーボー」は


 2オクターブ以上の連続音階発音ができる管楽器


です。すごくない?ww



<追記>

Kazoboという名称。カズービーという会社がオリジナルの楽器に使っている名称のようにも思える。

うーん。もしそうだったら、ちょっと名乗りにくいなあ。


本来的には金管の大きなカズーはZoboだし、ちっちゃいのはKazoo。

その両方の要素があるからKazoboと名付けたのだろうけれど、一般語に近いのか、固有名詞に近いのか、あまりにも「事例」が少なすぎて判別がつかない。


Kazoo/Zobo なのでKazoboという一般語に「近い」造語であれば、とくに問題はないが、もし商標などを主張されたら、ちょっと困るww


あるいは「Banboo Zobo」としても、こっちはちっとも困らないので、そうしたほうがいいかもしれない。


それとは別に「タンバトーン」という愛称も考え中。


なんせ新しい楽器なので、アイデアが尽きません。





2026年1月13日火曜日

新楽器 Banboo Kazobo の開発中! バンブー・カズーボー

 

 さてみなさんこんにちは


 2025年末から開発中の「ロングトーンカズー」ですが、兄弟楽器の


 Banboo Kazobo (バンブーカズーボー)


のプロトタイプができました。



  バンブー、と名前がついているのでわかるように、竹製の楽器です。


 Kazobo は大型のカズーで、本来は金管製のラッパのついたカズーなのですが、バンブーとカズーボーの韻がちょうどいいので、


 バンブー・カズーボー


という名前にしています。


 


 原型や構造は、これまでにおなじみの「ロングトーンカズーに準じていますが、基本となるメインの管を竹にしています。

 発音部・リゾネーター部は共通の機構ですが、多少、竹管に合うように改変しています。


 


(原型のロングトーンカズー)


 


 竹管はカーブになっているため、そのままではリゾネーターを張りにくいです。

 そこで、トッププレートを2重にして、そこにリゾネーターを挟み込むようにしました。


 このため、本来のロングトーンカズーでは可能だった「音色のチェンジ」ができなくなりました。


 ただ、竹管らしいまろやかでのびやかな音がしますので、ロングトーンカズーとは音色で使い分けするのが望ましいと思います。


 また、あくまでも基本はロングトーン奏法なので、できればロングトーンカズーをマスターしてから、バンブーカズーボーに移行するのがよいでしょう。


 まだ、こちらは完成形ではないので、もう少しチューニングしてゆきます。


 おたのしみに。



* Zoboの発音は、「ゾボ」あるいは「ゾボー」のようなニュアンスになります。

 アメリカではKazoboというカズーの亜種を「カゾボ」とも呼んでいるようですが、当方ではバンブーとの韻を考慮して、またカズーという楽器であることが伝わるように

”カズーボー”

と称しています。

2026年1月8日木曜日

サイレント三線SP3を製作しました!

 

 さてみなさんこんにちは。


 年またぎで製作していたサイレント三線SP3が完成しました。


 



 前回にお知らせしましたとおり、しばらく「弦楽器の製作を休止」することになりましたので、再開するまではこれが「最後の作品」ということになります。


 累計でサイレント三線シリーズが約100棹、ポケットロックシリーズも約100棹製作しているのと、そのほかに森のギターやらシャミレレシリーズなどが100〜200棹(監修分含む)出ているので、あれこれ合わせると500棹弱は製作してきたことになります。




 とくに「楽器が作れない」というわけではなく、


■ 中国で作られているギアペグの入手性が非常に悪くなってきた


のと


■ 三線ブームが終息して、奄美三線弦の入手性も悪くなってきた


のが、大きな原因です。


 ですので、弦のチョイスにこだわらなければ、通常の板張り三味線系はふつうに作れますし、どちらの材料も「まったく存在しない」というところまでは行き着いていませんが、ある程度補修用の部品などを確保できた段階で


 いったんお休みする


という決断をいたしました。


 また、材料が確保できても、「ものすごく値段が上がっている」のも事実です。


 いまや100円の板チョコが200円になっている時代ですので(マジです)、木材はじめ、あらゆるものが高くなっているのを実感します。


 左大文字工房的には、できるだけ安価に作る、チープでも面白いものを作る、というのがモットーだったので、


「そもそも値段が高くなる」


のは、あまり本意ではない気もします。高級品を製作しているわけではないので・・・。


 というわけで、精魂込めて製作してきた弦楽器づくりも、一段落しますが、また状況が許せば、製作再開することもあろうかと思います。


 気長にこのブログを楽しんでいただければ幸いです。